裏 サキの伝説の真実
イルゥシン城 P1286年11.26
サキが目覚めて2時間後、サキは城内を探索することにした。
「誰かいないものかな。」
滅んだ城跡、人の気配はない。
「あんなに人がいたのに...一体死んでからどれほど経ったんでしょうか。」
サキは未だ死んで3000年が経過していることを気づいていない。
「探索前は私の墓なら掃除してないだけだと思ったんですけどね...
まさか誰もいないなんて...」
当初、サキは生き返ってそんなに経ってないだろうと楽観的に考えていた。
しかし、その楽観的に考えも探索するうちになくなっていった。
「テテ君あたりがひょっとしたら蘇生したのかと思ったんですけど、違ったみたいですね。この感じだと。」
この世界に死者蘇生の魔法は存在しない。
「未来の人が私を研究するために蘇生した!というのはないな。私を蘇生したって意味がない。」
サキは伝説になるほどこの世界では有名であるが、サキはそのことに気がついていない。
「王様に頼まれて屋鍋とかいう自称魔王の変態を倒しただけですしね。
挙句その部下に殺されるし...うん。対したことしてないな。」
サキはそれが当時誰も成し得なかった偉業だと気づいていない。
当時誰もが恐れ、名を語ることすら憚れた魔王ヤーベすらこの認識はおかしい。
それはなぜか?
実は、サキはこの世界の常識を知らない。
サキはなぜか言葉が通じ、魔法というものがある。この程度の認識だけで歴史に残る偉業を成し遂げたのである。
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生来から人見知りなところがあるサキはこの世界について聞くということができなかった。
異世界から来たといっても信じてもらえないと思ったからである。
そんなサキでも一応この世界を知ろうと努力はした。
だが、それが原因でこの世界をサキは勘違いしてしまった。
例えばサキはこの世界で初めての友人に文字を学んだ。
サキが本を読めなければ恥ずかしいと思ったからである。
しかし、当時は知識人くらいしか読み書きできなかった。
その友人も知識人であった。
サキが文字の読み書きを教わったとしてもその友人はおかしいことだとは思わなかった。
サキもまた友人が普通に文字の読み書きを教えてくれるので、
文字の読み書きできる人間が少ないこと気がつかなかった。
サキは勘違いをした。
この世界の人は識字率が高い。また、字が読めないと言っても友人は馬鹿にせず親切丁寧に教えてくれた。
サキは勝手にそう勘違いをして文字の読み書きを教えてくれた友人に対して感謝した。
また、別の親しくなった相手に本を読ませてもらった。
当時、本はほとんどなく、書いてあることといえば魔法など専門的なことばかりだった。
そんなことは知らずに本を読んだサキはこの世界が魔法中心で成り立っていると学んだ。
確かにそれは正しい認識だった。
当時、魔法は未発達ではあるものの簡単なものは庶民でも使えた。
この世界は魔法中心で成り立っている世界であった。
しかし、そんな世界でも書物に乗るような魔法はいわゆる大魔法であった。
サキはそんなことは知らずにそれを普通の魔法と思い込んでよく使っていた。
ある日、サキは自分が覚えた魔法を整理したいと思い、昔遊んだゲームを参考にして整理した。
それをたまたま後の大魔道士テテに見られた結果、大魔法書が編纂された。
サキの名が世界に知れ渡った歴史に残る偉業、魔王ヤーベ討伐。
しかし、サキは魔王ヤーベが誰も名前を憚る存在だとは知らなかった。
魔王ヤーベに至っては人間を襲う悪い魔物群れのボス程度の認識しかなかった。
魔王ヤーベが誰も名前を憚る存在が故に聞いたこともなかったのである。
さらにサキはまたまた勘違いをした。
人間を襲う悪い魔物群れのボスであるヤーベ。
そんな存在をサキ一人で倒したというのは治安を維持する役割の王様にとって外聞が悪い。
なのでヤーベを倒した口止め料も兼ねて王様がサキを祝ってくれた。
そうサキは勘違いした。
つまりサキは偏り過ぎた知識を常識として勘違いしたまま、生涯を終えたのである。
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また、サキの覚えている魔法の一部は極めて強力であるが故に忘れられた『失われた魔法』といわれるものである。
云わば今のサキは歩く核兵器とでもいう存在となっている。
そんなことは知らないサキはふとつぶやいた。
「これからどうしましょう?」




