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“Effects of selfishness/利己主義の影響”(Another story of Civil war)  作者: 河崎浩


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1/13

利己主義の影響(1)

主人公:山本巧 元陸上自衛隊特殊作戦群長 一佐

副主人公:キャサリン山本、元米陸軍中佐 ヘリコプターライセンスのあるパイロット

橋爪陸将補:東部方面総監部幕僚長、市ヶ谷の幕僚本部で第三位

刈谷良助(三佐):自衛隊情報保全隊情報管理室室長(Intelligence Security Command:JISC)

田中康夫(二尉)

田中玲子海上一佐

山田官房長官

石田内閣総理大臣

山岡外務大臣

佐野浩二(ヘリ会社社長)

マンスフリー駐日米国大使

在日米司令官

防衛大臣:機械(めか)好きでロジカル、しかし民主党関係のロビーに、友人を多く持ち、一見リアリストの様だが、実は、ゴリゴリの一国平和主義者

在沖縄海兵隊司令官

沖縄県知事

韓国大統領

宋浩然共産党総書記

台湾総統

カタガルガン(フィリピン)大統領

ベトナム共産党総書記

ロシア大統領

NATO司令官

フランス大統領

ドイツ首相

イタリア首相

米西部連合大統領

オリジナル大統領

米北部連合リベラル大統領

カナダ首相

ボブマクレガー(キャサリンの親父)

イアンマクレガー(キャサリンの兄)


(プロローグ)

(市ヶ谷にて)

(プロローグ)

その日も、喧嘩の原因は、お金の事だった。

キャサリン山本は、退役時の最終的階級は元米陸軍中佐であり、二種類以上のヘリコプターライセンスのあるパイロットでもあった。

彼は、その夫で、山本巧元陸上自衛隊特殊作戦群の群長迄上り詰めた、超エリートでもあった。

しかも当時、彼は、未だ四〇前、陸自史上、最年少の群長でもあった。

階級も、彼女より、かなり上のアメリカ風に言えば、大佐レベルであった。(当時、まだ彼女は、大尉であった)が

しかし、当時から給与は、彼女の方が、かなり上。

最終的には、その開きは、年収レベルで、日本円にして500万円は、あったと云う。

故に、周囲は、何故?彼等が、結婚と言う選択肢を選び、且つキャサリンは、日本に行き、山本は退職を選んだのか?中々意味(意図)を理解する事は、出来なかった。

結婚し、帰国後、彼等は、即、彼の故郷である山梨で、ヘリコプターの運用会社を興した。

需要は、社長を置き、彼が、捌かなければならぬ程、在り。山梨で生活する分には、困る様な事は無く、寧ろ今迄より、しかも、周囲の同世代、いや東京で働く山本の友人である一般会社や官庁に勤める、所謂、一流大卒のエリートの同級生達より精神的にも物質的にも優雅な生活が、送れた。

ヘリコプターは、彼(山本)の伝手(つて)で、彼女の好みの機体が、選べたし、同じくヘリの運営管理を委託(実際は、彼等もメンテは、出来た)したヘリポートも、彼の自衛隊時代の伝手で、簡単に見つける事が出来た。

キャサリンが好む専用の機体の購入に関しても、彼等の貯えと退職金を当てれば、中古機ならば、即金で買え、且つ若干おつりすら、出せた。

この会社の社長こそ、山本の古くからの友人が就任したが、それは、キャサリンの経歴や山本の経歴が、絶対のお墨付きの様に光っており、営業はする必要もなく、国・地方自治体、民間を問わず引き合いは、引きも切らなかった。

結果、金の勘定と夫婦のお眼鏡に沿う“客”の選り好みを専任でするのが、社長の役目であり、地元の信用金庫は、彼等を超優良顧客として、今使用している中古の機体を新規機種への更新を専ら薦めていたし、サブとして中央のメガバンクの一つにも口座を持っていた。

彼等はこぞって融資を勧めた。要は、この会社の財務に関しては、安心しきっていた。

その様なパワーカップルが、お金の事で喧嘩を始めたのは、この夏のバカンスの行き先と、その際のお金の使い方に関してが、きっかけであった。彼等の財布は、会社の財布でもあったのだった。

夏は、地震などの自然災害でも起きない限り、9月後半の台風シーズン迄は、比較的、遭難や取材の依頼は少なく、有ったとしても彼等の高度なテクニックを必要としないで済む。

