始動 その1
発達しすぎたAIは魔法と変わらないんだってさ。
ああ、言い忘れてた。俺の名前はくろさ…じゃなかった。クロフォード。
突然なんだが、俺はVRゲームの世界に一生いることとなった。
なんでかって?AIが発達しちまったからさ。
VRゲームには[必ず現実世界で休息を取らなければならない]という、大きなデメリットがある。
これを怠れば栄養失調になったり、最悪死んでしまったりする。
ふとあるとき、一人のゲーム開発者が考えた。
『人間の脳をデータ化し、VR世界に入れれば、この問題を無視できるのではないか』と
イカれてる。確実にこの研究者は疲れが溜まっていたのだろう。
だが、この考えが広まると、一気に賛同する者が増えてしまった。
大半は廃人なのだが、ここにAI開発グループが加わってしまった。
それによってこの研究は一気に進むこととなる。
さらにその2年後、AIが自分で自分たちをコントロールできるようになった。
これによってゲームの世界に入ってからのことを心配しなくて済むこととなった。
と言うことで、このグループ…確か名前は…[ARS]とか言ったかな。
がゲームに人間を入れることにした。
その抽選に酔った勢いで参加した俺は、見事に当選してしまった。
誓約書を書かされた。
内容をざっくり言うと
・現実世界での肉体は無くなります!
・ゲームに参加してから現実世界に戻ることは不可能です!
・ゲームの製作陣に文句を言ったり、訴えたりしません!
って感じ。
胡散臭いけど、俺の直感が“YES“って言ってたから、サインしちまった。
で、俺はゲーム世界にいるってわけ。
ほんとすごいよね。AIって。
俺が子供の頃なんか、会話型AIでの作文の不正がどうとか、
AIを使った動画がどうとか、そんなレベルだったのに。
いつのまにか人を超えているんだよ。
魔法だよね。これ。
だから、人としての[黒崎涼太]はもういない。俺の28年分の[黒崎亮太]としての人生は終了した。
そして、魔導骸骨のクロフォードとしての人生(骨生?)が始まる。
ぶっちゃけ、一度はスケルトンになってみたかったんだよね。
魔物になるって憧れでしょ!
え?後悔していないのかって?
そりゃしてたさ!後悔は!でも、後悔ばっかしてても意味がない。
人生、楽しんだもの勝ちなのよ。
とか考えていたら目の前に綺麗なお姉さん。20代前半ぐらいかな?俺よりやや若いなぁ。
なんて考えていたらお姉さんが話し始めた。
「初めまして。十四大女神のうちの一人、終焉と再誕を司る女神、リーシャと申します。あなた様は、黒崎涼太様もとい、クロフォード様でお間違えないでしょうか?」
女神様だったのか。ってか、前の名前を知っているってことは、この人はきっと現実と繋がりのあるタイプのAIなのだろう。」
とりあえず返事をせねば。
「はい。私はクロフォードと申すものでございます。」
「よかった。お間違えないようですね。それでは、私が貴方様のキャラメイクを手伝わさせていただきます。」
キャラメイクを手伝ってくれるのか。それはありがたい。
「それではまず、種族から決めていきましょう。何かご希望のーー」
「魔道骸骨でお願いします!」
食い気味だったかな。まあ、仕方がない。
「魔導骸骨ですか?」
「はい。それで。」
「あの‥もしよろしければ、理由を伺ってもよろしいですか?」
理由だと?その答えはただ一つ。
「やったことがないからです。」
これに尽きる。
「やったことがない?」
「はい。普通のVRゲームでは種族は基本的に人や、それに近しいエルフなどしか選べませんでした。」
「だからやってみたい…と?」
「はい。その通りです。」
って言ってみたけど、どうだろうか?断られるかな?
「フフッ。不思議なお方ですね。あなたは。いいでしょう。魔導骸骨としての誕生を認めます。」
「ありがとうございます。」
どうやら好印象だったようで一安心だな。
「続いて職業ですけど、これは魔術師に固定されます。最後にスキルですが、十個選べます。」
「それについては少し決めてまして、【双剣】と【魔導学】《ネクロ・ノミコン》。それから、【鑑定】スキルにしようかと。」
「では、後七つですね。後七つは私がお勧めするスキルを入れてもよろしいでしょうか?」
それはいい。正直残りは何にも決めてなかったからな。
「ぜひお願いします。」
「では、新たな生を堪能してください。」
そう言われた直後、視界が白くなった。
□■□■
「あんたも肩入れしたのかい?リーシャがするなんて珍しいね。」
そう言って、私に近づいてきたのは、私、リーシャと同格の、戦争と勝利の女神、アテナキウスです。
「あの人、クロフォード様は人と違った御仁です。真っ先に人外を選ぶなんて。」
「それで、興味が沸いたって訳?」
「ええ。“あんたも”ってことはあなたも肩入れしたのでしょう?アテナ?」
「ああ。あいつはスキルを全て戦闘関係に注ぎ込んだのさ。普通の人じゃ到底思いつかない、ぶっ飛んだ発想さ。」
「それは、あなたの好みそうなお方ですね。」
「ああ。だから加護を与えた。リーシャもだろう?」
「それはもちろん。これからが楽しみです。」
「まったくだ。」
そう言って、私たちは笑い合いました。
ああ、あのお方がどう言う行動を取るのか楽しみです。
女神様怖っ。




