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25話 イカサマ対決①

一ヶ月放置というのは流石にアレなので、

少しずつ上げていきます。

まだ十万文字までの目処は立っていませんが……

「雛さん好きです。付き合ってください!」

「ええええぇぇぇぇ~~~~!!」


 私は愛の告白を受けていた。

 男子に校舎裏に呼び出されて、何事かと思ったらこの現状である。しかし正直に言うと、私はこの状況に興奮していた。

 ヤバいヤバい! 生まれてこの方、告白なんてされた事無いからほんと嬉しい! こんな日が来るなんて想像しなかった。いや、ごめん嘘、想像はした。けどほんとにこんな日が来るとは思ってなかった!

 実を言うと目の前にいる男子の名前を私は知らない。知らないけどとりあえず返事はOKするつもり満々だった。とりあえず彼氏を作って、彼氏いない歴=年齢という呪縛を解き放っておきたいのだ。

 べ、別にいいよね? この人、顔はあんまりタイプじゃないけど、でも男は中身って言うし、それに付き合い始めてからお互いの相性とかも判ってくるもんだし、何はともあれ、まずは付き合ってみる事よ! うん、絶対そう!

 そう思い、私は返事をしようと息を大きく吸い込む。


「そう伝えてくれって三組のケンジ君から頼まれました!」

「ええええぇぇぇぇ~~~~!!」


 返事のために大きく吸い込んだ息は、戸惑いの言葉となり吐き出された。

 まさかの間接告白!? そしてまた知らない人物像が出て来た。

 三組のケンジ君って誰!? この人もそうだけど、ケンジ君って言われても全然分からない! 

 これは私の頭が悪い事かもしれないけど、高校に入って一学期が終わるまでの間に、一学年の全生徒の顔と名前を覚えるのって普通の事なのかしら? 少なくとも私には無理で、未だ自分のクラスの生徒を覚えるのでやっとだった。けれど私の事を好きだという生徒がいるのは事実であり、やはり付き合ってみない事には何も始まらない。

 うん。告白を他人に任せるのはどうかと思うけど、ここは予定通りOKを出そう。これで私も彼氏持ち!

 そう思い、私は返事を返そうとした。


「この場で、今すぐに返事をもらって来いと言ってました」

「ええええぇぇぇぇ~~~~!!」


 何だろう、この迷えば迷うほど返事を返しにくくなるこの状況は……。黙っていればすんなり受け入れられたのに、どんな人物かも分からない相手に、返事をその場で強要されるとか怖くない? これってもしかして断った方がいいんじゃ……。けどせっかくの告白が~!

 私が混乱する頭をなんとか立て直そうと努力していると、ふわっと私の中からお凛ちゃんが現れた。


「お姉ちゃん何を迷っているですか! そんな男ダメに決まってます。私がきっちり断ってあげるです!」


 そう言い、再び私の中に入ると身体の主導権を奪われた。

 身体を奪われた私が目を開けると、そこは古い家を連想させる茶の間だった。普段私の中にいるお凛ちゃんはここで過ごしている。今はお凛ちゃんが表に出ているので、私がここに待機状態という訳だ。

 今まで寝ていたのか布団が敷かれており、ちゃぶ台にはお茶とおせんべいが置かれている。

 このお茶とかはどこから持ってくるんだろう? あ、私んちか……

 ちゃぶ台の向こうには古ぼけたテレビが置いてあり、画面には私を呼びだした男子が映っている。私の身体が見たものが映し出されているテレビだ。


「さっきから聞いていればとんだヘタレ野郎です! 男を磨いて出直して来いって伝えやがれです!!」


 お凛ちゃんがとんでもない口調で怒りを表現している。


「ちょっと待って~! 私そんな口、絶対聞かないから!! 断るにしてももう少しオブラートに包んで断って!」

(オ、オブラ……? 下着の事ですか?)


