キララ流カレー vs 大我流カレー
同じ材料を使っても、
同じ料理にはならない。
料理は、手順を守れば完成するものではなく、
どこで何を信じるかによって、
まったく違う顔を見せる。
鷹宮葵蘭のカレーは、
正解を積み重ねた味だ。
誰が作っても、同じ場所に辿り着ける。
暁月大我のカレーは、
その日の鍋と向き合った味だ。
同じ手順でも、同じにはならない。
この工程比較は、
優劣を決めるためのものではない。
料理に向き合う姿勢の違いを、
可視化するための一枚である。
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キララ流カレー vs 大我流カレー
――工程と思考の比較
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① 仕込み段階
◆ 鷹宮葵蘭流
•玉ねぎ・肉・野菜は規定サイズにカット
•重量・水分量を事前に測定
•仕込み時間を最短化
•「誤差が出ないこと」を最優先
▶ 思考
再現できない工程は、工程ではない
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◆ 暁月大我流
•カットは揃えるが、食感を想定して微調整
•肉の筋・脂の付き方を見て切り分ける
•水分量は素材の状態で判断
▶ 思考
同じ素材でも、今日は同じじゃない
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② 油と火入れ
◆ キララ流
•油は既定量
•中火で安定加熱
•温度が上がったら即、具材投入
▶ 思考
油は媒介。主役ではない
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◆ 大我流
•最初に油だけを温める
•香りが立つまで、具材を入れない
•火加減は鍋の反応で調整
▶ 思考
油は、香りを運ぶ器
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③ 玉ねぎの扱い
◆ キララ流
•色づき始めたら次工程へ
•甘味は計算内
•炒めすぎによる苦味を回避
▶ 思考
玉ねぎは甘味担当。役割以上は不要
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◆ 大我流
•色だけでなく匂いの変化を見る
•飴色直前で止める
•焦げる一歩手前で火を落とす
▶ 思考
甘味と苦味の境界が、深みになる
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④ スパイス投入
◆ キララ流
•規定配合
•温度が安定してから投入
•香りを飛ばさないことを重視
▶ 思考
スパイスは、味を完成させる部品
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◆ 大我流
•油が最も香る瞬間に投入
•一部スパイスを後入れ
•香りの層を作る
▶ 思考
スパイスは、時間差で語らせる
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⑤ 煮込み
◆ キララ流
•既定時間
•アクは定期的に除去
•味を「整える」
▶ 思考
煮込みは、誤差修正の時間
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◆ 大我流
•煮込み時間は流動的
•アクは最低限
•味を「変化させる」
▶ 思考
煮込みは、覚悟を固める時間
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⑥ 完成判断
◆ キララ流
•味見は最小限
•予定通りなら完成
▶ 判断基準
正解に到達しているか
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◆ 大我流
•最後に一口、必ず味を見る
•予定と違っても、踏み込む
▶ 判断基準
今、この鍋が一番強いか
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総評(作中評価)
•キララ流カレー
誰が作っても安定する
安心と完成度の塊
•大我流カレー
再現しづらい
だが、一度ハマると忘れられない
安定した料理は、強い。
再現性があり、
失敗がなく、
評価されやすい。
だが、
すべての料理が
そこに留まる必要はない。
踏み込む料理は、危うい。
失敗すれば、何も残らない。
それでも、
心に残る味は、たいていその先にある。
キララのカレーは、
料理という学問の到達点だ。
大我のカレーは、
料理という選択の結果だ。
夜月学園が問うているのは、
どちらが正しいかではない。
どこまで、料理に賭けられるか。
この二つの鍋は、
いずれ交わる。
そのとき、
正解と覚悟は、
同じ皿の上に並ぶだろう。