要は、彼等の弟子でもある、民間会社や、地元自治消防や、県警察のヘリ部隊が対応できるレベルの事故や、運搬事案程度が夏の業務だったので、彼等は、バカンスにとってハイシーズンであり、航空運賃などが多少高くても、子供(の通う学校等)が長い休みを(子供に)与える夏休み期間に、休暇のスケジュールを組み込む事が可能であった。

キャサリンは、この時期に、子供と家族で、故郷のテキサスに行く事を毎回、強く望んだ。

しかし、山本は、子供をテキサスの両親に預ける事には、賛成したが、彼等は、二人が出会った、ヤキマで、十年振りの、トレーニングを積む事を今年は、強く望んだ。

彼の性格上、本音では、年に一回は、訓練を積まないと、自身(と妻)のスキルが、落ちる事への危機感があったが、キャサリンは、その様な事は、全く考えていなかった。

単に、彼は、私と二人きりのバカンスを過ごしたいだけだ。と勘違いしていた。

でもそれは、何時でも、此処(国内)でも、可能であった。故に、彼女は怒っていたのだった。

日本と異なり、アメリカが、退役した民間(元軍人)に対しても、軍のトレーニング施設を“有料”とは言え、開放している事、費用負担に過多により、そのプラクティスの内容が、より実践に即したものに“フレキシブル”に、変えてくれる(対応可能な)事は有り難かった。そんな『特典』を使わない手はない。と言うのが、山本の主張であった。

今年の冬は、特に然したる自分たちのスキル向上に繋がる“案件”は、無かったのが、その最大の理由でもあった。

そして彼は、妻の田舎でもできるが、実際に銃を使った“プラクティス”も、そろそろすべき。と考えていた。

そう、民間と軍用のファシリティーでは、その構成が違うのは、幾ら米国とは言え、当然であった。

「君の家の近所のシューティングレンジで、弾を撃ったって意味は“ない”親父さんや、(()兄貴(アン)を喜ばせるだけだろう?」

「なんで、日本で、その様なプラクティスが必要なの?そのお金は、何処から出るの?毎年そうしているじゃない」

此の言い合いで、終始していた。テキサスで銃を撃つのは、シューティングレンジか、狩猟(これが彼女()の(ア)()の趣味でもあった)だけであった。息子のジョーは、この両親の遣り取りの意味は、未だ、完璧に理解できる歳では無かったので、仲の良い二人の、何時もの事とばかりに、ポカーンと、口を開け、両親の口喧嘩を見つめていた。

山本は、この九年間は、キャサリンが喜ぶ、彼女の田舎への帰省に、文句も言わず、表面上は、喜んで、付き合って来たのだから、十年目の今年位は、自分の好みに、彼女が付き合ってくれても“構わないだろう?”と言う気持ちもあった。

見た(スタイル)こそ、お互いが、出会った時とは変わっていないが、どの程度体力や、スキルが、お互いに、落ちているか?を自覚しておきたい“衝動”も、山本には、あった。

そんな時に、テレビからは、とんでもないニュースが飛び込んできた。

『現アメリカ大統領の政策に、カリフォルニア州や、ニューヨーク等のリベラルのステーツと呼ばれる州が、反旗を翻した』と言うモノであった。未だ、長期に渡る、ロシアとウクライナの紛争(戦争)。ユダヤ人のパレスチナに於ける蛮行(一方的にしか見えない領土の拡大)。隣国の傍若無人な振る舞いは、全く、収まる気配を見せていない環境下で、民主主義の“砦”足るアメリカ合衆国が、本当に分裂した事態は、彼等の痴話喧嘩を止めさせる特効薬でもあった。

「実家に連絡は付くか?」

山本は、妻に携帯を渡し、テキサスの実家に連絡をとらせた。

彼女の両親や弟は、皆、基本リパブリカン(共和党支持者)だったが、現大統領の政策に対しては、懐疑的な人達でもあった。キャサリンが、電話で実家を呼び出している間に、自宅の電話と山本の携帯が同時になった。

携帯は、会社からで、この様な環境で、本当に、アメリカへバカンスに行くのか、どうかの確認であった。しかし、自宅電話は、防衛相からで、それも元直属の上官からであった。山本は、自身が、予備自衛官として登録している事を忘れていた。

