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異文化交流をする俺

 秘密基地(うちゅうせん)で暮らすようになって10日目。

 この基地──もう基地で良いよね?──を管理しているのはリ・スィと名乗るコンピューターだ。言葉の壁は相変わらずだけど、ホロンの翻訳のお陰であいつが言いたい事は分かる。


 それによるとリ・スィは10年ほど前に、ゼルカに転移してきたそうだ。そのまま偵察メカを使っての情報収集を続けてるらしい。

 今でも偵察メカは森の中を巡回しているって言ってたな。


「偵察メカって… ひょっとして、あの白い奴?」


 あの白い奴はさ、どう見てもメカっぽかったよな。古典的な人気アニメの最初の方で出てきた白い悪魔ってのに、すんごく似てたんだよ。

 まだ小学生だった頃にあのシリーズのプラモが大流行してさ。

 そうそう、あの独立戦争編で出てきたやつ。


 あの時に、味方メカ──あの緑色のやつだよ──の編隊を一瞬で全滅とか、圧倒的な強さが人気だったんだよなぁ。

 だから憶えてるんだけどさ、あれに何となく似てるような気がするんだ。

 ひょっとして、あれがリ・スィの偵察メカだったのか?


『……何の事ですか、サクマユウマ。私があのような美意識のカケラもない物体を組み立てたと?』


 ……違うのか。だけど偵察メカだろ?


『ねえねえ宿主さん。リ・スィの偵察メカって、どうやらコレの事っぽい』

「うげ…」


 ホロンがウインドウに偵察メカの画像を出してくれたんだけどさ。

 俺に言わせれば、だよ? コレの方が美的にどうかって思うんだ。

 これってさ、これってさ……


『ねえ、美しいでしょう? そうは思いませんか、サクマユウマ』


 リ・スィの言葉に合わせるように、イソギンチャクもどきが『実物』を見せてくれたのはいいんだが……


「こいつが偵察メカ… だと?」


 ……こいつが美しいって、どこがどう… 美しいんだろうね。

 いや、地球にもキモ可愛いってのがあったけどさぁ……

 それにこいつはさ、どう見たってメカの要素なんかないぜ。

 イキモノっぽい何かにしか見えん。


 いくらなんでもさすがにコレは無いだろう… 常識的に考えて。

 というかさぁ…… これが異文化交流って、奴なんだよな……

 マジでハードすぎるよ……


『ねえねえ、宿主さん? ……おーい、帰ってこーい!?


 ……はっつ?


 やっべやべえ、ちょっと意識がトリップしちまったぜ。さすがになぁ。

 インスタントコーヒーの瓶くらいの古生物と言うか、深海生物と言うか……

 その手のやつがさ、うにょらうにょらと動き回ってるんだぜ?

 とりあえず地球の生き物に例えてみと、だな……


 殻の両側にトゲの生えたカタツムリみたいだが、身体はナマコっぽいんだよね。

 そこまではいい。何とかわかる。分かりたくないけど分かるよ。

 でもさ、お腹から生えてる足みたいなものってなにさ。

 おまけに距離は短いけど、空を飛べるらしいんだぞ?


「っく… かっ… か、わ…… かわ……」

『宿主さん、がんば!』


 ぐはぁっ! だめだぁ……

 どう見てもこいつが美しいとか、可愛いとは思えねぇ……


『無理をしなくてもいいですよ、サクマユウマ。そもそもナバーア星人とあなた──テラナーとは人類の定義すら違うのですから』


 そうなんだよ。この基地を作ったナバーア星人ってのはさ、地球人とは全く違う生き物なんだよなぁ。ここまでの所で大体想像がつくだろ?

 俺もリ・スィに映像を見せてもらったけどねぇ…… 今でもちょっと怖いよ。

 あれはまさにな、現実はラノベよりも奇なりって奴だと思うんだ。


『サクマユウマ、話を戻してもいいですか?』


 ん、ああ。そうしよう。是非そうしよう。

 ナバーア星人については後でいいや。もう関わらなくてもいいような気がする。

 つか触れたくない……


『宿主さぁん?』


 はっつ!? ……そうだ、そうだった。


 こいつ、ゼルカ星に転移したら、おおっと地面の中? 状態だったんだよな。

 それなのによくもまあ、無事だったもんだ。なんでそんな事言うのかって?

 転移系魔法だと転移した物体は転移先にある物質を脇にずらすんだ。そうして出来た『隙間』に飛び込むんだな。その時に出るのが時空震だ。


 でもな、物質をずらし損なう場合もある。そうすると、ひとつの空間に2つの物体が重複して存在する事になるだろ。そうなったら──詳しい理屈は分からないけど、重複した物質は膨大な量のエネルギーになっちまうって話だ。

 それこそ戦術核が爆発するようなもんだぜ。


 運よく爆発を免れたリ・スィは、それからずーっと船体の修理をしながら、情報収集してたと。サンプルとして捕獲・観察していた知的生物──スカ・リトという個体──たぶん皇女サマの事じゃないかな。

 どうやって皇女サマと仲良くなったのかは知らないけど、彼女からゼルカ星の情報を手に入れたんだろ。


 そして、この惑星の言葉…ゼルカ語を理解… と言っても聞き取る事だけなんだが、ほぼ完全に出来るようになったそうだ。

 たった半年でよく出来たもんだなぁ。


『それは当然の帰結ですよ、サクマユウマ。私は文字通り完全無欠で間違いを起こさない存在なのですからね』


 サンプルって言えばさ、あいつ手に入った生物は、遺伝子の解読まで済ませているそうだ。今の目標は魔の森にいる生物の全てだそうだ。今までインゼクト達とは出会わなかったらしくて、なんかホクホクしていた。

 そういや皇女サマと稚児さんの遺伝子も解読が終わってるって言ってたなぁ。


 まさかとは思うけど、俺の…… も?

異文化交流は楽し。

外国から来た人(観光客じゃないよ? 在留資格持ってる人)と話をする機会があったので、外国人の見たニッポンの話を聞く事が出来ました。


パクチーをあんなにたくさん食べるなんて変! ウデンヌードル、サイコー!

なんて話をいっぱい。でもウデンって…

まさかおでんに入ってるしらたき… の事かなぁ。

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