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"魔法使いは何でもできる"
そう言われて数十年。最初の魔法使いが現れてから徐々に増え出した"得体の知れない者達"は、紆余曲折を経て社会に"魔法使い"として認められ、自身の能力を生業にした職に就く者も現れた。
――そして現代。人口のおよそ4割が魔法使いになり、人類は持ち前の適応力で能力を『当たり前の概念』とし、日常を送っている。
さて、特別な力を日常に持ち込んだ時、はたしてその力は良いことだけに使われるのだろうか。答えは「ノー」だ。これは何故か。理由は「そこに悪意があるから」だ。実に単純。そしてこれは、なにも魔法使いに限ったことじゃない。特別な力が無くても人は簡単に殺せるし、物は簡単に盗み、奪い、壊される。能力が使えるか否かは関係なく、"ヒト"は悪事を犯す。残念なことにね。
現存する組織では対処できなかった新時代の犯罪は、今や魔法使いの領分だ。旧時代の犯罪については、言わずもがなだろう?
――我々が抱えているのは、爆弾だ。それも不発弾ではない、特大の、な。まったく、右を見れば爆弾、左を見れば爆弾。このクソみたいな国のクソみたいな法のせいで、魔法使いの下位互換じゃあヤツらのご機嫌取りで俺らは一生へこへこしなきゃならん。やんなるよなぁほんとに!
ちょっと三國本部長!
……はぁ、わかっているとも。良い人間と悪い人間がいるように、良い魔法使いと悪い魔法使いがいる。それだけだ。
脱線したな。要はこういうことだ。
ひとつめに、我々は爆弾でも処理できる仕事しかできない。
ふたつめに、そんなわけで下位互換の我々は、世間からは税金の無駄遣いと言われている。
みっつめに、下等種の我々は、上等種である魔法使いサマのご機嫌次第で簡単に、文字通り、首が飛ぶ。
だから我々はぶつけるのさ!
目には目を、魔法使いには、魔法使いを!
爆弾を投下するには人がいる。それが君たちだ。
――諸君らが真面目に仕事しようがしなかろうが、どちらでも構わん。我々はゴマさえ擦ってくれるなら口出しはしない。無論、業務を遂行してもらうことは前提だが。
しかし、社会のヒエラルキーは下等種が上なのだ。そこを理解し、正しく管理できる者がこの中から生まれるのなら、その者には相応の待遇が与えられる。私としては、是非登り詰めてほしいと思っている。君たちこそが、武器なのだからね。
――さて、話はここまでにするとしよう。諸君らに待っているのは輝かしい栄光ではない。日の目を見る事はなく、争いを繰り広げるだけの力も無い。恥辱に塗れ、過去に溺れ、息継ぎの出来ないものから死んでいく、日陰の存在になることだろう。しかし闇もまた、光と共に在る。そんな"社会の裏側"と、国民の平和を紡いでいこうではないか。
――ようこそ、魔法庁魔法対策本部へ。
諸君らの自己犠牲と愛国心に、最大限の敬意を込めて、話は以上とする――




