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おっきな虫に襲われた俺

 古城のおっさんが亜空間通路で俺の身体にした事のひとつが身体強化だ。

 もっともいつも強化された状態という訳じゃない。普段の俺は地球にいた時と大きな違いはない。だからこいつは、あくまでも切り札的なモノってわけ。


 だから部分的な──100メートルを12秒足らずで走るとかは普通に使えるけど、完全強化モードを使う時には、いくつか手順を踏まなきゃならない。

 それは明確な意志とポーズ… だな。うっかり身体強化を発動しないようにするための安全装置みたいなもんだ。


 そうしないと日常生活で支障をきたす。

 水道の蛇口をひねろうとして、蛇口をむしり取っちゃうとか色々だな。

 だから、この安全装置はおっさんなりの思いやりって奴なんだろう。

 でも、これって何とかならんのかね……


「むんっ!!」


 左手は軽く握って、腰に引き付ける。その反動で右手を左斜め上に……

 伸ばした右手は、そのまま円を描くように右にやって…

 練りあがった魔力がへそのあたりに、集まってくるのが分かる。

 そして、右手を腰のあたりに引き付けると、今度は左手を天にかざす。


「とおぉおっ!」


 空高くジャンプしながら、練り上げた魔力を全身にまとわせる。

 それと共に時間の流れがゆっくりになって、その代わりにとてつもなく感覚が鋭くなってきた。

 やがて周りの音が聞こえなくなって……


 今の俺は人間であって人間じゃない。言ってしまえば超人だ。

 厚さ5メートルのコンクリ―トをパンチ1発で叩き割れる。ジャンプだって予備動作無しで15メートルはいける。


 おい、目の前の金色カブトムシ。

 てめーの身体がどんだけ頑丈なのかは知らねえけンどよぉ!

 目ェ合わせただけで喧嘩売ってんじゃねーぞ。


「先手必勝だぁ!」


 俺は、クイックムーブで金色カブトムシに肉薄すると……

 左足の爪先が地面に食い込ませると、そのまま身体を右にひねる。

 つま先の運動エネルギーは、腰のひねりで増幅されて……

 さらに肩の回転が、威力を増強させる。


 俺は、その勢いのままに拳を突き出した。


 がんっ!


 っく、なんちゅー音するんだよ。まるでドラム缶をバットで殴ったような音がするなんてなぁ。こいつ本当に生き物なのかよ…


 派手な音がした割には、金色カブトムシには大したダメージは入らなかったらしい。殴った角度が悪かったのか、俺の拳を丸く盛り上がった左肩の甲羅で受け止めただけだ。

 お返しとばかりに、振り回したあいつの右腕が俺の腹に食い込んでいる。


 どがっ……


「ふぎゃっ!?」


 俺はまるでサッカーボールみたいに吹き飛ばされちまった。これが体重差ってやつだろうな。あいつは横綱よりもデカいし、たぶん重いんじゃないか。

 だけどな、喧嘩ってのは体重で決まるもんじゃねえぇえええ!


 …………


 ……イスタートス!


『はいはーい。今の宿主さんの状態で~す♪』



 名前: 佐久間 結馬

 年齢: 15

 性別: ♂(?)

 種族: TERRANER

【STR】 1501/3520

【INT】 1349/4100

【DEF】 881/1000

【KRM】 現在値:中立

【SKL】 スキル:宝玉の瞳 毒物無効 格闘

【DEG】 蟲皇の後継者

【AUX】 サポートナビゲーターを呼び出す


 ふうぅぅぅ……


 あれからしばらく、あの金色カブトムシとの戦闘(どつきあい)が続いた。

 しまいには俺も金色カブトムシもズタボロになっちまったけど、何とか喧嘩には勝てたんだよね。

 今のあいつは折れた巨木の下で悲惨な事になってる。


 今のあいつの背中を見りゃわかると思うけどさ、月面みたいになってるだろ。

あの曲線は、衝撃をそらすのには理想的だよな。パンチを当てたと思っても、あらぬ方向に弾かれちゃうんだもん。


 でも、いくら頑丈な外骨格でも、正確な角度でパンチを叩き込めばこのザマだ。やっぱ優秀な物理の前には、意味はなかったね。

 矛と盾の故事ってのがあるけど、今回は矛の勝ちだ。ザマーミロ。


 でさ、あいつが動かなくなるまで殴りまくったらさ……


<異人よ。我を倒すその膂力、いつぞや現れた森の外の者と同じとは思えぬ>


 白旗を上げたのはあいつの方ってわけ。当然の結論でしょ?

 俺はいくらダメージくらってもホロンが回復魔法で治しちゃうもん。

 だから俺は防御なんか捨てて、あいつをボコる事に専念できたってわけ。

 それにしても、お互いに無残な姿になったもんだねぇ。


<戦いに敗れた我の生命は、汝のもの。我が身を存分に喰らうが良い……>


 ……こんな事を言い出したんだよ。

 最初は訳わかんなくてさ、んんんんん? ってなったんだけどさ。

 そりゃ、いきなりテレパシーみたいなので話しかけられたら混乱するよね。


 ……で、お前を食えって?


<然り。それは勝者の当然の権利である。すれば蟲皇(むしおう)の座は汝のもの……>


 要らねぇ。つか、食うものには困ってないからな。

 誰かが昆虫食は美容と健康に良いって言ってたけど、俺は別に無理してまでも食べる気はねぇよ。


 それよか、聞きたい事があるんだが?

やっぱり戦闘シーンを書くのは難しいです。

頭の中では、きっちり映像になっているんですけどねぇ……

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