表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サキの伝記外伝  作者: kohet
第一章 伝説再び
10/32

表 魔法クリア

今回は魔法解説回

エルゥファ国リファス領事館内1番号室 P1286年12.10



「といっても、未確認で確かなことではありませんが...」

ロードの間抜けた姿を見てマーテルは笑いながら言った。


「お前。殴っていいか?」

それを聞いたロードは腕を震えさせながら言った。


「やめてください...それにどうやら嘘なわけでもないようなんですよ。」

マーテルはロードの今にも掴みかかりそうな様子を見て少し愉快そうに言った。


「ほう?それはどういうことだ?」

ロードはマーテルを睨みつける様にしながら続きをうながす。


「それがですね...件の人物がコームのレベル5相当の侵入者排除の結界を破ったらしいんですよ。」

マーテルはホッとしたようにそう言った。


「...確かにそれはすごいが、数時間あれば王家専属クラスの魔法使いなら可能ではないか?

私も一時間あればなんとかできるぞ。」

ロードは少し驚いたものの、それでなぜ魔法クリアにつながるのか不思議そうに言う。


「...そういえばあなたも人外クラスでした。はっ、失礼しました。」

マーテルがロードの魔法技術力に驚いて、素で暴言を言ってしまう。


「そうか。いや、照れるな//」

ロードは暴言に気づかず照れる。


「そ、そうなんですが、件の人物は結界を数秒で解除したらしいんですよ。」

マーテルは自らの暴言を誤魔化しつつ言った。


・・・・・


「いや、ちょっと待て。おかしいだろそれ。既存魔法馬鹿にし過ぎてるぞ。研究者殺す気か。」

魔法技術力をマーテルから人外クラスに認定されたロードが口早に言う。


「気持ちはわかります。しかし、フス様が報告を間違えるはずもないですし、結界の残存魔力からもレベル5相当が検出されてます。」

マーテルがその気持ちわかりますと言わんばかりに頷きながら言う。


「......なるほど、それでは確かに魔法クリアを使いでもしない限り無理だな。」

ロードは認めたくないような顔をしながらそう言った。


「すみません。なぜ、使われた魔法がクリアであると断言できるんでしょうか?

