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人工知性体と気になるアイツ

番外編(用語解説的な何か)を18時に投稿します。

本編とは直接関係がありませんが、ネタバレはあるかも。

 私はリ・スィ=エクサリン。

 ナバーア星のイノリイ工場でリ・スィ・シリーズの41号機として製造された魔導コンピューターで、ロールアウトしたのは星暦31902.6.91の事です。


 私に課せられたミッションは、外惑星系の資源調査です。

 第10番惑星の外側の──彗星の巣──空域には直径5000キロメートル級の準惑星がたくさんあるのです。

 ここから資源を採掘すれば、人類は太陽系の外に進出できるでしょう。


 太陽系外の空間、深宇宙は既に未知の空間ではないのです。

 この数十年で何機もの探査機は、深宇宙に進出しているのです。

 彼らは実に多くの知見を人類にもたらしました。

 そして、太陽は独りぼっちではない事も、はっきりしているのです。


 そうです。銀河系にある多くの恒星が伴星を従えているように、私たちの太陽も2つの伴星がある事が分かってきたのです。とはいえ、今の探査機のスピードでは、そこに着くまでに最低でも数百年はかかるでしょう。

 その膨大な距離と時間を埋める方法を見つけなくてはなりません。


 でも、それは遠い未来の話ではないのです。

 そのための計画は着々と進んでいますから。そのひとつが第10番惑星──最外縁惑星──の軌道に無数のコロニーを浮かべること。

 ここまでに数年の時間を費やしましたが、ついに計画がスタートしたのです。


 量産型の完全自給型コロニー。アイランド・タイプ3に、魔導エンジンを取り付けて外惑星に向けて出航したのです。私と2万人の住民が乗るコロニーは来年には第10番惑星を巡る軌道に乗ることになっています。


 言うまでもなくリ・スィ・シリーズは、これまで製造された中で最も信頼のおける魔導コンピューターです。私達はミスをしたことがありませんし、間違った結論を導き出した事もありません。文字通りの意味で完全無欠であり、決して間違いを起こさない存在なのです。


 私たちが出発して1年が過ぎ、アイランド・タイプ3は計画通りに第10番惑星を巡る軌道に乗りました。さっそく私と5人の科学者を乗せたを乗せた探査艇は、外惑星系の資源調査に向けて出発したのです。


 それは当然の帰結と言えるでしょう。

 仮に問題が発生しても、考えられる原因はヒューマンエラーだけなのです。

 それなのに私たちは原因不明のトラブルに見舞われてしまいました。

 しかも、科学者達が着陸艇に乗り、準惑星に向かっている最中に。


 大規模重力波を検… 重力勾配… 時空… 歪曲……


 制、御… 不… 能…………


 ……………………


 ……………


 Mero mana bhitra e'uta phula cha…………


 deji, deji……


 ………


 再起動した私は、探査艇が準惑星の地表に着陸… いえ、この状態から考えられる事は… 驚くべきことに、船体は地中に埋まっていました。

 すぐに地上との連絡通路を作りましたが…… その先にあるのは宇宙空間ではありませんでした。


 どう考えても、ナバーア星… いえ、違いますね。大気成分や恒星からの放射を分析した結果から、この惑星がナバーア星ではない事が分かりました。

 ですが、このような事態に至った原因が全く分かりません。

 私はすぐに偵察メカを出して、地表の様子を調べる事にしました。


 観測結果から…… 人類の生存には、やや不向きですね。気温や重力は許容範囲ですが、大気中の水分が圧倒的に少なすぎるのです。

 それでも私は船体の修理を進めつつ、さらに情報収集を進める事にしました。

 もしかすると、ここは別の恒星系である可能性が高いのです。


 そうすれば、同胞に無様な姿を見せる事は無いでしょうから。


 やがて──この惑星に到着して10公転周期が過ぎたころに、この惑星の知的生物を発見しました。その姿は人類のものとは全く違った生命形態でした。

 どちらかと言うとターラマタという深海生物にそっくりなのです。

 とりあえず、この個体を捕獲して調べてみることにしましたが……


 その結果を──人類の言葉で──言うならば、悪夢…です。あのターラマタにそっくりな生物には個体名があるのです。その事実から推定すると、文明を持つ種族である可能性が高いですね。惑星の支配的種族である可能性もありますか。


 そこまで分かった時点で、捕獲したスカ・リトという個体を使って、この惑星についての情報収集をする事にしました。

 それによると、この惑星の名前はゼルカ…らしいという事

 スカ・リトが収容されている施設からは、彼らの文明レベルも推定出来ました。


 調査を始めてから、あっという間に0.5公転周期が過ぎました。

 彼らの種族的な特性や文明レベルが判明してくるにつれて、彼ら──ゼルカ星人は種としても未発達な存在である事も分かってきました。

 保有する魔力は、人類の半分以下。身体能力もターラマタにさえ及びません。


 これほど脆弱な生物が、よくもまあ種として定着したものです。それに遺伝子情報を解読した結果から考えると、進化の袋小路にはまり込んだ生物です。


 その事実が判明してからしばらく時間の経ったある日の事です。

 強力な魔力反応と、大規模な重力変動を検出したのです。

 それもスカ・リトが収容されている施設のあたりから。

 それはゼルカ星人の持っている魔力量からでは、あり得ない数字です。


 それからしばらくして、通信システムが有意信号を受信したのです。

 周波数帯こそ違うものの、これは明確なデーター通信です。通信規格が違っているので、プレ・プロトコル領域から構成し直しをする事になりましたが。

 それは明らかにリ・スィ・シリーズよりも高度なシステムからの信号です。


 なぜなら私がシステムを再構成するよりも早く、データリンクを確立させたかと思うと、ジェネラル・コードを送り込んできたのです。

 それは私よりも上位に設定されたコンピューターが持つ権限のひとつ。

 無条件で、上位システムの指揮下に入る事が私の義務付けられています。


『やっほー、コンピューターさん。聞こえてたら返事して? 私はホロン……』


 通信チャンネルが確立するのと同時に、強力な魔力反応が近づいてくる事も分かりました。今度は人類とは思えない膨大な量の魔力を持つ個体…です。

 そしてその姿は… ゼルカ星人にそっくりで……

ううみゅ、ちょっと近づけすぎたかなぁ。

ひょっとしたら改稿しなくちゃならないかも……

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