【彼に子供を産ませたい私】と【彼の子供を産みたい僕】
『 子供を生みたい
君と【私】との子供を産みたい
前提条件として【私】は同性愛者では無い
同性愛では無いが
君の事が大好きだ 。 』
と告白をしました
社交界デビューの日。
父に連れられて初めて参加する社交界。
ちょっと緊張。
社交界と言っても、
僕が社交界に慣れる為の練習
【田舎の小さな社交界】
に初参加しました。
トラブルに会いました。
社交界開始直前、気合を入れて準備した服を盛大に汚してしまった。
残念無念、しょうが無い。
用意した服を諦めるしかない。
かわりに気の利いた貸し衣装でも……
そう考えました。
慌てて衣装を探したものの、
【田舎の小さな社交界】が行われる、
【田舎の小さな町】なのが災いした。
満足する品質の貸衣装が無い。
たいした服も売っていない。
そもそも貴族用の服すら売ってる店がない
父と使用人も探し回ったが、駄目でした。
初めての【社交界】なのに、他の貴族から借りる?
借りを作るのも、他家の服で初めての【社交界デビュー】も、なんだかなぁ?
結局
今夜の主役の一人の僕。
父の服を借りる事で、なんとかかんとか我慢する事にしました。
父の服はサイズ等イロイロあわないけど。
大いに不満だったけど仕方がないや。
コレも練習のいっかんだし。
社交界における、トラブル対処の経験値を積んだと考える事にしよう。
僕が不満を我慢していると……
「そう不機嫌に、なら無いでおくれ」
と父は言う。
僕も自分に言い聞かせる。
この【田舎の社交界】は練習なんだよ。
本番の【もっと大きな社交界】では、こんな失敗しない為にも我慢を学習するんだよ。
「本番で無くて良かった。
と思う事にするよ」
僕は落ち着いて答えた。
父はそんな僕を見て、ホッとしたように笑う。何だか父は真剣な様子に見える。
そんなに【社交界】が大切なのだろうか?
それとも僕が大切にされているのだろうか
社交界が始まる。
【田舎の小さな社交界】と聞いてはいたが、中々に華やかな世界でした。
とても緊張する。
緊張はするが、僕は無難に出来たと思う。
でも……
服がイマイチなせいでイロイロ台無し。
だけども我慢我慢。
この社交界。
全ては練習と経験だから。
本番は、まだまだ先だ。
本番の最も大きな【社交界】で、輝く為の我慢だ。
僕は自分に言い聞かせる。
もっと冷静になろう。
ちょっと疲れてしまう。
少し休もうと人気の無い隅っこに移動。
食べ物をつまんでいた。
そこで初対面の男に話しかけられる。
そのオトコから突然に告白を受けた。
衝撃的だった。
だってさ
『 子供を生みたい
君と僕との子供を産みたい
前提条件として僕は同性愛者では無い
同性愛者では無いが……
君の事が大好きだ 。 』
とても情熱的に、
【エルフ顔のイケメン貴族】男から初対面でトンデモナイ告白をされたから
初対面の僕に舐めた事を言ってくる男。
そんな男を僕が妊娠させる?
そんな事が僕に可能だろうか?
いや、無理だ。
訳のわからない告白を受けたせいで、
頭がパニックだ。
でも……!
ふざけた声をかけてきた男。
よく見ると……
【顔が!】
僕のドストライクなのさ。
困った。
だから困った。
困った。
コレだけ顔が良ければ、僕が必死に頑張れば、なんとかんとか【コノ彼】は妊娠するんじゃないかな?
そんな馬鹿げた妄想をしてしまう。
それくらい……彼は顔が可愛い。
顔以外は残念無念なのに……
【顔が!】
……ルックスは【ド!タイプ】
なんだよなぁ 。
何とか頑張れば、
【この顔以外が残念な男の子】、
どうにかして、私が彼を彼の望み通りに妊娠させられないかなぁ。
その日はイロイロ衝撃が大きすぎて、それからの記憶が飛んでる。
特に問題はおこさなかった。
と父が言ってたから、とりあえずは安心。
後日。
家に帰ってから胸がモヤモヤする。
彼の事が頭から離れない。
彼の事が気になったので、さり気なく彼の評判を探ってみる事にする。
探るんじゃなかった。
イロイロ後悔しました。
彼は筋金入りの『同性愛者』でした。
その事で過去に様々な男達と、イロイロ問題をおこしたそうな。
いろんなオモシロ、じゃなかった
いや、とんでもエピソードをチラホラ聞かされてしまった!
