表 伝説の騎士団の誕生
エルゥファ大学寮内 P1286年12.10
帰ってきたロードは大学寮内に戻り、リースをとある部屋に呼ぶ。
そこでロードはマーテルから伝えられたことをリースに話した。
「うっ、みんなぁ...ぅうう...」
リースはロードの報告を聞いて泣いていた。
正直、リースは騎士団の中ではあまり強くない。
だが、彼を慕っている騎士団のメンバーはそのことで彼を馬鹿にするような者はいなかった。
彼は弱い自分を一人の騎士として扱ってくれる騎士団が大好きであった。
その騎士団のメンバーの多くが死んだという事実は彼にとってどれほど辛いことであるか。
そのことを理解していた騎士団副長ロードは泣くリースにかける言葉が見つからなかった。
しかし、
「副長!」
目を赤くしながらもリースは泣くのをやめてロードに向かい叫んだ。
「な、なんだリース?」
珍しくロードが他人に気圧されるようになって言った。
「騎士団の多くが戦死し、我々は王から引き続き大学での任務を続けろとの命令を受けました!」
リースがロードから伝えられたことを覇気ある声で確認した。
「...まさかお前、王に逆らう気か?それは聞き捨てならないぞ!」
リファス王国に仕える騎士としてロードはリースに尋ねる。
「いえ、違います!
我々は、リファス王国騎士団は魔法クリアの捜索で戦死した仲間達のため、
必ずこの大学でクリアの正体を突き止めなければなりません!!」
リースはそうではないと、リファス王国騎士団の名誉にかけて任務に取り組まなければならないとロードに訴える。
「ならば良い!言いたいことはなんだ!!」
それを聞いたロードはリースの覚悟を察した上で、リースに問う。
「は!そのための指示を下さい!!いかなる命令でも必ずやり遂げます!!!」
リースはロードに跪き命令を求める。いかなる命令でも遂行する覚悟を目に宿して。
「よろしい!騎士リース!!今から貴公に命じる!心して聞け!!!」
ロードはリースの目を見て命令を下すことを伝える。
(私としたことが...落ち込んでいる場合ではなかった。
リースを見ろ!王の命令の遂行こそ戦死した仲間達への弔いだ!!
何がリファス王国騎士団の副長だ!部下に気づかされてどうする!!)
ロードはリースを見て自分の愚かさを叱責する。
そして、
「はっ!」
リースがロードからの命令を待つ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とある歴史家は、この時のリースとロードの問答こそが後の伝説の騎士団、
ファス騎士団の誕生だったと書き記している。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここから先はどの歴史書にも載っていない問答の続きである。
「で、命令なのだが...」
ロードはリースに命令を下そうとするが、言いにくそうにしていた。
「なにを言い淀んでいるのですか!ロード副長!!言ったはずです。私はどんな命令にも応じると!!」
リースはロードに対して声を荒げる。
「う、うむ...エル教授は知っているよな?」
ロードはリースに確認をする。
「知ってるも何も、魔法学のエキスパート。
魔法クリアに関する第一級監視対象者ではないですか!それがどうかしましたか?」
リースはロードに問う。
「...トゥエ助教授とエル教授はどんな関係だ?」
ロードは自分で考えておきながらこれから伝える作戦を言うのが嫌になった。
「ええと、喧嘩友達?」
リースはロードの作戦に対し、嫌な予感がした。
「・・・だ。」
ロードはか細い声で言う。
「聞こえません...副長。」
リースは嫌な予感をしつつもロードに聞き返す。
「だからトゥエ助教授とエル教授を恋仲にさせるんだよ!!!」
ロードは顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「えええええええええ!!!!!」
リースはロードの命令を聞いて驚き叫ぶ。
画して、歴史に残らない任務、
『トゥエ助教授とエル教授ラブラブ作戦(後にファス王子が命名)』が始まろうとしていた。
それは歴史に残るすべての騎士団のどんな任務よりもバカらしく、そして大真面目な任務だった。
伝説にも恥ずかしい話はあるものです。
無論、それはサキにも。でも、それは別の話。




