廻す運命
蒼羽根商店街で年末イベントの福引きが行われている。五百円毎に食事や買い物をした場合に、一枚福引き券が貰えるのだ。
「すみませ~ん!ガラガラお願いしま~す!」
「はい!一枚ですから、一廻し分ですね。どうぞ」
青年の手が力を込めてガラポンの取っ手を掴んだ。
(どうか……一等)
思いを込めてガラポンを一廻しして、願いを胸に響かせた。
運命が今、夢をのせて廻りだした。
▽
青年が引き当てたのは、二等の『妖精』……一等の『人間』ではなかった。
「おめでとうございます!二等賞品来世は『妖精』です!来世をお楽しみに~!」
カランカラン!
スタッフが鳴らすベルの音が、青年の心に空しく響いた。
(来世は『人間』がよかった……『人間』だったら、好きな仕事に就けるのに)
人気がある『人間』の来世を引けるのは誰なのだろう。
死語の世界では多くの魂が、『人間』への転生を望んでいる。