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森の探検を始めた俺

 あの白い奴ってさ、自分でやっといて言うのも難だけどさ。

 ここまで壊れたら残骸… って言っても良いかも知れん。

 なにしろ頭の部分と左腕は取れちゃったし、左足は完全に潰れている。

 加えて胴体部分も背中とくっつく位に凹んでるんだもん。


 その時に調べてみたんだけどさ、中の人はどうやってあれを着たのかとか、細かい所は分からなかったんだよなぁ。

 さすがにこのままだとアレなんで、大きな木の根元に集めておく事にした。

 人型をしたモノをバラバラにしたまま放置するのって、やっぱ気が咎めるし。


 あと鎧の中に血とか付いてなかったから、中の人は怪我はしていないと思う。

 たぶん中の人は鎧を蹴り潰される前に転移魔法で逃げ出したんだと思う。

 まあ、骨折くらい仕方ないだろうね。けど最後まで戦う気満々だったよなぁ。

 胴体を蹴り潰す寸前まで、レーザーソードを振り回していたからね。


 だけど、俺は中の人ごと胴体も蹴り潰そうとしたのは正解だと思う。

 そうしなかったら、俺の身体はレーザーソードで切り刻まれていたはずだ。

 たしかにあの時はさぁ、ニンジャの最強装備で戦ったけどさ。

 もう、あれだけはやりたくないね。


 ニンジャの戦闘スタイルってのは、とにかくスピードだ。

 だから防御を捨ててでも高速移動に徹する。そしてヒット&アウエイ。

 俺が白い奴と戦った時もそうだった。最後は打撃重視になったけど、それは俺の攻撃とあいつの防御力がトントンだったからだ。


 そうなりゃ、先に体力が切れたほうの負け。そういう──持久戦になったらどうなるか…… どうしても俺が勝てる未来は見えねぇ。

 もしも古城のおっさんが身体を強化してくれなかったら… いいや、強化してくれたから勝てたようなもんだ。


 ……それはもういいか、とにかく勝ちは勝ちだ。

 それにレーザーソードは2本とも回収する事が出来たから良しとしよう。


 さて、次だ、次!


 森の… 面倒だから入り口でいいか。あそこに行ってみよう。

 あのあと馬の死骸がどうなってるか気になるんだ。それに、あんな身体になりながらも俺をここまで連れてきてくれたんだぜ。

 たかが馬って言うけどさ、墓のひとつも建ててやりたいじゃないか。


 その時、ゾクリとする気配がしたんだ……


 はっと振り向いてみたけど何もいない。

 でも、何かの気配は感じるんだ。しばらく森の中を歩いてみたんだが、気配の方はつかず離れず… そんな感じだな。

 そうだ。こういう時は、霊光を使えばいいか。


 霊光は練り上げた気を薄く球状に広げて、周囲を探るための… いわゆる探知系の技だ。

 けっこう応用範囲も広いんだが、今回は基本的な広域探知で良いだろう。


「…霊光!」


 おおっと、こいつは凄いや。気を練り込まなくても発動したじゃないか。

 それも地球にいたよりも探知精度が上がってる。何というかな、探知精度というより密度とか解像度が上がってるんだな。

 だから、今までのように……


 野生動物あの大きさだとクマっぽいな。で、アレは… 亡霊っぽいな。

 うわ、すごいな、エクトのような幽霊──精神生命体まで観る事が出来るぞ。

 ひょっとしたら魔法とかが…… っと、この反応は強烈だな……


「ひょっとしてアレ…… か?」


 ここからの距離は… まだ2キロくらいはあるか。

 ゆっくり歩いてるっぽいけど、なんかなぁ。魔力が半端ないぞ。

 まるで魔力が人間の形になって、歩き回ってる……

 そんな感じなんだな。


 あの白い奴も物騒な相手だったけど、見つけた奴は同レベルでヤバい奴だ。

 森の動物もビビって逃げてくくらい…… でもないか。何かが近づいて……

 あの大きさだと、ヒグマか何かかね。

 急に距離が縮まって… ありゃヒクマが襲いかかったか?


「うぇ… 瞬殺かよ」


 あいつもレーザーソード持ちか?

 魔力の塊とヒグマの反応すれ違ったかと思ったら、ヒグマが… たぶんまっぷたつにされたな。ヒグマの反応が急に2つになったから、たぶんそうだ。

 何にせよ、出会いたくない相手だな……


 って、やばい!

 ヒグマをまっぷたつにしたあいつ、こっちに近付いてくるじゃないか。

 っとことは、俺、見つかった?


 ヤバイヤバイヤバイヤバイ……


 とにかくダッシュだ!

 あいつの移動速度も早いけど、俺が秘密基地の入り口に着く方が早い。

 たぶん、俺の方が数分だけ… 早いと思いたい。

 俺が秘密基地の入り口に近づくにつれて、あの大岩が浮かび上がってきた。


 扉が開くのと同時に、エレベーターに飛び込んだんだが……


「……はあはあ、ぜえぜえ……」


 結果として、何とか間に合ったよ。

 入り口までの最短… 森の木を避け、藪の中を突っ切ったんだ。

 …っく、直線距離で500メートルくらいだけどさ……

 森の中ってのは全力ダッシュで通り抜けるような場所じゃないよ。


 すんげー、疲れた。心臓もバクバク言ってる。

 こんなに息が上がるなんて思わなかった。

 出来れば、もうやりたくないな……


 で、部屋に戻って俺がどうなったかと言うと。


 イソギンチャクもどきがやって来て、着ていた服を脱がされたんだ。

 そのうえ、レーザーソードもどこかに持って行きやがった。

 代わりに木綿のワンピを着せてくれたけどな。


 で、いつものようにお粥の入ったお椀が運ばれてきた。

 もう夕飯の時間になるのかぁ。


 今日は時間が経つのが早かったなぁ……

白い悪魔は撃破できてたっぽいです。中の人も無事だと良いんですけど……

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