あの日を境に……
僕は頭がおかしくなった。
初対面で【エルフ顔の変な男】から変な告白を受けたせいだ。
頭から彼の事が離れない。
胸が痛い。
あの彼の変な過去話を聞いたせいだ。
そのせいで僕の常識と頭と精神と性癖がぶっ壊れました。
僕は多分、病気になってしまった。
【僕の中の私が目覚めた】
多分僕は精神を病んだと思う。
まるで僕は二重人格にでもなってしまったかのようだ。
【僕】の中に【私】がいる。
僕の中に生まれた【私】は……
なんとかして、
あの【エルフ顔のイケメン彼】を妊娠させたくて仕方が無い。
【私】の中から嗜虐心が溢れでる。
【私】の中で暴走して止まってくれない。
【僕】はあの【偽エルフ】の子供なら産んであげても良いかなぁとか思うのに。
その反面【僕】の中に新たに産まれた人格
【私】
【私】の嗜虐心は【僕】の感情を、たやすく上回ってしまう。
【私】は彼をどうにかして、彼を妊娠させたくて仕方が無い。
彼の望みを叶えてあげたい。
ソレに彼を虐めたくてしかたがない。
【僕】は2重人格になったと思う事にした。
新しく生まれた人格の【私】には、変な性癖が目覚めちゃった
【僕】の常識と
【私】の非常識のギャップに身悶える。
僕等は無意識に彼の事を考えながら、自分の部屋の中をグルグル歩いています。
彼のせいで、悩まなきゃいけない事が山程出来てしまったからね。
【私】は『エルフ顔似の可愛い彼』を見かけると………
【コイツ。コレだけ顔が良いなら。なんとかしたら、妊娠するんじゃないかなぁ】と考えて……
【僕】はその考え自体を罪だと否定する。
2重人格になった僕等は、そんな凄く罪深い生き物になってしまっている。
【僕等】は一体全体、何を訳のわからない事を考えているのだろう?
【本物の変人の発想は、容易く常人の情緒を貫き混乱させる】
が
【本物の変人は、変人の発想を、おかしい考えだとは思わない】
誰だって自分自身を正常だと思う。
だって正常の基準は自分自身なんだし。
自分自身を異常と判断できる事自体が異常事態に違いないのだから。
常人も変人も自分自身が正常だと思う。
そして
僕達に告白してきた彼も、自分自身の事を普通だと思ってしまっている。
彼は世の中の大半が、自分と同じく同性愛者だと勘違いしていた。
少なくとも普通の事だと考えている。
一方
【僕】は自分自身を、自分の中に産まれた【私】の事を、異常事態だと正しく認識できている。
2重人格になった僕等と
彼との付き合いはそれからも続いた。
僕等は慎重に自分達の正体を隠している。
【二重人格】の事も、僕等の望みも、正体を明かせば彼に嫌われると思い隠している。
彼に嫌われない為に。
ある日
「結婚して欲しい」
と彼から言われた。
悩んだけど……結局
彼の熱烈なアタックを僕等は受け入れた。
秘密を隠した僕等は、計画を練る。
僕等の秘密がバレた時、彼に嫌われても、彼を捕まえておける様に、計画を練る。
僕等と彼は慎重に手続きをおこなう。
【僕】と【私】は彼に【罠】をはる。
先ず彼の御両親の許可や協力も得た。
彼の御両親は、彼のおこすトラブルに困っていたので、容易く僕等の計画の協力者になってくれた。
【婚前契約書】
結婚後に彼が逃げないよう、様々な取り決めを彼の御両親立会の元、作った。
コレで彼は【僕と私】から逃げられない、
もう、彼が逃げられない様にしてから
【私】は彼に言ってやった。
昔、彼の言葉でショックを受けたせいで、僕の中に【私】が産まれた。
その時の、彼からの言葉をそのまま彼へ。
『 子供を生みたい
君と【僕】との子供を産みたい
前提条件として僕は同性愛者では無いが
同性愛者では無いが……
君の事が大好きだ 。 』
固まる彼
馬鹿可愛い彼の顔に喜びが溢れる
私が彼のプロポーズを受けたと思ったから
察しの悪い。
【僕と私】の彼氏は、そんな彼氏。
見てるだけで、【私】に嗜虐心が溢れる
【僕の中の私】はトドメの一撃を加えた。
『前提条件として、気がついて無い様だけども、私は【女】だよ。でもアナタは同性愛者じゃないんだよね。問題無いよね』
昔の彼の言葉を借りて彼に念をおす。
【私】の意地の悪い言葉。
同性愛者の彼は驚いていた。
固まっています。
【私】は彼のその顔が見たかった。
【私】の嗜虐心が満たされる。
歓びで【私】が満たされる
【私】が初めて彼にあった日。
【私】のドレスは汚れてしまって。父の服を借りて着ていた。
だから父の男物の服を着た【私】を
彼は男だと勘違いした。
無理も無い。
私の兄弟は男ばかり。
男兄弟に囲まれて育った私は男勝り。
男兄弟達の影響を強く受けている。
兄のお下がりの服を平気で着ていた。
言葉使いも他の男兄弟達と大差ない。
髪も短い。
田舎育ちでイロイロがさつだ。
それが普通だと思っていた。
男として育てられた訳では無いが、
結果的に男らしい女に育ってしまったから。男に良く間違われる。
それが私。
同性愛者の彼にとって、【僕と私】はさぞかし魅力的な男の子に写った事だろう