 お凛ちゃんは横文字が苦手だった。


「ひ、雛さん考え直してごらん。ケンジ君はいい奴だよ。読書が好きで物静かで、えーとえーと……」


 目の前の男子が取り(つくろ)おうとあたふたしている。これ以上お凛ちゃんに任せると炎上しかねないので、戻ろうと私は立ち上がる。確か、この部屋の玄関のようなドアから外に出れば戻れるはず。

っていうか、悪霊ってこんな庶民的に取り憑くもんなの?


「あなたもケンジ君に従うだけのホイホイ人間になってんじゃねーです。間違いを正すのも友の努め。人はいつ死ぬか分からない儚い生き物ですから、悔いの残らないよう懸命に生きなければならねーんです。分かったらさっさと失せて、いかに愚かな告白をしたか見直しやがれです!」


 おおおお凜ちゃーん。それ完全に自分の立場でしゃべってるよね? 私の立場考えて無いよね?

 トラウマになりそうなお断りに冷や汗をかきつつ、私は急いでドアの外へ飛び出した。


「うわーん、僕がケンジ君なのにー」


 時すでに遅し、男子は泣いて走り去って行った。


「ふっ、告白した空気に耐えきれず、自らを偽ってやがったですか。どのみちヘタレ野郎です」


 私が戻った事で、お凜ちゃんは隣でプカプカ浮かんで満足そうな顔をしていた。

 私が複雑な気持ちでケンジ君の背中を見守っていると、


「雛ちゃん、男子に呼び出されてたけど大丈夫?」


 入れ違いにネコちゃんが駆け寄って来た。そしてお凛ちゃんと目が合うや否や

「あああぁぁ~~!!」 と驚きと戸惑いの声をあげた。


「あの時の幽霊少女!? 何で雛ちゃんと一緒なの!? とにかく浄化しなきゃ……悪霊退散、えいっ!」


 何か可愛らしく両手をかざす。えいって……


「ぎにゃああ~~!! 何するですかこの暴力巫女は!?」


 除霊ごっこで遊んでいるようにしか見えないが、結構効いていた。


「私はちゃんとお姉ちゃんの許可を取って取り憑いているです。勝手に浄化しないでほしいです! ってか、浄化って聞こえはいいけどやってる事は消滅ですから! 転生出来なくなりますから!」

「そ、そんな事ないもん! 魂は転生するもん! 雛ちゃん騙されちゃダメだよ、何を企んでるか分からないんだから!」


 ネコちゃんが私を説得しようと必死に訴えかけている。


「ん~、でも今のところは何もないし、そんな悪い子じゃなさそうだから」

「ほ~ら、私はお姉ちゃんに成仏させてもらうんです! お邪魔虫は引っ込むです!」


 お凛ちゃんが勝ち誇った態度で私に抱き着き、それをネコちゃんに見せつけようとする。

 ぐぬぬ……とネコちゃんは悔しそうな顔をする。


「やっぱりダメ! 雛ちゃんは甘すぎるんだから。浄化するのが一番だよ! えい!」

「ひにゃああ~~!! もう怒ったです! 呪いかけてやるです!!」

「あ、聞いた雛ちゃん。本性を現したよ! やっぱりこの子危険だよ!」


 ギャースギャースとケンカする二人。私は二人から目を逸らし、空を見つめた。

 うん、いい天気。けど今日は何かと疲れたから、早く帰りたいな。

 そんな事を思った昼下がりだった。

 夏休みが終わり二学期が始まった。休み明けという事で、ダルさを表情に残す者や、久しぶりに友達の顔を見て微笑む者、それぞれだ。

 そんな二学期に入って一つの騒めきがあった。転校生がやってきたのである。しかし二年生のクラスに、という事で、私達一学年には関係の無いイベントかと思っていた。

 だが、今回の騒動はこの転校生が来たところから始まる。

凛「あの、対決要素が無いです。タイトル詐欺です」

雛「特に意味のない茶番が本編を襲う」

凛「作者はアホですか!? もうこれで一つの話にすればいいです」

雛「この作者は茶番好きだから……」

犬「俺も出番ほしいぞ」

凛「お兄ちゃんは今回出番ないみたいですよ?」

犬「!?」

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