第5話
第5話
「私が知ってるのはここまで」
「そっか」
「うん。でも、この後人がたくさん死んでしまったらしいよ」
「……怖いね。でも、私本当にその美由紀じゃないよ」
「うん。分かってる」
とは言いつつも、やっぱりまだ美由紀を疑ってる。同じ名前だし、こんなにタイミングよく転校してくるんだもん。それに……一人目の被害者が恵介なんだもん。
「私……何か出来ないかな」
「え……」
「私同じ名前だから、なにか美由紀を助けてあげることが出来るかもしれない。皆を助けてあ げることが出来るかもしれない」
その言葉を聞いて、美由紀のことを犯人だと思うのはいけないことなんじゃないかと思ってしまった。この事件を解決していく上で、きっと美由紀は欠かせない人物となることは分かっている。いや、ただ私の勘だけど、きっとそう。そう……思っている。
「一緒に調べようよ」
「え……」
「一緒に美由紀の呪いのこと、調べようよ。10年前の瑞希みたいにさ」
「……いいの?」
「当然」
「じゃあ」
美由紀の顔は笑っていた。私に見せてくれた初めての笑顔。今まで見た中で、最高の笑顔だったかもしれない。つい、自分も微笑んでしまった。
――キーンコーンカーンコーン
気が付くと、もう4時間目が始まる時間だった。急いで教室に戻ると、そこには怯えた雪と恵介の姿があった。
「穂乃香! 恵介が……」
「うん」
「……穂乃香。なんで美由紀ちゃんがいるの」
「この子は違うよ。あの美由紀とは違う。力になりたいって言ってくれた」
「でも」
「雪、一緒に美由紀のこと調べよう」
「……わかったよ」
美由紀のことを調べる準備が整っていく。あとは美鈴がはいってくれればいい、そう思った。
「雪、美鈴は?」
「美鈴は例の人のとこ行ったよ」
雪が言う例の人。それは、美鈴の彼氏、高野悠樹のことだ。悠樹は3年だから、逢うためにはわざわざ反対側の校舎に行かなくてはいけない。だけど、美鈴は昼休みになったら凄い速さで逢いに行く。私達は友達なのに、休み時間はほとんど悠樹のところにいってしまう。
「また? 私達のことどうでもいいんじゃないの」
「そんなこと……ないでしょ」
「だって」
時々不安になる。美鈴は私達のことを友達だなんて思ってないんじゃないかって。だけど、私は弱虫だから美鈴に聞くことは出来ない。本当のことを聞くのが怖い。
「あれ? 穂乃香達、何集まってんの。何の話」
「美鈴……」
「なに」
「美鈴ってさ、私達のこと本当に友達だと思ってるの?」
私は驚いた。雪が、その言葉を言ってしまったから。
10年前にあったこととか、20年前にあったことなどは、また他の機会に書かせてもらいたいと思っています。今、勉強などで忙しくなかなか更新が出来ていません。これからもそうなると思います。ですが、必ず完結させるつもりですので、長い目で見てください。
ぁ!あと、出来れば感想とかお願いします!!