裏 愛
回想終了。
トーラさんは凄い人だよなぁ...
私、有名人(笑)だもんなぁ...
他「「「?」」」
テロドヌス マルテテス宅 P1286年11.26 深夜
(トーラさんって、正直...アレな人だったような...?)
サキはトーラとの出会いを思い返していた。
すると、
「ちょっと!!聞いてますか!?」
突然大声がサキの目の前に響く。
「うぉ!」
サキはおもわずたじろぐ。
「宴のへき(席)とはいえ、私の愛の説法をむひ(無視)するとは、
ゆるひません!!」
メアリが凄まじい形相でサキを睨みつける。
呂律が回っていないものの、怖い。
「す、すみませんでした...」
あまりの勢いにサキはよくわからないまま謝罪する。
そう、今はマルテテスが催してくれた宴の最中であった。
マルテテスは、テロドヌスを守るため戦ってくれた勇者たちのために
宴を開いてくれたのだ。
マルテテスがサキの友人と知り合いということもあり、話が弾んだ。
メニカばかり食べさせる友人について文句を言い合った。
なお、その愚痴ばかり話していたので、
サキの時代についての勘違いは解けていない。
そして、マルテテスが面白がってメアリに酒を飲ませた結果、
メアリが絡み酒を始めて、現在に至る。
マルテテスは逃げた。
「おい。いきなり絡んでそんなこと言われたってキノさん困るだろう...」
柏崎が見かねてメアリを諌める。
「いいや!キノさんはわかっていないんれす!!」
メアリは、柏崎の諌めにかまわずサキ(キノ)に言う。
「大声里耳に入らずと言いますが、柏崎様の愛は神聖なものなんれす!!!
純粋なものなんです!!わかりましたか!!!」
もはやわけがわからない。酔っ払いの戯言である。
「もう寝てろ」
柏崎もあきれ果てて、メアリに言う。
「ほらごあんなさい!この私への暖かい言葉!!!これほそ愛らんれす!!!」
メアリは感動した面持ちで叫ぶ。
「だめだこりゃ...」
柏崎は考えることを放棄した。
(柏崎君には悪いんですけど...若干イラついてきたんですけど、私)
サキ(キノ)は現実逃避から目覚め、三十分以上メアリの話につきあっている現状を思い出す。
(柏崎君のこと以外だとおとなしい人だったんですが...落差が激しすぎないですか?)
現実逃避気味に宴の前、正確に言えばメアリが酒を飲む前の会話を思い返す。
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テロドヌス マルテテス宅 精密検査室前の待合室 宴前
キースとの戦いの後、柏崎は念のために精密検査を受けることになった。
そして、サキとメアリが待合室で柏崎を待っていた。
二人とも沈黙のまま待機していた。
「そういえば」
サキは無言でいるのが、辛くなりメアリに話かける。
しかし、
「あのー?」
メアリもサキと同じタイミングで話しかけた。
「あ、すいません」
サキは何となく気まずくなり、話をやめる。
「いえいえ!そんなことないですよ。」
メアリはサキの気まずそうな顔を見て苦笑する。
(ヤバイ。私は初めて会う人と会話するの苦手なんですよね...)
サキは会話が苦手なせいで色々とんでもない状況になっていることに気がついていない。
(そもそも、ここにいていいんだろうか?何となくついてきたけど...)
サキは柏崎を心配するメアリを見かねて待合室まで来ていた。
(というか、私いたら邪魔だろう...恋人を待っているわけだし...)
サキは何となく自己嫌悪に陥ってきた。
「キノさん」
メアリはサキ(キノ)を呼ぶ。
(大体いつも私ときたら...
前にもこんな感じで空気読めよとか言われた...)
サキは完全に落ち込んでメアリの声に気づかない。
なれない偽名など使うからなおさらである。
「キノさん?」
メアリはサキ(キノ)が気づかないのか無視しているのか判断できず、戸惑う。
「うぉ!...すみません。考えごとをしていました」
サキは自分のことを呼んでいることに気がつく。
「ああ、そうでしたか...」
メアリはホッとした表情をする。
(申し訳ないな...
さっき(裏 伝説、再起動参照)も顔を隠したまま話をしてしまうし...)
サキは生き返ってから碌なコミュニケーションができていない自分を思い出す。
サキが自己嫌悪の負のスパイラルに入りそうになっている。
すると、
「すみません..」
メアリが突然謝罪した。
「へ?」
サキは思わず声が出る。
「私、命の恩人に対して本当に失礼なことを...」
メアリは本当に申し訳ないという顔でサキに謝罪する。
「私たちを助けるために来てくれたのに、急に怒鳴るなんて...
私はなんてひどいことを...」
メアリもまた自己嫌悪に陥っていた。
ある日突然、
トーラ協会から勇者柏崎とともに魔王ベルウを倒せという指令が下り、
今に至りメアリは疲弊しきっていた。
柏崎が紳士的な人物で、
メアリが一目ぼれしたのでなかったらやっていられなかったであろう。
そのため、メアリはできるかぎり感情的になることで自分を保っていた。
メアリは本来、おとなしい女性である。
そして、今、サキと二人だけになり、
われに返り自分の行いを振り返ることになった。
サキはそんなメアリの事情をしらない。
しかし、
「そんなことありませんよ」
サキはメアリを見つめて言った。
「恋人が怪我をしたら、誰だって気が動転してしまいます」
サキはメアリの事情は知らない。
しかし、メアリの憔悴したような様子から何かを感じた。
「でも、それはメアリさんが彼を愛しているという証です」
サキはメアリに対して悪感情はそもそも感じてはいなかった。
そして、今、メアリは柏崎を心配しているのだとサキは感じた。
「私は人をそこまで愛せるということは素晴らしいと思います。」
サキはメアリを通して誰かを見ているかのように言った。
一年ぶりくらいです。
色々立て込んでいてようやく書けました。
読んでくださった方はすみませんでした。
わかりにくいので、解説。
サキ→キノです。




