何となく
回想 カカメ森 K87年10.5
「自然破壊はいけません♪見つけたら?み・な・ご~ろ~し~♪」
サキは常和にいた頃みていたアニメの曲を口ずさみながらカカメ森を散策していた。
サキはどことなく上機嫌である。
「姫様の情報だとこの森を抜けて3時間ぐらいですね。長かったなぁ...」
サキは感慨深げに呟く。
サキがレウ研究所を出発して一週間が経過した。
研究所を出てからサキはトーラのいるという国へと向かった。
しかし、トーラはおらず、現在のトーラの居場所を知るのに一週間もかかってしまった。
その間に面倒ごとに巻き込まれたりしたもののそれはまた別の話。
「これ以上面倒はごめんです。姫様が何か意味深げなこと言ってた気がしますが...多分気のせいでしょう。うん。」
サキはそれが気のせいじゃないことに気がついていない様子でトーラの居る場所に向かう。
・・・・・・・・・
「おや?」
サキは小柄な女性が倒れているのを見かける。
「そこの君。大丈夫ですか?」
サキは倒れている女性に声をかける。
サキが近づいて見ると女性はエフ族のようであった。
女性は気を失っているようであった。そして何か病気に罹っているようであった。
女性は体全体が青くなっており、体温は氷のように冷たいかと思えば急に熱湯のごとく熱くなる。
よく見れば腰から下が浅黒くなって蠢いているようにも見える。
「...何ですかこの症状は?」
サキは女性の病気?に戸惑っていた。
「とにかく治療をしないと」
サキは治癒魔法で女性を治癒しようとする。
しかし、
「だめだ。魔法が未熟なせいか?今度は別な魔法を...」
サキの治癒魔法はあまり効いていない様子であった。
サキはしばらく自分の覚えている限りの魔法を使い女性を治癒しようとした。
だが、どれもあまり効果をなさなかった。治癒するとすぐにまた悪化してしまう。
「だめか...くそ!『球気』が使えてればこんなことには...」
サキは己の力のなさを嘆く。
「考えろ。力がないとはいえ魔法がある。治せないわけがない!!」
サキは自分にそう言い聞かせつつ考える。
そこへ、
「グルルルルル...」
10mはゆうに超える恐竜が目をギラつかせてサキの前に現れた。
「邪魔です。」
サキは魔法で恐竜に向かい巨大な火球を放つ。
「グァ!」
恐竜は体をひねり火球をかわす。
「しつこい!!」
サキは恐竜にもう一度火球を放つ。
「グァラ!」
またしても恐竜は体をひねり火球をかわす。
「グァラァ♪」
恐竜は『どうだ見たか』と言わんばかりに胸を張る。
「...」
何かが切れる音がした。
「うっとおしいわ!!!!」
サキは外面も気にせず辺り一面に魔法を放った。
「グァァ......」
恐竜も流石に交わせず倒れた。
「しばらく眠ってなさい。」
サキは恐竜を一瞥するとまた考え始めた。
「ん?待てよ。」
サキは何かを思いつく。
「治癒魔法も全く効いていないわけじゃない。だったら...」
そう言うとサキは女性に手をかざす。
「全魔力を一気に治癒魔法に使えば!!!」
辺り一面に緑色の光が迸る。
・・・・・・・・
サキが治療してからしばらくして女性が起きた。
「...あれ?死んだはずじゃあ...?」
女は体を起き上がらせて辺りを見回す。
「おかしい。魔法病に罹ったら絶対死ぬのではなかったか?」
女は混乱して頭を抱える。
「死ぬつもりで里を抜けて来たというのに...これでは...」
女は深刻な顔で悩んでいるようであった。
女はエフ族のある里の長の娘であった。
原因不明の伝染病。魔法病に罹り、里の人々に感染させないために里を追われた身であった。
故に死を覚悟し、25年の生涯を終える...はずだった。
「治ったのか?でも、もう里には戻れない...死んだ方がいっそのこと...」
女は死ぬ以外何もないと思い自殺を図ろうとする。
女は頭に手を当てて魔法を使おうとする。
そこへ、
「おや、気がつかれましたか?」
近くの川で水を汲んでいたサキが戻ってきた。
「なっ!」
女はサキに驚き手を止める。
「初めまして、私はサキと言います。お見知りおきを。」
サキは女にそう言うと会釈をした。
二人の間に数秒の沈黙が落ちる。
「人間!なぜ私を助けたりした!!」
女はサキを睨みつけて叫んだ。
「...何となく。」
サキは女の様子に呆気を取られた様子でそう返す。
「何となくだと!巫山戯るな!!私は...」
女はサキに怒鳴り散らそうとするも悲しい気分になり声が小さくなる。
「...すみませんが、魔法では完治できませんでした。まだあまり動かないでください。」
サキは女の様子を見て何か思うところがあったのか、そう言うと汲んできた水を差し出す。
「...」
女は黙って水を受け取る。
「『助けた』というのもおこがましいですね。本当に『何となく』なので。」
サキはそう言い女から顔を背ける。
しばらく沈黙が続いた。
「テテ。」
女が呟いた。
「は?」
サキは振り返って女を見る。
「私の名はテテだ。...人間がこの森に何のようだ?」
女、テテはサキに名乗り、尋ねる。
「...この森には用はありません。用があるのはこの先です。」
サキはテテの問いに答える。
「『この世の地獄』に用があります。」
テテ登場。
一週間何があったかは「サキの伝記」でやるつもりです。
とはいえしばらくはなさそうですが。




