表 リファス王国重要機密
裏 白い変態より後の話。
エルゥファ国リファス領事館内 P1286年12.10
リファス王国の学生が外国に留学する場合、その国のリファス領事館で学生は必ず月に一回報告をしなければならない。
今日、ロードはリファス領事館にその学生報告の名目で訪れていた。
「ロドさん、1番号室へ来てください。」
拡張魔法で拡大した声が領事館内に響き渡る。
ロードは椅子から立ち上がり部屋へと向かう。
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「失礼致します。」
ロードが部屋に入る。
「よく来られました。」
生存確認係の役人が言う。
「この度は報告が遅れてしまい誠に申し訳ありません。」
ロードが本当に申し訳無そうに言う。
「...縮小魔法で外に声が聞こえないようにしましたので素で大丈夫ですよ。
あなたが敬語だと何か違和感ありまくりです。」
役人が笑いを堪えながら言った。
リファス王国の騎士団であるリースとロードは学生報告と称して領事館内に訪れ、エルゥファ大学内で調べた魔法クリアに関する定期報告をしている。
今日はロードが報告をする日である。
「なんだその言い草は。麗しい令嬢に向かって失礼だぞ。マーテル。」
それを聞いたロードは申し訳無そうだった態度を一変し、不機嫌そうになった。
「麗しい令嬢ってどこがですか...まあ、とりあえず椅子に座ってください。」
役人、マーテルはロードに椅子に座るようジェスチャーをする。
「相変わらす失礼な奴だ。」
そういいつつロードは椅子に座る。
「それで、なんだ?」
ロードは不機嫌そうな顔のままマーテルに問う。
とたんに部屋の空気がガラリと変わった。
「...なんだとはなんでしょうか?ロード様。」
マーテルは首をかしげる仕草をしながら聞き返した。
「とぼけるな!お前がわざわざ縮小魔法なんて使うんだ。何か聞かれてはまずいことがあったんだろう?」
ロードは不機嫌そうな顔をさらに不機嫌そうにする。
するとマーテルは顔を曇らせた。
「...はい。その通りです。」
「イルゥシン城を奪還するためにリファス騎士団が、魔王ベルウの側近であるコーム率いる魔物部隊に襲われました。」
マーテルは言いにくそうに言った。
「ガタッ!」
ロードがいきなり椅子から立ち上がった。
「なんだと!あそこには魔物達はいないはずだぞ!!」
ロードはマーテルに詰め寄る。
「調査の結果によるとコームがありえない規模で気配消失魔法を使い、事前調査では気がつけなかったようです!」
マーテルはロードに向かって叫ぶように言った。
「そんな大規模な魔法...っは!騎士団はどうなった!!コームがそんな規模の魔法を使っていたとなると...」
ロードがマーテルの首元に掴みかかる。
「騎士団は派遣された八名中六名死亡、生き残ったのは騎士団長のフス様とエヌ様だけです!」
マーテルはロードに怯まず叫ぶ。
「...そうか。」
ロードはそれだけ言うと、マーテルから手を離す。
「ゲホ、ゲホ...」
マーテルはロードに首を絞められていたせいか、咳き込む。
「二人が帰ってこれただけ良かったと思うしかない...」
ロードが落ち込んだ様子でそう呟く。
「...その二人なのですが、帰ってきてとんでもない報告を持ってきました。」
マーテルはそんなロードの様子を気にしつつも、話を続ける。
「...まさか、ベルウがリファス王国に攻めてくるのか?」
ロードは疲弊した様子でそう尋ねる。
「いいえ。そうではありません。ある意味非常に良い知らせです。ええ。」
マーテルは雰囲気を和まそうと明るい声で言う。
「ある意味?なんだか歯切れが悪い言い方だな。」
ロードはマーテルの言い方が気になったようでマーテルに続きを促す。
マーテルはロードが少し気分を取り戻した様子をみて安心し、そしてこれからいうことの内容に悩みつつ言った。
「戻ってこられた二人が言うには襲わえた窮地を助けて頂いた人物がいるそうなんですよ。」
ロードは少し笑いながら言った。
「それのどこが『ある意味』だというんだ。良いことではないか。
まさか騎士団が他国の人間に救われたことを気にするほど私が器の小さい人間だとでも?
...そうか、その方には礼を言わなければならないな。ハハハ。」
マーテルはそれに苦笑しながら言った。
「その人物が始祖テテ様でさえ使えなかった無属性魔法を、魔法属性名クリアを使ったとしてもですか?」
その言葉によって部屋全体が静寂に包まれた。
しばらくしてロードは言った。
「......は?」




