表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サキの伝記外伝  作者: kohet
第二章 過去の伝説
25/32

”魔王ヤーベ”

フランリード大陸 ローデン城   K87年9.30




ローデン城は美しい湖が周りを覆うような美しい城であった。

魔物達の住む劣悪な環境と云われるフランリード大陸とは思えないものであった。


それもそのはずである。500年前までこの湖はエルフォード大陸に存在したものであった。


かつて、この湖はローデン湖と呼ばれる人間の貴族達の休養地だった。

L520年、魔王オウロがエルフォード大陸に侵略した。

侵攻の際、オウロはローデン湖の美しさに感動し、その土地ごと大陸から削り取り自分の領地に持って帰ったのである。


魔王とは言えども、土地そのものをエルフォード大陸からフランリード大陸に持ってきたという壮大さ。多くの魔物がオウロに対し畏敬の念を抱いた。


多くの若い魔物達がこの城と湖を見つめ、オウロの下でエルフォード大陸を侵略し、魔物たちの楽園を築こうと志した。


そんな魔物たちの希望を象徴するような城であった。



しかし、今ではローデン城は恐怖の対象となっていた。






「ひっ!」

銀髪が特徴的な男性の魔物が恐怖する。


ここは、ローデン城の謁見室。

魔物はこの城の主に一族の新しい当主として、この城の主に謁見しにきていた。


自分の生まれ持つ魔力、そして自身の美しさに自信を抱いていた。

魔物は当主としてふさわしいだけの試練を乗り越えてきたという自負があった。


自分は当主として恥ずることのない魔物と思ってきた。

しかし、この城の主に拝謁した途端、恐怖で幼子のような悲鳴を上げてしまう。




「何だ、腑抜けか。つまらんことだ」

玉座に座っている女が呟いた。


女は背丈が180cmもあり、灰色の長髪が腰のあたりまできていた。

肌は透き通る程白く、女が着ている黒い服がそれをより引き立てている。

思わず目を見張るような美女ではあるが、何故か儚げで、何故か恐ろしい。

思わず魅了されそうになるが、絶対近づけないような雰囲気があった。


女は先日手に入れたという宝刀を見つめ、魔物には欠片も興味を示さない。


「も、申し訳ありませぬ」

魔物は自分の失態を慌てた様子で玉座に向かい謝罪する。


しかし、魔物が恐怖を抱くのも無理はない。

謁見室には前魔王オウロのミイラが飾ってあったのだから。


「しかし、この置物にも飽きたな」

玉座の主は心底どうでもよいかのように言う。




この玉座の主こそ現ローデン城の主『魔王ヤーベ』である。

50年前、歴代魔王最強とも謳われたオウロを殺し、その玉座を奪い取った魔王である。




「...そうだな。そこの腑抜けよ」

ヤーベは魔物に声をかける。


「はっ!何でありましょうかヤーベ様!」

魔物は気を取り直すように自分に言い聞かせる。


自分がこれ以上ヤーベの機嫌を損ねてしまえば一族郎党皆殺しにされかねない。

魔物は自身の死もそうだが、一族の死を恐れた。

魔物の一族は他の魔王でさえぞんざいに扱えない力を誇っていた。

しかし、ヤーベはそれを歯牙にもかけないほどの力を持っていた。


だが、

「臆病者はいらない。一族もろとも死ね」

ヤーベはそう言うと手に持っていた宝刀を振りかざす。


「っ!?」

途端、宝剣が魔物の心臓を貫く。


(馬鹿な!?宝剣は今、ヤーベの手の中に…?)

魔物は自分の身に何が起こったのかよくわからないまま死んだ。

不思議なことに宝剣は刺さったまま抜けずに血は流れなかった。


「渇け」

ヤーベは死体に近づいて魔法を使う。


すると魔物の死体から蒸気が放出されていく。

魔物の誇りであった肉体がミイラへと変わっていく。

ヤーベは陶芸家が自らの作品が出来上がるのを待つかのように魔物を観察していた。





しばらくして、魔物は完全なミイラとなった。

ヤーベはミイラと化した魔物に近づいていく。


「...ふん!」『ズボッ』

ヤーベは魔物から宝剣を抜いた。


「微妙だな、つまらん。」

ヤーベはそれだけ言って死体に興味をなくした様子で玉座へと戻ろる。


そこへ、

「ヤーベ様。」

頭巾で顔を隠した男が突然ヤーベに声をかける。


「何かあったか?渡。」

ヤーベは男、渡に声をかける。


「魔王トゥノウ様がヤーベ様に話があるとのことです。」

渡がそう言うと扉の方を指し示す。


「トゥノウに入るように言え。あと、この置物は邪魔だから始末しろ。」

ヤーベはそう言ってミイラと化した魔物を指し示す。


「仰せの通りに。」

渡はそう言うと魔物のミイラを持ち上げ部屋をあとにした。


「あの程度の魔物では品がないな...」

ヤーベは先ほどの魔物のミイラを思い出してそう呟いた。


「魔王の置物の代わりはやはり魔王でなくてはならん」

ヤーベは置物にできる都合のいい魔王はいないか思案していると


「トゥノウ様がお入りです。」

渡がトゥノウの入室を伝える。


「ああ、ちょうどいい時にきたものだ」

ヤーベはそう言い、トゥノウの来訪に歓喜した。




続きます。




あと、人物紹介って入れたほういいでしょうか?

一応ノートに書いてあるのですが、必要であれば感想か何かに書いていただけたら幸いです。



使われない設定集 ~ヤーベに殺された銀髪の魔物~



K12.5.25、トェノスブレス族の当主の次男として生まれる。


5歳ごろからその非凡な才能を示し、一族の中でも評判となる。

具体的には、①初めての戦闘訓練で師範を倒してしまう

      ②テコ入れなしで人間でいう大学に5歳で入学

      ③当主でさえ困っていた領内のトラブルを2日で解決

      ④手慰み書いた本がオスロの目にとまり評判になる

etc...


そんなことがあって才能に絶対の自信を持ったいけ好かないクソガキになる。

長男は凡庸な魔物であったが、性格が温厚で友人知人が多く、弟を誇りとしていた。

しかし、次男である魔物の方は自分より優れない兄が周りからちやほやされているように見え腹ただしく思っていた。


K27.5.25、自分の成人を祝う宴(魔物では15歳が成人)で懸想していた女性が兄の方を好いているのに気づき、兄を殺害。

凡庸な兄では当主としてふさわしくなかったと一族に吹聴し、それが聞き入れられた。

奇しくも兄の方は弟の成人としての日に弟に当主を譲るという発表を行うつもりであった。

その後、兄の悪い噂をでっち上げて懸想していた女性と結婚。幸せな日々を送っていたが、ヤーベの気まぐれで呼び出されて殺される。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