第2話
第2話
「美、美由紀? 」
「佐倉、どうした。顔がちょっと青ざめてるというか……」
「あ、いや、なんでもないです」
「そうか、ならいいが」
美由紀……。この名前を知っているのは私だけだろうか。そのとき、ニヤッとした顔をしてこっちを見ている子が1人いたのに、私は気づかなかった。
「じゃあ、赤宮は、野中の隣でいいな」
そういわれた恵介は、目がキラキラしていた。きっと、恵介は“美由紀”という名前を知らないのだろう。この恵介とは、野中恵介、つまり美由紀の隣になった子だ。恵介は、サッカー部に入っているスポーツマンで、いつも一生懸命のいい奴。明るくて優しいから、クラスの中心であり、人気者である。しかし、優柔不断な性格のせいか、やりたくもない学級委員をやっている。
ひとつ言ってなかった事があった。美由紀からの復讐は1日では終らないそうだ。そして、10年ごとに多くなっていくらしい。前は1ヶ月だった。そう、もし今年も復讐があるのなら、1ヶ月以上復讐されるってこと。
「野中、手挙げろ」
「え、なんで」
「場所知らせるために決まってるだろ」
「あ、そっか。はい」
そうやって手を挙げた恵介の方に向かってくる美由紀。その顔はとてもきれいで、女でも見とれてしまうほどだった。でも、なぜか悪い予感がして、そのときに気づいていれば……今みたいな事にはならなかった。なぜ……予感はしてたのに……。
「あの、よろしく」
ちょっと恥ずかしそうに恵介が言う。
「よろしく」
それを軽く流す美由紀。なんとなくだけど、フィットしてるかも、この2人。そう思ってた、その時、美由紀の前に居た桜木隆志が恵介に笑いながら言った。
「美由紀ちゃんの隣、うらやましいぜ。いいな。恵介は」
隆志も、美由紀のことは知らないのだろう。私だったら隣になんてなりたくない、そう思ってしまう。美由紀があの美由紀でないことを、今は…願う事しか出来なかった。
「フフフ」
その時聞こえた声。“フフフ”。ゾクッとする声で後ろから聞こえた。その先にいたのは……
赤い目をしたあの人だった……。