「山本一佐か?此方、市ヶ谷の橋爪(陸相補)だ。元気か?」

最初は、挨拶程度だった。

「奥さんや、城君も元気か?…ならば良い、処でニュースは見たか?」

早速、本題を切り出してきた。山本は感じた。

「で、どう思う?」

と言われても、余りにも情報が無いので、答え様は無かった。

「此方も至急、情報筋に当たっているが、即帰隊可能か?」

そら来た。と思った。

即応予備自衛官とは言え、北富士や、千葉のレンジャー用の施設、特殊群の施設等を退官後、一度も使わせてもらえず、冬の民間や、訓練隊員等の遭難時、地元の隊と協力/都合よく救援部隊の指揮官兼任の実行部隊として便利に利用されている“だけ”と、実は、感じていた。

その程度、勿論、その際の、自社のパブリシティー効果は、絶大であり、会社の佐野(社長)は、自衛隊だけでなく地元、中央の行政から実費(経費)以上の金銭も、しっかり得てはいた。

只、自身は、月額、雀の涙ほどの手当てが、国から支給されるに過ぎない。(その辺り、佐野は“ちゃっかり”していたが、キャサリンは、そのことを許容していた)

『俺に何を期待しようとしているのだ?此のおっさんは?』と言うのが正直な第一印象でもあった。

「しかし現場を離れて(退官して)十年も経ちますし」

一応探りを入れてみた。

「いや、君達夫婦の活躍は、申し訳ないが、個人的にも、省や群隊単位でも、チェックは、させて貰っている。今は、民間の君達の客観的な視点が、私には、必要な時なのだ。だから尋ねたのだ」

橋爪さんは、正直な人だ。自衛隊時代と変わらんな。山本の率直な印象であった。

「お言葉を採る様ですが、陸将、今“君達”と仰いましたか?」

「そうだ、君だけでなく、キャサリンの知恵(実力)も借りる場合が、あるだろうと云う事だ」

「出頭場所と時間は」

「うんむ。明日では、早すぎるか?」

「ヘリで、伺っても良いならば、可能ですが?」

少し山本は、ブラフを噛ませたつもりだった。

「佳かろう、市ヶ谷のヘリポートを開けて置く12:00ではどうか?」

あ!(しまった)と思ったが、後の祭りだった。

「イチニーマルマル。市ヶ谷了解しました」

と答える“しか”なかった。山本は、妻の顔を覗き込んだ。そして、日本語で

「どうだ?」

山本は、キャサリンに義父の状況を尋ねた。

「特に変わった事は無いみたい。でも銃砲店や、スーパーには、人が、押し寄せているみたいね?」

「で州兵や州知事のレスポンスに関しては、親父さん、何か掴んでいるのか?」

「ネットでも、放送でも、それに関しては沈黙しているみたい。テキサスの知事は、共和党だが、ケースバイケースの人間だと(父は)言っていたわ」

キャサリンの応えは、英語である。

「処で、市ヶ谷から呼び出しがかかった」

「え!」

「君もだ!」

「ええ!でも、城は、どうするの?」

キャサリンは、大層、大袈裟に驚いたが、自分も、防衛省に呼ばれた事に対しては、満更でもない様だった。

「そうだな、彼に聞いてみるが、一応、佐野ちゃん(社長)の家が、大丈夫なら、彼に預けようと思うんだが」

「そうね、それが良い」

キャサリンの反応は、此処は日本語であったが、意外と、あっさりとしていた。

「それで、ヘリで明日の12時に着くように行く。スケジュール的には、無理は、ないだろ?」

「そうね!10時に出れば楽勝ね」

と言うと、彼女は、既に会社に日本語で電話をしていた。

キャサリンにとって、ヘリで東京、それも、都心に飛ぶ。と云う意味が、未だ実感としてどういう事か理解されていない事は、山本にとって有り難かった。

「ただ、あとで、佐野には、一報(事情の説明)を入れて置こう」

これが普通の、日本人の感覚で会った。


(市ヶ谷にて)

在日米軍の総司令官は、代々、空軍司令官であり、彼は、横田に、必ず居た。階級は中将で、キャサリンとは、面識は無かった。

橋爪陸将補(少将)は、東部方面総監部幕僚長でもあり、市ヶ谷の幕僚本部では第三位の席順であった。防衛大臣と共に国内外全ての問題に、対処しなければならない統合幕僚総監(大将/陸将)や朝霞を始めとする方面総監部隊全てを統括する統合幕僚長(中将/陸将)に代わり、米インド太平洋軍総司令官(海軍大将)の、カウンタパートでもあった。