正直、私は魔法の専門ではないものでして...新しい魔法が開発されたという方がまだ信じられます。」

マーテルは自分の疑問を魔法のエキスパートであるロードに聞いてみる。


「...まあ、お前なら言っても問題あるまい。基礎魔力操作はわかるよな?」

ロードはマーテルに問いかける。


「流石にそれくらい知ってますよ。馬鹿にしすぎです。文官を舐めすぎですよ。」

マーテルが若干心外そうに言う。


「いや、すまん。最近は教育の質が落ちているせいか、それすらわからない馬鹿が多くてな。」

ロードにしては珍しく素直に謝る。


「『魔力操作は流れである。』、そう言われているのは赤子でも知っている。

体内に流れる魔力エネルギーは腕や足などを通って直線上に魔法となり放出される。ここまではいいな。」

ロードがマーテルに言う。


「はい。魔法使いは長袖や半袖の服は着ても魔法具を除いて、腕や足にアクセサリーをつけない理由でもありますね。」

マーテルがロードの話に頷く。


「そうだな、魔法は腕輪などで阻害されるとそこから魔力が漏れ出してしまう。

魔法使いにとってそれは命に関わる。」

ロードがなぜか少し楽しそうに言う。


「漏れ出る性質を利用した魔具もありますよね。」

マーテルがロードのそんな様子に少し首をかしげながら言った。


「それは置いておけ。問題は魔法を使う際に内包される魔素のことだ。

魔法は魔素を含まれることで初めて魔法となり放出される。」

ロードはマーテルの反応を気にもせず話を続ける。


「そうですね。魔法は風火土水のいずれかの魔素を注入させて初めて魔法となる。

しかし、それがどうかしましたか?」

マーテルが不思議そうに言う。


「...それで魔法クリアなんだが、始祖テテ様の文献によるとおそらくクリアは魔素が無い魔法だとされている。」

ロードは言いにくそうにマーテルに言う。


「魔素を抜いた魔法?それはおかしい。魔法は魔素がなければ存在出来ません。」

マーテルはロードに魔法を扱う者であれば誰もが知っている常識を言う。


「そうなんだ。テテ様がクリアを理解できなかった最大の理由だ。

...こう言ってはなんだが、勇者サキはありえない。

そもそも無という概念自体、あの時代の人間にあったかどうかさえ怪しいというのに...」

ロードはクリア最大の謎に声を絞り出すように説明する。


「クリアの説明はわかりました。しかし、それとコームの結界が何の関係があるんでしょうか?」

マーテルはロードの説明を聞いてもさっぱりわからないと言わんばかりに聞いた。


「まだわからないのか。そうだな、例えば今にもあれんばかりの水をたっぷり含んだスポンジがあったとしよう。

そのスポンジを水をこぼさずに別な場所に置きたい。」

ロードはわからないマーテルに例え話をしようとする。


「でだ、そのスポンジに水を含んでいない乾いたスポンジを押し付ける。するとどうなる?」

ロードはマーテルに問う。


「!、なるほど。水を含んだスポンジの水は乾いたスポンジに移ります。」

マーテルは何か気づいたようにロードに答える。


「そうだ。水が少なくなったスポンジは簡単に別な場所に運べるだろう?

水を魔素、スポンジを魔法と置き換えたらわかりやすい。

そして魔素の少ない魔法は、元々の魔法の作った流れに乗って消えていく。それが魔法クリアの正体。」

ロードはそういうと後の解答をマーテルに促す。


「なるほど、魔法クリアは対魔法用に特化した魔法なんですね。だから簡単に結界を破ることができたのか。

普通の魔法に魔法をぶつけても同等以上の魔法がない打ち消せない。しかし、魔法クリアなら最小の魔法で済む!!」

マーテルは答えながら、その解答に驚く。


「そうだ。これがテテ様がリファス王国機密書類『魔法クリアに関する考察』で考え出した浸透圧理論だ。

最も本当はもっと複雑なんだが...

まあ、魔法クリアが魔法に頼ってばかりいる対魔物用に特化した魔法であることは大丈夫か?」

ロードは少しもの足りなそうに言う。


「ありがとうございます。ロード様。

しかし、そんなにわかっていながらなぜ今まで誰もクリアを使えるものが現れなかったんでしょうか?」

マーテルはロードに問いかける。


「はぁ...いいかマーテル。魔法を使うとき魔素を注入するのは常識だろ。

魔素を注入しない魔法なんて普通絶対無理だというのはお前も言っていただろうが。

魔素がなければ魔法は形にもならず崩壊してしまう。テテ様もそこでつまずいた。

テテ様だけじゃない。3000年間、どんな魔法使いもできなかったんだ。正体は欠片も掴めていない。

理論は山の様にあっても誰も出来なかったんだ...」

魔法のエキスパートと自負するロードしかわからない苦悩がそこには見えた。


魔法クリアの話はそこで終わる。


・・・・・


「それより、これから私とリースはどうするんだ?」

ロードはマーテルにこれからどうすればよいか尋ねる。


「ファス王子は騎士団を再編し、ロード様達が王国に戻られるようにとメカロ王に進言なされたのですが...」

マーテルはロードに申し訳なさそうに言う。


「わかった。もう言うな。王は我々に大学での捜索を命じたのであろう。」

ロードはマーテルに見えないように後ろを向き言った。


「...は!その通りです。」

マーテルは後ろを向いたロードにあえて何も言わずにそう答える。


「王に伝えておけ、マーテル。我々は引き続き魔法クリアの捜索を続行しますと。」

それだけ言うとロードは部屋から出て行った。






部屋を出る際、握り締められたロードの握り拳からは血が流れていた。





物語が交わるのはいつになるのか。

次回は裏 温泉街です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