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着替えをさせられている俺

 うひゃひゃひゃひゃ…… いやぁ、笑いが止まらないねぇ。

 だってさ、昨日考えた落とし穴作戦は、大・成・功だったんだよ。

 昨日見つけた2人組には気の毒な事をしたと思ってるけどね。

 俺が罠の仕込み方を間違えたせいなんだが……


 やっぱ水を2メートル入れたのは深すぎたかな。

 水深もそうだけど、フヒヒヒ…の木の実の汁もちょいと多かったようだ。

 でもインゼクト達は悪くないよ。俺はインゼクト達に頼んだのは、穴に落ちた騎士が静かになったら、引き上げてくれって事だけだからね。


『ねえねえ宿主さん、蘇生魔法を使えば良いんじゃない?』


 それはやだねぇ。つか使いたくない。

 だってホロンも知ってるだろ、あれはすんげえ魔力を使うんだぜ?

 具体的には俺が持ってる魔力の3割くらい。それを2人分って……

 それも、こんな… ムサ苦しいおっさんのために使うのか?


『それでは情報収集が出来ないのではありませんか?』


 いいや、リ・スィ。問題ない。あと38人いるんだ。何とかなるだろ。

 それよか、その他の落とし穴はどうなってる?

 お前の事だから、偵察メカで見張ってたんだろ?


『当然ですよ、サクマユウマ。アーマイザに指示を出して捕虜の身柄を回収してください。尋問は私の方でやっておきますので』


 って、事はほとんどの騎士を捕虜にしたって事か。

 残ってるのは、あとどのくらいいる?


『あと2人だねぇ。おびき寄せるのって、難しいかも』


 おびき寄せる… ねぇ。それなら方法ならあるにはあるが……

 それも格好のやり方がね。そういや、あの小屋って完成してたんだっけ?

 俺の希望通りに作ってくれたんだよね? なら、オッケーだ。

 この方法なら、たぶん上手くいくと思うんだ。


 そういや、リ・スィが捕虜の尋問をしてくれるって言ったけど、いったいどうやって聞き出すのさ。やってくれるのは有難いけど、言葉は通じないだろ?


『簡単に言えば、無属性の魔力を大量に浴びせるのです。魔力の過剰摂取(オーバードーズ)状態に陥ると、ゼルカ星人は自意識を失います。

 あとは、彼らの脳から記憶を読み出せば良いだけですので。

 ちなみに、この処置の安全性はスカ・リトで実験済みです』


 うぇぇ……


 皇女サマで人体実験済みかぁ…… なんかあいつ、とことん哀れなだなぁ。

 で、それってさ、ホントに後遺症とか残らない?

 自我を失ったまま暴れ出すとか、記憶が真っ白になっちゃうとか。

 んんん、まあ… そんならいいか。


 じゃあ、こっちは仕事を始めるかね……


 こーねこね、こーねこね。ぎゅっとまとめたら、もう一回こーねこね……


 リ・スィと話をしながら俺がやってる事はだな。

 小麦粉に塩水を混ぜて、こね回すという作業だ。

 ぶっちゃけると、パン生地作りってやつ。


 この材料は砦から逃げ出す時に、食糧庫から持ち出したものだ。

 俺が死んだように見せかけるために、脱いだ服の近くにリュックごと転がしといたんだが、インゼクトが回収してくれてたんだよね。

 お陰で、こういう事を思いついたんだけどさ……


『宿主さん、生地をこねるの止めても良いよぉ。あとは発酵だねぇ』


 ふぅ、これって結構疲れるな。じゃあ、ひと休みだね。


『何を言っているのですか、サクマユウマ。早く着替えてください』


 えええええ? 何でだよぅ。

 今着てるお出かけ服じゃだめ? これあいつらが着込んでる鎧よか頑丈よ?


『自分で立てた作戦を、自らの手で台無しにする理由を教えてください、サクマユウマ』


 ぐ… ぬぬ…… もう少し考えてから頼めばよかったか……


『宿主さんの晴れ姿だよねぇ。きっちり記録しておくから安心してねぇ♪』


 いや…… 着替えを省略しても作戦遂行に支障ないんじゃないか。たしかに、着替えを用意してくれって頼んだのは俺だけどさ。リ・スィが張り切って衣装を仕立ててくれたのは、とっても感謝してい……『感謝しているなら行動で示してください、サクマユウマ』……はい、ワカリマシタ…… って言うかぁ!


『その行動は予測済みですよ、サクマユウマ』


 なっ、何を……


「……はふぅん……」


 そうか、これが魔力の過剰摂取(オーバードーズ)か…… まるで、お酒でも飲んらよーな……

 過剰摂取(オーバードーズ)って言うより魔力酔いって言った方がしっくるsりゅ。


 ありぇえ、りしゅ…… あにすんらよぉ。

 そっちはおふりょれぇぇ……


 …………はっ?


『さすがは宿主さん。あれだけの魔力に(さら)されたのに、30分で戻ってくるなんてねぇ。普通の人なら、半日は眠ってるよぉ』


 ちょ、おま… ホロン、なんちゅ―事をやりやがったんだ!


『サクマユウマ、メイクの最中です。動かないでください』


 あれはリ・スィがやったのか。いきなり魔力を浴びせるとはなぁ……

 まあ魔力酔い… 高密度の魔力に(さら)されるとああなるって事は分かったけどさ、完璧に意識が飛んでたよ……


 ……って、かなり時間が経ってないか?

 おわあ!? パン生地の発酵、終わってるじゃねぇか!


『…っと、宿主さん、メイク終わるまで動いちゃダメだよぉ♪』

「えっ?」


 俺は何体ものイソギンチャクもどきに囲まれて…… 身体をいじられている?

 服は皇女サマが着てたのみたいなのになってるし。両手はがっちりホールドされて… まさかマニキュア塗ってんのか? で、このスプレーは……


 う… ぐおおおおお……


 こっ、香水かあぁあああ!

リ・スィを建造したナパーア星の文明は魔力至上主義です。

そして科学技術も発達させてしまったスーパー文明種族ですが……

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