0.2561
101じゃなくていきなり102の発令か。災害係数の高さからも納得だが、となるとやる事があるな。
「チビ、測定するから一旦止まるぞ」
まさかカバンで眠ってた謎の機械をつかうことになるとは。
このアンテナみてぇな機械のコードをタブレットに挿して……これで掲げればいいのか?で、災害係数は……んだこりゃ?
「どうしたのですか?」
「っかしーな、これ見てみろ。測定が終わらん」
「うーん、よくわかんないですけど、どうするんですか?」
「……とりあえず聞いてみるからしまっといてくれ。これはチャットじゃなくていいだろ」
「――こちら海野。対応時特別規定102に従い局地的災害係数の測定を開始したところ、数値の変動が酷く測定が終わりません。確認できる範囲で最小値0.15、最大値0.38です。ちなみに、確認できる範囲で歪みはありません。どうぞ」
『こちらコントロールセンター桐生。こちらでは現在0.2561を示している。ちょうど海野が爆発の報告をした時に大きく下がった。そちらの原因はわからんが、もしそれが事実を映しているとするなら、その場所のいわゆる"魔力"がかなり乱れていることになる。当てにはならないが、ひとまず災害係数は0.38あるという認識で動き、周囲の状況を注視しろ。それと、現着前に必ず連絡を寄越せ。いいな?以上』
言いっ放しで終わりやがった。
「どうでしたか?」
「とりあえずヤバそうって感じだな。部長も何でなのかはわからなさそうだ」
「だが、あれ以来爆発音は聞こえてこないから、能力のせいで変動してるってわけではなさそうだ。となると…… なぁチビ、何だと思う?」
「わかるわけないのです」
「仮にも魔法使いだろ?何かないんかよ」
「あなたはいつも大雑把なのです!『なんかないのか』って言われて、あなたの言う『なんか』をわかる人なんかいないのです!」
「いや、そう怒んなよ。同じ魔法使いとしておかしいとこがないか聞いてるだけだろ」
「じゃあそう言えばいいのです!」
「ったく、なんなんだよ」
「こっちのセリフです!」
ガキの沸点がわからん。こいつはなんでこんな怒ってんだよ。
「で?なんかあんのか?あといつまでも止まってるな」
「………………違和感とかはわかりませんが、使いやすそうな気はします。相手の能力は攻撃系でしょうから、系統の違う私じゃよくわからないだけかもしれませんが。そもそも能力自体が歩いたり息を吸ったりするのと同じで、気付いたら使えてるものなんです」
「へぇ、そうなんか」
「ですから、走っても息が上がらなそうな感覚です。やろうとは思いませんけど」
「ふーん。よくわからんな」
「ふーんってあなた、ほんっとに……」
ほんとのこと言ってるだけじゃんか。
「要は『言われてみたら体の調子が良いかも?』みたいなことだろ?そんなん体調にもよるし、言われてみたら程度で変わる感覚なんか、当事者の心持ちでしかねぇじゃねぇか。自分でもはっきりとわかるならともかく、その程度で言われても何なのかわらんだろ。平時ならいいかもしれんが、今は緊急なんだからそんなもの違和感と――っておい、泣くなよ」
「な、泣いてなんかいません」
「………………」
あー、やっちまった。ガキ相手に何ムキになってんだ。
「涙パンパンに溜めて何言ってんだ。あーほら、タオルあるだろ?目擦るなほら」
「泣いてなんかいません」
「わかったわかった。俺が悪かったって。いよいよだって思って気が張ってたんだ、ごめんって。」
「別に、いいのです。泣いてませんから」
「そうだな、泣いてないな?いい子だ」
「ほら、これが終わったら飯でもいこうぜ、な?」
「……もういいのです。初めての対応だからよくわかってなかったのです」
「いや、俺も初めてだから……」
「よし、現場はすぐそこだ。気を取り直して行こうか」
「はい」
くそ、何やってんだ俺は。自分が情けない。だが失敗するわけにもいかない。切り替えていかねば。
…………くそ。