トドメに【私】は自分の事を
【僕】と言っていたし。
兄弟全員が自分の事を僕と言っていたから
私も一人称は僕だった。
【僕は僕っ子だった】
【田舎の社交界】デビューで自分の事を【私】と言う訓練をするはずだったのですが
だけども開始前に女物の服を汚してしまったから、変わりの服探しでドタバタしてしまった。
父の男物の服を借りたので、どうせ社交界の練習だし、今日は、もう、いつも通り一人称は【僕】で良いや。となった。
自分の事を【私】と言う訓練は忘れられた
そして彼と出会う。
同性愛者の彼は、男物の服を着て、男の様に振る舞い話す【僕】を男だと思った。
ダカラ告白してきたのだと思う。
その一方
産まれて初めて異性から告白を受けたせいで、僕の中の【私】が目覚めた。
それまで男勝りで、自分に無かった女性的な何かが、変な彼から変な告白を受けて、変なふうに目覚めてしまった。
【顔がドタイプ】の変な彼から
人生初の告白を受けたせいで、
【僕】の中の女の【私】が目を覚ます
蕾が花を咲かすように私に春が来た。
【私】は【僕】に比べて、
とても性格が意地悪い。
残酷で、
嗜虐心に溢れていて
何故か彼を無性にいじめたくなるんだ。
なのに彼の願いを叶えてあげたいとも、
そして彼を手に入れたいとも思う。
全ては彼が【僕】と【私】の【僕等】を男と勘違いした事からはじまった。
彼の衝撃的な告白で【私】は産まれた。
【僕と私】は馬鹿で可愛い彼を騙し続けた
僕達は彼に首ったけだ。
彼が例え同性愛者だとしても、逃げようとしても……もうおそい
だってさ……
もう結婚、その他の手続きは終わってる。
【婚前契約書】
逃げる事は出来無い契約内容を盛り込んでいる。
もう……逃さない。
【私】は【僕】がドン引きするぐらい、とても嫉妬深くて独占欲が強かった。
彼は真実を知ってどうするだろうか?
【私】の正体を知ってどう思うだろう?
同性愛の彼が、女性に愛を囁き続けていたと知ったら……
ジタバタ【私】から逃げようと足掻くならば、そんな彼を嗜虐心溢れる【私】は可愛いと思えるし。
彼氏が【私】を愛してくれるのなら
嬉しいし
それも良い
問題無い。
最悪なのは彼氏が【私】では無く【僕】だけを愛した場合だ。
なんと言っても
自分達の中でも
【彼に子供を産ませたい私】
と
【彼の子供を産みたい僕】
の間で葛藤、
まだ決着がついていないのだ。
まだ悩まなければならないのだから。
子供の事だけは……
男らしい【僕】のほうが常識的で女らしく彼の子供を産みたいと思う。
『その一方』
女らしい【私】が、彼の望み通り。
『彼に【私】の子供を産ませたい』と言う
絶対に不可能で非常識な考えを持っているのは皮肉な事だと【僕等】は嗤う。
一年後
私達は幸せにすごしている。
一方、彼氏はイロイロ悩んだ挙句、
男っぽい【僕】を愛した。
そして年を取るごとに、どんどん女らしくなる【私】の事も、男だと思い込む事にしたらしい。
訳がわからないが……
【私】を男と思い込む事で、全ての事に蓋をしている様だ。
彼いわく。
私を男だと信じ抜けば、私は男に変わるらしい。
訳がわからないさ。
そんな彼の様子が、馬鹿で可愛いと思う。
僕等以外と浮気をしたらコロスけどね。
嬉しい誤算があった
彼の両親から【私】は死ぬほど感謝された
感謝され続けています。
「一人息子がアレだから、もはやマトモな結婚も孫も諦めていた。
なのに……嬉しい誤算だよ。
ありがとう。
我が家は救われた」
だそうだ。
義両親は大喜び。
悪い気はしなかった。
と言うよりも素直に嬉しいし。
悲しい誤算もあった。
私の両親が彼に
「娘がアレだから、結婚も孫も諦めていた」
だそうだ。
一か八か最後の賭けのつもりで、
娘を社交界に連れて行ったら大当たり。
私の両親は泣きながら彼に礼を言っていた
なぜだ?
一体全体どういう事だ?
最後の賭けってなんだろう?
当時まだ産まれてなかった【私】はともかく、【僕】もマトモでは無かったのだろうか?
自分ではマトモなつもりだったのに……
深く考えない事にした。
何故なら今が幸せだからです。
今が幸せなら【僕達】はそれで良い。
更に一年後
『 子供を生みたい
君と私との子供を産みたい
前提条件として私は同性愛者では無い
同性愛では無いが
君の事が大好きだ 。 』
【私】から彼に 告白をしました
【私】は馬鹿可愛い彼に、子供を産ませる事を、ついに諦めてしまった。
私は諦めて彼の子供を産むことに決める。
イロイロな過程があったけど
私達は普通の幸せな家庭になった。
今から思うと、
私の病名は【二重人格】では無く、
ただの【初恋】だったのかも知れない
【初恋】に舞い上がった【私】が
好きな人の望みを叶えてあげようと、暴走しただけなのかも知れなかった。
お互いに幸せになった今では、
その全てがどうでも良い事で、
その全てが大切な想い出になりました
めでたしめでたし
おしまい




