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赤い目  作者: 藤原杏樹
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第15話

「犯人は居ない……か」

「でも、そんなことってあるのかな」

「そんなのわかんねーよ。これから、調べていこう」

「……うん」


 とりあえず、被害者の体の一部に痣のような物があるかどうか調べてみることにした。まだほとんどのことが解決していない今は、一歩一歩調べていく必要があった。




「痣なんて本当にあるのかな。不思議なことが多すぎて逆に信じられなくなってきた」

「確かに。だけど、それって普通なんじゃねーの」

「確かに」


 やっと笑えるようになってきた。だけど、龍はやっぱり笑ってない。恵梨が本当に愛されてたんだなって、今更だけど思う。きっと恵梨は幸せだったと思う。だけど、もっともっと幸せになれたはずだった。恵梨も龍も。やっぱり許せないと思った。


「早く行こう。早く」

「穂乃香……」

「そうだな。行って見なきゃ何にもわかんねーんだ」


 



「緊張する」

「だね」


 痣のことを伝えると、警察の人は調べてくれた。待っている間は誰も喋ってくれなくて辺りはしーんとしていた。というより、誰も喋れる雰囲気ではなかった。それから数時間がたち、警察が来て結果を伝えてくれた。


「皆さんが言っていたとおり、死体の一部に痣らしきものが残っていました。見つけられた順番と同様に星座が描かれていました」


 やっぱりそうか、と皆が思った。だけど、龍だけは違った。


「待ってくれ。恵梨が殺されたのは、3番目だろ。つまり、双子座の痣……。でも恵梨は双子座じゃなくてうお座だ。おかしくねーか」

「痣の星座と本人の星座が違うってこと?」

「それじゃあ、どうしてそういう順番なのかわからないじゃん」

「何の解決法にもなってねーよ」

「なに……それ」


 解決に近づいたと思った。もうすこしでゴールだと思った。全然違ったのだ。まだまだゴールなんか見えてなくて、見えていたのは障害物だけで、ただ前の見えない暗闇の中で歩き回ってただけだった。


「おい、これからどうすんだよ。何にも手掛かりねーじゃねーか」

「そーだよね。どうしよう」


 とにかく、まずはさっきのカフェに戻ることにした。戻ったところで何がわかるわけでもなかった。でも、このままここにいる気分にはなれなかった。気まずい雰囲気のまま、カフェに向かう。


 皆不安だった。次は誰が襲われるか解らない。そんな時に、自分が襲われると思わない奴は居ない。次は自分かもしれないという恐怖を抱えながら、皆必死に生きているのだ。今までは命を大切にしようとは思っていなかった。絶望の淵に立たされた今、やっと命の大切さに気づいたのだ。穂乃香はふと思った。美由紀は復習をしているわけではないのかもしれない、と。話を聞いていると、どうも美由紀が悪いやつだとは思えない。もしかしたら、なにかを訴えようとしているのかもしれない、何かを伝えようとしているのかもしれない。この事件はまだ始まったばかり。何が起こるか、誰にもわからない。

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