魔法病
回想編再開です。
「この病気は一体なんなんだ!!」
「そもそも病気なのかこれは!?」
「悪魔が取り付いたんだ!!」
「悪魔め!!出て行け!!!」
「悪魔は地獄に落ちろ!!!」
回想 『この世の地獄』 K87年10.5
「っは!...夢か。」
ある男が目を覚ました。
その男の体からは汗が吹き出していた。
「神よ。我らを助け給え...」
男は神に助けを求める。
しかし、彼は神が本当にいるとは信じられなかった。
一箇所に軽度の病人が集まって話をしていた。
「新しい奴が来たみたいだぞ。」
「まだ軽度の魔法病らしい。」
「可哀想に...ここに来たらもう助からないというのに」
「まだトーラ様が頑張って下さっているぞ!諦めるな!!」
「だが、治らねぇだ。神に祈ったほうがまだ望みはあるぞぉ。」
そこには生きるのを諦める者、希望を抱く者、神に祈る者など様々な人々がいた。
しかし、彼らには総じて暗い雰囲気が漂っていた。
「諦めんな!!!」
麻の服を着た男が叫んだ。
「ケッセか...」
「ケッセさんよ!!魔物はいいな!体が丈夫で!!」
「お前さんは助かる見込みがあるかもしれんが...」
「お前は黙ってろ!!」
病人達は男、ケッセに野次を飛ばす。
「なにぉ!!辛気臭いんだよてめぇら!!!」
ケッセは病人達に食ってかかる。
辺りには一触即発の空気が漂う。
そこへ、
「やめなさい。あなたたち!!」
細面の男が割って入った。
「マルテテスさん!」
ケッセは驚いた様子で割って入った男の名を呼んだ。
「あなたたちもケッセもおやめなさい。」
マルテテスは穏やかな声で周りを諌めた。
「マルテテスさん!」
「長か...」
「ちょっと黙っててくれ!マルテテスさん!!」
病人達の中には静まるものもいたが食ってかかる者もいた。
しかし、
「黙れと言っているのがわからないか!!!」
マルテテスは穏やかな雰囲気とは打って変わり、彼らに怒声を浴びせた。
マルテテスの怒声で人々は静まり返る。
「いいですか?あなたがたは確かに、確かに難病に罹っています。
しかし、ですよ?諦めてはいけません。ケッセも言いましたね?」
マルテテスはケッセに尋ねる。
「お、おう。」
ケッセはマルテテスの問にうなづく。
「だからなんだって言うんだ...俺たちゃおしまいなんだよ...」
ある男が泣きそうな声色で呟く。
「そうだぁ...」
「あんたたちが言いたいのもわかるが...」
「どうせ死ぬんだ...」
男の呟きに病人達は賛同するようにつぶやき始める。
もうどうしようもない雰囲気に包まれてしまった。ケッセはそう思った。
しかし、
「だからなんだというのだ?」
マルテテスはぼそりと呟いた。
「えっ?」
誰かが聞き返すように言った。
「病人が病気を治すために必要なものは何だと思いますか?」
マルテテスは病人達に聞く。
マルテテスの問いに誰も答えない。
「病気の特効薬だと思いますか?それがないから治らない?…いいえ、違うんですよ」
マルテテスは病人達を見て言葉を続ける。
「本当に病気を治すために必要なもの。それは治そうという病人の意思です!!!」
マルテテスは病人達に詰め寄る。
「どんな万能薬も心の底から治したいという思いがなければ、ただのゴミです!!!」
マルテテスは医者としてはあるまじき発言をする。
しかし、
「諦めたら何もない!!大切なことは『生きる』という意思だ!!
どんな状況でも治したいという意思!!!
それがなければ難病なんて治せるはずがない!!!」
マルテテスは病人達に向かい叫んだ。
「患者であるあなたたちが諦めてどうするのですか...」
マルテテスはその場に倒れそうになる。
「マルテテスさん!!」
病人達がマルテテスに駆け寄る。
マルテテスは歯を食いしばって、何とか倒れなかった。
「大丈夫ですか!?マルテテスさん!」
ケッセがマルテテスを心配して言った。
病人達はマルテテスを心配そうに見つめる。
「大丈夫だ。大丈夫。」
マルテテスは病人達に心配をさせないように言う。
「それよりも偉そうなことを言ってしまいすみません。」
マルテテスは病人達とケッセに頭を下げる。
「いや、こちらのがすまねぇ!」
「あんたたちゃ、一番頑張っているんのに俺たちゃ何てことを...」
「あんたの体の方が大事だ!マルテテスさん悪いことは言わねぇ。今日は休んだほうがいい!!」
病人達はマルテテス心配する。
「大丈夫です。トーラさんも頑張っているんです。ちょっと立ちくらみをしただけですから...」
マルテテスは病人達をなだめつつ言った。
(しかし、魔法病の手がかりが一行に掴めない...誰かもっと、いないだろうか?
この状況を打開できる程の頭脳の持ち主は...)
マルテテスは悩んでいた。
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一方、サキは...
「初めまして。いきなりで申し訳ありませんが、被検体になってくれませんか?名も知らぬ方?」
修道服の女性が初めて話す相手にブッ飛んだことを言う。
「いいですよ。」
サキは何でもないかのように即答する。
「いやいやいやいや、おかしいだろう!!」
テテは二人に向かって突っ込む。
後に、伝説となる二人が出会っていた。