只、その本部は、時差が『一日あるハワイ』この場合は、時差の無い、横田に日本側の現状に関する“意思”を伝える為、連絡しておくことが“筋”であり、手っ取り早かった。

そして、そのような事務手続きは、米国で事が起きた日本時間の昨日中には、要は、オンタイムで全て終えていた。

山本とキャサリンは、橋爪の部屋へ、まっすぐ通された。

其処には二名にとっても忘れられない人間の顔があった。刈谷三佐と田中二尉であった。

彼等は、十年前、山本が、キャサリンとヤキマで出合い、愛を育んだ際のキューピットでもあった。

「お前等!」

山本が云う前に、キャサリンは、二人とハグをしていた。

「相変わらず、四十前のアメリカ人の経産婦とは思えない可愛さだね!」

田中が、茶目っ気たっぷりにキャサリンに英語で言った。

「何言っているの、それ、セクハラよ!ヤスオ。それより、あんた、未だ、結婚しては、いないの?彼女と!」

キャサリンが言い返し陸将補の部屋は、およそ陸自幹部の部屋から、学校(ハイスクール)教室(クラスルーム)の様な雰囲気になって仕舞った。

「差別用語の連発は、その辺で(Stop!using such “Words” repeatedly)」

と言う英語の一言から、端正な顔の刈谷が、この雰囲気をぶち壊した。

彼は、今の立場上“正確さ(ACCURACY)”を他人にだけ何事にも求める生真面目?な性格。それは、依然(山本の部下だった時代)と変わっていなかった。

「キャサリン申し訳ない。今米軍(国防省)の態度が全く分からないのだ?」

刈谷の声は、深刻そうであった。

彼は、特殊作戦群から、情報管理室(インテリジェンス部門)に移動になっていた。非公開な、事実だが、山本夫妻は、その事情は知ってはいた。

「そうね、私も空軍の人間とは、面識が無いからよく解らないけれど、彼等のプロフィールはあるの?」

尤もな答えが返って来た。

「悪い。基本、日本語で」

刈谷は、バツが悪そうにしたが、彼女は

「構わないわ、リョウスケ」

と言って、在日米軍の全指揮官と幹部のプロフィールが纏められた、コピーファイルを受け取った。

在日米軍は、港区のヘリポートと主に“日米合同委員会”が開催される高級ホテル並みの赤坂にある付帯宿泊施設と、都下にある、馬場やレストランなどが併設された読売カントリークラブと同じ(真横に在り維持・管理は、読売カントリーと同じグラウンドキーパーが行っている)米軍専用ゴルフ場以外に、横田を空軍と沿岸警備隊の航空部門が、以下、本土には、米海軍第七艦隊が母港とする、横須賀の海保と日米海軍施設(第七艦隊旗艦空母『ロナルド・レーガン』母港)、厚木日米航空施設(空母艦載機の本拠)を始め、海軍、海自共用の佐世保基地、海兵隊と海自の米軍専用高級ファシリティーが付随した岩国基地、陸軍専用の補給基地もある、米軍専用福祉施設でもあるキャンプ座間が有り、沖縄には、東洋最大の嘉手納米空軍基地、以下第3海兵遠征軍の専有地(訓練場)や基地や米国基準の宿泊施設が、三十箇所以上あり、全てにゴルフ場やテニスコート等の福祉施設が完備されていて、総専有率も沖縄総面積に対し15%を占めていた。

これらの基地にある、一つの部隊でも、最低自衛隊の中隊、即ち二百人規模で四個小隊規模が有り、もし彼等が勝手な事をすれば、大騒ぎになる事は、必定であった。

「第一義として総理及び我が国が懸念しているのは、此の在日米軍の総指揮官(中将)の人物そのものである」

ハワイは、民主党系の州知事が、既に、現大統領に反旗を翻したリベラル派(デモクラット/カリフォルニア州)に、同調することを表明していた。

在日米軍の総指揮官は、インド太平洋軍総指揮官が兼務していた。

彼は、通常、州知事の指揮下にある事は、解っていたが、一応ハワイにある司令部は、何れに(くみ)するか?が問題でもあった。とは言え、在日や在韓米軍は、独立した軍団でもあり、各々の軍団に於ける最高指揮官は、現大統領でもあった。

