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秘密基地にたどり着いた俺

 ここは… どこだ?


 頭と身体が上手くつながってないな。目の焦点も合ってないせいか、周りの景色がぼやけて見えらぁ。身体もゆらゆらと揺れているけれど、足は動いてる…

 どこかに向かって、ゆっくりと歩いてるのだけは、わかる……


 ……こんな言い方をするのは、魂魄と身体がちょっとズレているような、妙な感覚のせいだ。


 足を踏み出して、バランスを取り直して。

 姿勢が安定したら、また1歩進む。


 まるでジャイロが壊れたロボットのオモチャだなあ……


 ういーん、がしゃ。ういーん… がしょ……


 お、足が止まったか。って、あれれ… やばっ!?


「おっとぉ!」

『もう、気が付いたんなら言ってくださいよぅ』


 地面のくぼみに足を取られて、コケそうになった俺はとっさに足を踏みかえて姿勢を立て直したんだが。お陰で頭の中がはっきりしてきたぞ。

 どうやら、最初にホロンと話してた森の中のようだが……

 一体全体、ここはどこだ? 俺はいままで何をしてるんだ?


『おーい、宿主さぁん。聞こえてますかぁ?』


 誰………… あぁ、ホロンか。 ……俺、どうしちゃったんだ?

 あの白い奴に蹴りを入れた後あたりからの記憶が無いんだが。

 そしてだな、俺は無意識のうちに、どっかに歩いている…

 一体全体、これはどう言う事なんだ?


『あの白いのなら、宿主さんが倒しましたよ。そして、今はBBAの秘密基地に向けて移動中なんですけどぉ… ほんっとに苦労したんですからね?

 宿主さんの運動中枢にアクセスするのって』


 うぇ? 俺、無意識のうちに歩いてたんじゃなかったの?

 ホロンが運動中枢にアクセスって……


『宿主さんの今の身体の状態、見ます?』


 ……見せて? たしか、イスタートス… だったか?


『はいはーい。今の宿主さんの惨状で~す♪』



 名前: 佐久間 結馬

 年齢: 15

 性別: ♂(?)

 種族: TERRANER

【STR】 12/650

【INT】 4/3850

【DEF】 56/750

【KRM】 現在値:中立

【SKL】 スキル:宝玉の瞳 毒物無効

【DEG】 ------

【AUX】 サポートナビゲーターを呼び出す



 ひでえ…… ぼろぼろだな。たしかにこれじゃ惨状って言われても仕方ないか。

 なんか上限値だけはやたらに上がってるけどさ。

 まさか、あの白い奴とやった結果、経験値とかが入ったとか?


『そのまさかですよぉ。お陰で私も宿主さんの運動中枢にアクセス出来るようになったんです。じゃなかったら、今ごろは何かに食べられちゃったかも?』


 マジかよ…… じゃあ体力とかがゼロになって動けなくなっていた… と?

 ホロンが魔力制御とか出来るて良かったぜ。僅かでも体力を回復させながら体を動かしてくれてたんだからな。

 そういやホロンを構成する光の粒も、細かくなってきたような気がするな。


 なんというか… 解像度が上がった?


『私も性能(レベル)が上がったんですよぉ。うっふっふ、この調子で宿主さんが経験値を稼いでくれれば、やがて私のぷりちーな姿を見る事が…

 見たいでしょ? ねえ、見たいって言って?』


 そんなの知らんがな。今は安全地帯を見つける方が先だろ。

 そう言っている間にも少しづつ数字は上がってるが、最大値に戻るには時間がかかりそうだ。でも今はすんごく腹減ったし、死ぬほど眠いんだよ。

 こんな状態で何かに会ったらさ、今度こそ死ねる自身があるね。


 とにかく秘密基地とやらの場所が分かったんなら、さっさと行こうぜ。

 たぶん、そこなら安全だと思うんだ。コンピューターなんてもんが置いてあるくらいだからな。それもネット対応って言ってたよな?

 そういや、あの屋敷にコンピューターは無かったなぁ……


 ちょっと考えたんだけどさ、故障か何かで動かない人工衛星があるんだろ。

 って事は、失われた技術って可能性もあるんじゃないか。

 でも、そういう貴重品がさ、なんで森の中にあんだよ。

 そして、だ。皇女サマは、そいつの使い方を知っちまったんだろうなぁ。


 だから、誰にも言わないで自分のものにしちゃったんだろ。

 そうとしか考えられない理由もちゃんとあるぜ?


 いいか? さっきお前が見せてくれた(けんえつ)って奴。

 何も知らない皇女サマがさ、どうやってデーターベースにアレ入れたん?

 たぶんこの世界は古城のおっさんが言ってた中世になりかけ… ってやつだろうけどさ、だったら余計だろ。なんで使い方知ってるんだ?


 普通はさ、正体不明の古代の遺物ってのは、倉庫で埃を被らせるか博物館行きだろ? でもね、さっきも言ったけど、皇女サマは使い方を知ってた。

 その上で自分のものにして、活用してたんだぜ。

 動画の内容はアレだったけどさ。


 だとしたら、そういう『貴重品』を仕舞っておくためにはどうする?

 屋敷になんか置いておけないよね? それこそ『誰にも知られたくないプライベート空間』が必要だと思うんだ。

 この考え方ってどうよ?


『たしかにねぇ。宿主さんの言う事は筋が通ってますねぇ…

 悔しいけど、反論する材料がありまっせ~ん』


 はいはい、多分そういうこったろ。で、皇女サマの秘密基地とやらは、どこにあるんだよ。マップの表示だと、ここいらなんだが、建物なんか無いぞ。

 あるのは巨大な岩だよね。なんとなくコンクリっぽく見えるけどさ。


『ちょっと待ってねぇ。入り口開けてもらうから』


 はふん?


 ああ、そう言う事… だったのね。

 目の前に転がっている巨石が細かく震えはじめたかと思うと、かすかに何かがこすれ合うような音と共にゆっくりと浮き上がっていく。というのは変か。


 岩の下には錆ひとつない合金製のシャフトがあったんだ。

秘密基地が地下になかったら変だと思うのです。

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