第3話
第3話
「い、いや……。」
私は恐くなって、叫ぶ事も出来なかった。だって、そこにいたのは……
“赤い目”になった恵介だった。
「け、恵介? 」
「お、なんだ? 佐倉」
「恵介……目が」
「目? 」
「う、うん」
恵介は不思議そうな目でこっちを見てくる。恵介の赤い目に気づいてるのは私だけだろうか。美鈴達は気づいていないのだろうか? そう思い、そっと美鈴の方を見る。美鈴は黒板の方を向いていた。だから気づいてはいないだろう。ただ、雪だった。こっちを向いておびえている様子。そう、雪は気づいていた。美由紀という名前も、赤い目の恵介も。
「目が何? 」
「言えない……」
「なんで? 」
「クッ……殺されるから」
「こ、殺される!? 」
恵介は“殺される”という言葉を聞いて大きな声を出した。それに、皆は反応する。
「野中ーどうした。ん?野中、目が赤いぞ」
「目が……赤い? そ、そんな……」
そうか、恵介は、美由紀の呪いの内容は知ってるんだ。でも、何で恵介が? やっぱり、美由紀とはあの美由紀の事だったのか…。もしそうだったのなら、皆が危ない。だけど、私に出来ることなんてない。終るまで待つことしか私にはきっと出来ない。そんな自分が嫌で、私は涙を流しそうになった。
「俺は、ここで死ぬのか? そんなの嫌だ。誰か……助けて」
「何を大袈裟に言ってるんだ。さぁ、授業始めるぞ」
先生は何もなかったかのように授業をはじめた。ただ、その時恵介だけは、ずっとずっとおびえていた。私はその姿が見ていられなくて、「おなかが痛い」とうそをつき保健室へと向かった。
「どうすればいいの。恵介……これはほんとに美由紀の呪い。あの、美由紀?」
「あ、あたし?」
美由紀がその私の小さな声を聞き取って話しかけてきた。私はその時少し恐くなって話すときに声が震えていた。
「え、えっと、美由紀ちゃんじゃないよ。他の子のこと」
私は少し目をそらして言った。
「そっか。でも……“呪い”って」
「この学校の七不思議」
「どんなの?」
「えっとね」
こうやって、私は美由紀に“美由紀の呪い”の話をし始めた。
あるところに静岡市立水嶋中学校という中学校がありました。そこに、ある日転入生がやってきました。その子を見た生徒や先生、村人までもが驚きの声を上げました。なぜなら、その子は赤い目をしていたからでした。ただ赤い目をしていたのならば、充血だと思うでしょう。しかし、その子は黒目の部分が赤かったのです。その子を恐ろしく思いおびえた村人達は、その子を殺してしまったといいます。その子は死にたくなかったのに殺されてしまったため、村人達を恨みました。そして10年後、その水嶋中学校に復讐しにいったのでした。
「その子、美由紀っていうの」
「うん…」
「そっか。10年後の復讐ってどんな」
「10年後の復讐はね…」