新しい仲間(仮)
皆で秘密基地を作ってから5年。
妾は15歳になった。相変わらず妾達は仲が良く、あの時から変わったことはあまり無い。ただ、あるとすれば…
「藍武様!その…今日、良ければ新しくできた茶屋へ行きませんか?」
「いえいえ、それよりも私と」
「いや、わたしと…」
藍武の周りがこんな娘たちに囲まれていることぐらいだ。
藍音姉は元から様々な人から言い寄られておったし、藍夜兄はいつもふてぶてしいものだから囲まれはしないが、影で「かっこいい」などと言われておった。
乙武は…まぁ、昔からあんなだというのに謎に人気だった。とにかく、だ…。妾以外は人気者なのじゃ!
そのおかげでなぁ…最近は秘密基地に来ているのは妾と藍夜兄だけじゃ…。まっことつまらないものじゃ…。
「藍夜兄…、暇じゃのぅ…」
そう言うと藍夜兄は「うん」と顔を膝に埋めたまま言う。
これはおかしい。いくら藍夜兄でもこんな返事はしない。するとしたら…。これは…まさか…いやまだ決まった訳では無いからの!まぁ、少しカマをかけてみるか…
「藍夜兄は人気者じゃのぅ…」
「うん」
此奴…、いや藍夜兄完全に寝ておるな…?うむ!ここは一つ悪戯でもするか!寝てる藍夜兄が悪いのじゃぞ!
***
数十分後未だに藍夜兄は寝ておる。全く…早く起きてくれないとつまらないではないか…。
「…んんっ…」
「お!起きたか!?藍夜兄!」
「あ…乙音…あれ?俺寝てた…?というか、なんか…頭重っ…」
そう言って自分の頭を触った藍夜兄が触ったものは…
「…ねえ、なに?これ」
「うむ。ムラサキツユクサじゃ。丁度近くに咲いていたものでな!」
そう言うと藍夜兄の動きがピタリと止まった。
そして、藍夜兄が怒った時だけに見せる清々しいほどに爽やかな笑顔になり…
「乙音。お前を…死刑に処す」
「お、おい!藍夜兄!流石に刑罰が重すぎやしないかっ!?」
笑顔がこんなにも恐ろしく感じるのはこの人だけじゃ…全く…わ、妾が悪いのは分かっておるぞ!
「…次は無いぞ」
ふてぶてしさの戻った藍夜兄を見てホットした。や、やはり藍夜兄はこうでなくてはな!
しばらく話していると聞き慣れた、作っている爽やかな声が聞こえた。
「ほら!ここが…って乙音姉!?と藍夜兄!?」
そう乙武じゃ。
「おぉ、乙武…して…その女子は…?ま、まさかっ!恋人か!?」
「乙武、ここ…秘密基地なのに…何を無断で…」
また清々しい程の笑顔になっている藍夜兄。それに引き換えみるみる顔が青くなっていき、表情の引き攣り始めた乙武。それを見てオロオロしているしている乙武の連れてきた女子。
「と、とにかく!早くその女子が誰でどんな関係か教えてくれぬか!?」
「あ、ああ!えーとこの子は桜羅。最近ここら辺に来た子なんだ。友達だよ!普通の!」
ふむふむ。にしてもかわいい女子じゃのぅ…。是非とも友人になりたいものじゃ…。
「え、え〜と、私は桜羅と申しますの!乙武様にはとてもよくしてもらってますの。よろしくお願いしますの!」
そう言ってにこりと笑う桜羅は女子の妾から見てもやはりかわいい。だが、しかし…
「「で、乙武…なんで桜羅を連れてきた?」」
あまりのかわいさに惑わされるところだった…。
「じ、実はさ…あんまり女の友達できてないみたいで。乙音姉ならなれるんじゃないかな〜って!」
「うむ。仕方あるまい」
「え…仕方ないの…?乙音…」
「うむ!こんなかわいい友ができるのじゃぞ!?喜ばしいではないか!」
食い気味に即答してやったら藍夜兄も渋々《しぶしぶ》ではあるが承諾してくれた。きっと仲良くなれるはずじゃ!
***
「乙音様と藍夜様に加えてもう御二方いるんですの!?」
「うむ!藍武と藍音姉がおる!妾と乙武の従姉妹で藍夜兄の姉と弟じゃ」
「藍音姉は~最高の御方だよ!」
「そうなのですか…」
にしても…何故桜羅は浮かない顔なのだろうか…。
「…なのに」
「ん?何か言うたか?」
「え?私ですの?でしたら何も言ってはいませんの」
妾の気の所為であろうか?今、確かに…
「ボクのモノなのに」
そう聞こえた気がしたのだが…
「僕」と言っていたし、乙武だろうか?
あの時もう少し××に疑念を抱いていればこの悲しき運命を変えれたかもしれない。
大切な人を不幸にしたり、悲しませたり、そして、こうして引き離されることも無かったかもしれぬ。そんなふうに後悔したって変えることはできないが…な。でも、いいこともあった。
ディオ…おぬしと…
友になれたことじゃ。
どうもどうも!毎度お馴染み子りすです!
久しぶりの本編更新いかがでしたが?秘密基地の内容から5年。新キャラ桜羅の登場によってどんな展開になるのか!
楽しみにしていてください!
最近は花言葉や石言葉を調べるのにハマっているのですが、
普段はいい意味の花言葉が人に贈るときだけ悪い意味になるものもあって面白いですよ!
今回使った花「ムラサキツユクサ」と花言葉は「尊敬しているが恋愛ではない」です。
それでは!そろそろ…
評価、感想、ブクマ、レビューよろしくお願いします!
それでは!また!