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赤い目  作者: 藤原杏樹
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第8話

パスワードを忘れてしまい、更新するのがここまで遅くなってしまいました。この場をお借りしてお詫び申し上げます。なんて言ってるけど、別に…って感じですよね。あはは。

 メールが来てから何時間たっただろう。分からないけど、ずっと部屋の隅で体育座りをしている。すると突然、誰か人が入ってきた。


「……誰」

「穂乃香? 俺、樹。佐藤樹さとう いつきだよ」

「いっちゃん?」

「いっちゃん言うな。おれも子供じゃないんやで」

「いいじゃん」


 いっちゃんこと、佐藤樹は私の幼馴染で私の初恋の人。っていっても、今も好き。でも、いっちゃんには綺麗な彼女が居る。私には到底勝てない、とっても美人なひと。


「穂乃香さ、なんか悩んでるやろ」

「えっ」


 いっちゃんにはいつでも見透かされてしまう。それが、私の気持ちまで分かってしまうのではないかと、時々不安に思う時がある。


「いっちゃんすごいね。実はさ、友達が喧嘩しちゃって……」

「うんうん」


 いっちゃんはただただ「うんうん」としか言わず、私の話をずっと聞いてくれた。


「そうか。色々あったんやな。でも、穂乃香は2人とも好きなんやろ。だったらそれを伝えてきい。きっと分かってくれるはずやで」

「……そう、かな。いっちゃんに話したら、なんか元気でたよ。ありがとう」

「なんや突然。照れるやん」


 そんな照れているいっちゃんの顔を見ていると、私もつい笑ってしまう。やっぱりいっちゃんが好きだって実感する。分かってるよ。いっちゃんに彼女が居ることくらい。分かってるよ。だけど、好きなんだもん。好きだって気持ちは抑えられない。ただ勝手に好きだって思ってるぐらいなら……いいよね。



「いっちゃん。今日、学校で私の気持ち伝えてくるね」


 ただそれだけをいっちゃんに伝えて家を出た。まだ外は人通りが少なく、涼しい風が吹いている。しーんとしていて、心がどんどん不安になってくる。2人は仲直りをしてくれるのだろうか……。心配。正直、話を聞いてくれるかも分からないし、私の言うことで気持ちが変わるとは思えない。私にそんな力は無い、自信も無い。だけど、やってみなくちゃ分からないしいっちゃんも応援してくれてるし、頑張ろうかなって。



「休み時間に屋上来て。穂乃香」


 これだけ紙に書いて、2人の靴箱に入れた。2人は来てくれるのか……。仲直りが出来るのか……。そんな不安だけがどんどん積もっていく。



――休み時間の屋上



「穂乃香。いる?」

「雪。こっちこっち」

「なに、突然屋上だなんて」

「ちょっと話しあってさ」

「穂乃香ー。って、何で雪が居るの」


 大きな音を立てて入ってきた美鈴は、雪が居ることにとっても驚いている様子だった。


「二人に話しあんの」

「美鈴居るんじゃ聞かない」

 雪は美鈴をにらみながら言う。

「2人じゃなきゃ駄目なの。お願い。聞いて」

 雪を何とか説得し、話し始める。


「私さ、昔から人見知りが激しくて。だから友達とか全然できなかった。そんな私にさ、2人は笑顔で話してきてくれた。そのときね、実はすっごい嬉しかったんだよ。それから、皆で放課後カフェ行ってお茶したり、好きな男の子の話したり……。いろんなことしたよね。今は、2人がケンカしちゃってる。でも、私2人とも好き。大好き。だから仲直りしてほしい。どっちが悪いとか、そんなの関係ないよ。また前みたいに3人で遊ぼう? 前みたいに3人で恋話しようよ」


 私はそれだけ言って屋上から飛び出した。2人の答えを聞いてしまうのが怖くて。それに、2人で話をしてほしい。もしそれで駄目なんだったら、これできっぱり諦めるつもりでいる。しょうがないんだって、そう思いたい。そうじゃなきゃ、耐えられないと思う。

 それから2時間がたち、授業も終わりかえる時間となった。結局2人はあれから戻ってこなかった。2人で何か話したのかな、2人はどうしたのかな、そんなことばかり思っていた。


「穂乃香」


 私の名前を呼ぶ声がする。聞いたことある声。誰だろう。振り向いた先に居たのは……



あの2人だった。

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