裏 死んだ男
前回、表より少し前の時間です。
???? P1286年11.26
国破れて山河あり、城春にして草木深しともいうべきか。
千年以上前の滅んだある王族の城。
もはや当時を思い起こさせるものはほとんど残っていない。
そんな苔の生い茂った城跡の一室に似つかわしくない綺麗な白い箱があった。
まるでそこだけ時代から取り残されたようでもあった。
それだけならば少し奇妙な遺跡というだけで済んだであろう。
しかし、ここはそれだけではなかった。
「ゴゴ...」
白い箱の蓋が揺れていた。
「ドンッ!」
白い箱の蓋が吹き飛んだ。
蓋が吹き飛んだ衝撃で土埃が舞い上がる。
すると中からは、
「あ~、良く寝た?」
美しい箱には似つかわしくない奇妙な男が出てきた。
「あれ?私死にました?」
男は混乱したように辺りをキョロキョロと見渡した。
「ジェニカく~ん!誰かいませんか?」
男はとりあえず思いついた名前を呼びつつ箱から抜け出した。
・・・・・およそ1時間経過・・・・・
「・・・なんか苔とか蜘蛛とかだらけだけど、ひょっとしてイルゥシン城かここ?」
ある程度辺りを見渡して気づいたようだ。
彼の名はサキ、今からおよそ三千年前に地球から締め出された男である。
「異世界トリップの次は時間旅行かな?これは?んでもって死者蘇生なら私神ですか?」
彼はもちろん神ではない。
しかし、自分が勇者と呼ばれている。まるで地球ならば厨二病でしかありえないような存在であるということ。
そんな自分の評価を知ったとき彼はどう思うか、今はまだ誰も知らない。




