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赤い目  作者: 藤原杏樹
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第4話(2)

美由紀探しのために、私達はまず全学年に聞きまわる事にした。3学年各学年6クラスの私達の学校で、たった一人の美由紀を探すのには苦労した。1年1組からいって只今3年5組が終ったところ。残すところ後1つになった。

「あのー失礼します。このクラスに、美由紀さんという人を知ってる方いますか? 」

「んー美由紀? 知らない」


 この後にも何人もの人に聞いた。でも、“美由紀”という名前をしている人はどこにもいなかった。これでは分からない。あの……美由紀は。


「どうしよ……。見つからないよ、美由紀」

「名前が違うんじゃねーか」

「……もしそうだったとしても、どうやって見つけるのよ」

「……そうだな」


 梓の一言に強気な冬夜も黙り込んでしまう。その間私達も案が浮かばず、周りに異様な空気が漂う。しばらくの沈黙が続く中、遠くから足音が聞こえてきた。


――コツコツコツ


「あの……赤宮美由紀を探してるって聞いたんですけど」

「はい。そうなんです。知ってますか」

「いや……本人っていうか……美由紀の情報を知ってるんです」

「美由紀の……情報」


 美由紀のことを知っている人が他にもいたということなのか……いつにない真剣な顔で聞く冬夜が、不安をもっともっと多くさせている。でも、そんな冬夜を頼もしく思えていた。


「美由紀の情報、教えてもらえますか」

「……はい」


 そう、青山莉子あおやま りこは美由紀のことを話し始める。その声は、すこし透き通ったようなきれいな声で、大人な感じを想像させる。でもその顔は怯えた様子で、すこし震えていた。


「美由紀は10年前にこの学校に転校してきたんだけど、どこから転校してきたのかが不明な の。美由紀は人に何かを話したことがなかったから。何かを聞かれても黙ってて」

「声を……誰も聞いたことがない」

「そう。ただ、美由紀の隣にいた薮浩太やぶ こうただけ、一度声を聞いたことがあった らしいの。その声は女の子とは思えないようなちょっと恐い声だったらしいわ」

「……恐い声? どういうこと」

「なんか、ゾクッとするような……」


 私は考えてみた。あんまり話さないけど、その声はすこし恐い……。


「そんな人……いる?」

「うーん。いないと思う。冬夜は?」

「俺も」


 皆知らなかった。せっかく教えてくれた情報も、私達には無意味となってしまった。ただ、これから調べてくうえでこの情報はよい資料になっただろう。


「そうなんだ。探してるんだよね。私もそれっぽい人を見つけたら言うね」

「ありがとうございます」


 その言葉を聞いて、本当に莉子はいい人なんだともう一度思う。でも、このままで美由紀は見つかるだろうか。美由紀を見つけなくては始まらない。被害は広まっていくばかりだ。他の情報はないだろうか。


「さて……これからどうする?」

「そうよね」

 梓は少しくらいため息をする。

「死んじゃった人……」

 私は冬夜が小さな声で呟いた声を聞き逃さなかった。

「それだ。理香子さんのご家族や友達に理香子さんの様子を聞いてみよう」

「……そうしよう。まだ何もやることもないんだし」


 そして、私達は理香子さんの家に行くことになった。梓の友達に理香子さんの家を知っている人がいたからその人に案内してもらうことになった。





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