「彼が、どの方向を見ているのか?という事と、彼が、単独で、全在日米軍に対してグリップを利かせる事が出来るか?って事ね」

キャサリンはアメリカ人ぽく言い放った。

「まぁ、掻い摘んで言えばそうなる」

陸将補は答えた。

「日米合同委員会も、僅か一日しか経ってないが、今や米国側の意見が割れていて、外務省も我が省も判断が付かない状態なのだ」

刈谷が英語で付け加えた。

「で、私達に、どうしろと、言うのです?」

山本は、日本語で言い放った。

「そこだ。幸いにも、未だ、民間の米国行きの空路は、開いている。しかし事と次第に寄っては、外務省は渡航制限いや、下手をすれば規制を、そして、緊急の帰国命令を大使館経由で在米の日本国民全員に、間も無く発令するだろう。そうなると、我々の現地に措ける耳目が無くなる。多分?先陣を切って、外務省の連中は、カナダやメキシコの連中も、かなり、先を争う様にして帰国してくるだろう(シビリアンの官僚なんて、その様な人種だ。と云う嘲りが、その言葉のイントネーションには含まれている感じがした)。それを見て、在米の、報道関係や、商社、勿論、芸能スポーツ関係の金持ちも、殺到するだろう。駐留武官も、そして内地の我々も、国民保護令が、発令されれば、最期に居残るだろう(商社マンや、学生等の)足が無くなる在留邦人や帰国希望者の対応に追われる」

「要は、我々にステーツ(州)内部に潜入して日本政府のスパイに、成れ。って訳ですね?」

「掻い摘んで言うと、そうなる。外に適任者が見付からない」

陸将補は、申し訳なさそうに、日本語で言い放った。

「保障と対価は?」

しかしこの言葉を聞いて、キャサリンは、ノリノリであった。故に、彼女は日本語で言葉を発した。

「任務期間の、お子さんの安全、もし君達に万が一な事が起きても、将来に渡って、日本政府が、全責任を持つ。只、君達の安全は、君達に委ねるしかない。費用に関しては、皆目見当もつかんが、必要なだけ出す。安心してくれ給え。対価の支払い時期に関しては、無事帰国後と、いう事で、どうだろう?計算の仕様も無いが」

「判ったわ。でも、アドバンスペイメントは、下さいね!下手をすれば、捨て駒なのですから」

キャサリンは、躊躇が無かった。

「いくら用意すればよいのだ?」

「そうね、当座、一人一億くらいかしら、うちの会社の口座に振り込んで。あ!円で構わないわ」

「あ!コウジ。日本国か、防衛省名義で、今日、明日、私と彼に一億円ずつ振り込まれるから、確認して。入金したら、私か彼の携帯に直接、連絡頂戴」

キャサリンは、早速、事務的に、佐野へ電話をし、事務的に切った。

「あ、橋爪さん、ミッションコンプリートで、一人頭、ピリオドは判らないけれど、最低この倍は、欲しいわ。ミスれば、保険料は、其の半分で構わない。それと、テキサス迄は、ファーストで、お願いね。それと、うちの旦那以外に、彼等も来るの?」

キャサリンは、山本の了解無しに、話をどんどん進めて行った。

しかし、山本も満更、嫌そうな表情は、見せていなかった。

「キャサリン、了解した。田中二尉が、君達の手足として同行させて貰うが、刈谷君は、日米間の調整や、在日米軍の動向把握の為に、そして君達との連絡先としても、此処に置いて措く」

「判ったわ」

山本が答える前に、キャサリンが、了解の答えを日本語でした。

「ヘリは、此処から朝霞へ回して今晩は、練馬に宿を取ってある。田中二尉」

と言うと、彼等は、田中に連れられて屋上のヘリポートに上がった、既にヘリは、燃料が満タンにされていた。

「サースが」

キャサリンは、日本語で話すと同時に離陸した、朝霞迄は、田中が、航路のナビをした。一時的?にでは、あるが、現在、東京の空域管制は、既に、横田(米空軍)から羽田(日本)に、代わっていた。

「しかし、陸相補は、日本語で、キャサリンは、相変わらず、英語のみ。よく会話が成り立つなぁ」

田中は、陸相補の英語の理解力は、知ってはいたが、此処迄、キャサリンの日本語(理解)力が向上している事実に驚嘆していた。

「だって、城や、彼の友達のパパ、ママ、先生が話す言葉は、日本語“だけ”だもの」

母親としての『したり顔』が其処にはあった。


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