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小さな奇蹟の物語  作者: 星ノ雫
第1日 始まりの一日
1/8

-0- プロローグ

 昨今、学生のイジメ・自殺がよくニュースや新聞を賑わせている。今に始まったことでもないが、最近の自分的にホットな話題はなんだと問われたらこの問題に行き着く。

 学生時代、スポーツ一筋に生きるわけでなく、勉強に力を入れていたわけでもない。ほどほどに部活動をしてクラスの役職等も頼まれればやる。

 問題行動をしたり、世間から白い目で見られるようなこともしてこなかった。


 平凡で、何処にでもいるありふれた一人の人間としての生き方だろうな、というのが自分なりの感想だ。

 では、イジメとかはしなかったかと聞かれるとおそらく『していた』と答えるべきなのだろう。


 【イジメ】という言葉の定義の枠は極めて曖昧であるから一概には言えることでは無いとは思う。

 だが、自分のイメージとしている『イジメ』は【意図することなく相手の嫌がることをし続ける】という単純化したものだ。これを広定義するのであるならという前提を持つと、自分はイジメの加害者だったのだろう。

 意図することなく、と前置きしているが世のいわゆるイジメっ子達はおそらく上記の広定義たる『イジメ』はしているつもりは無い。

 基本的に加害者側は世が問題定義するまでは『イジメ』ているという認識は持ち合わせていないのが普通だからだ。

 よって、ニュースになっているほとんどは問題が終わってしまった──事後報告のイジメになる。『イジメ』という本体はもう終わっているが、被害者もどうにかなってしまったという最悪の結末を流しているにすぎない。


 まぁ、長々と下らない話を垂れ流している気はするが気にはしない。していたら、これからの話に響いてしまう。


 ──そう、俺だって確信があったわけじゃない。不意に気になって目で追っていた。そんな程度だ。

 だから、きっとこの運命のような時間は訪れたのかもしれない。


 ──普通なら、出会うことすらない、小さな幸運が招いた小さな奇蹟。


 快速電車が近づいてきていて、目の前にはポツンと立っている1人の女学生。

 電車待ちでなんとなく暇潰しにしていたスマホのアプリから視線を外していて、少女が一歩、歩いたように見えた、ただそれだけ。

 助けようだとかは思わなかった。ただ、その様子が頭の何かに重なって。


 ──気がつけば手を伸ばしていて

 ──少女の腕を掴んで引き寄せていた


 これは、出会うことはなかっただろう少女と青年のとある物語。



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