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異世界に来ちゃった俺

 ふと気が付いてみると、俺は仰向けに寝かされていた。


 だが、ここがどういう場所なのか、いまいちよく分からん。感覚的には学校の教室くらいの部屋らしい。

 らしいというのはだな… 薄暗くてよく分からんってこった。ロウソクっぽいのがぱちぱちと燃えてるらしい音と匂いがするくらいなんだよな。

 臭いからすりゃ、獣脂ロウソクってやつか……


 あとはまあ、変な感じがするのは久しぶりの重力ってヤツのせいか。

 超空間通路の中は重力なんか無かったからなぁ。

 まあ、このあたりは地球と変わらんようだし、すぐに慣れるだろ。


 それよりも、だ。どうやら、ここが俺を召喚した奴がいるところらしい。

 キャンプ場で俺の頭の中に話しかけてきた『声』の主も一緒だと思う。

 それにしても、唐突だったよな……


 それもこれも、ホロンのせい… だけじゃないか。

 俺も… だよな。やっちまった感で一杯だよ。

 じつは秘密箱っぽいアレなんだが、とんでもない装置だったらしいんだ。

 何があったんだって?


 実はな……


「……絶対ゼロ時間フィールドジェネレーター?」

『うん。このユニットの周りの空間… だいたい今だと直径3メートルくらいだけど、時間の流れが違うんだよ』


 あのなぁ… 禅問答してんじゃねぇから。

 時間の流れを川にたとえるというのは良いよ?

 それはそれで分かりやすいというか、よく使うからな。

 でもよぉ……


 川の流れるスピードがゼロで、それでも流れているっちゃ何だよ。川なら水なり何なりが流れてるのが当たり前だろ? 水たまりとかじゃないんだからな。

 だけど、さ。流れるスピードがゼロって… どゆこと?


『そうとしか言えないもん。

 今の宿主さんのオツムで理解できるように説明するのは難しいなぁ♪』


 てへ… だとぉ? 今のお前に萌えなんか無いから。

 つか自分の姿を鏡で見た事あんのかよ?

 それに、だな。俺の頭は弱くなんかないからな。

 これでも学校で物理は学年トップ10に入ってたんだぞ?


『それでも無理。無理無茶無謀はアホの子のする事だよね』


 ……ちくせう。ホロンめ。お前いつか泣かしてやる。


『むぅ、宿主さんはワガママだなぁ。じゃあ、このフィールドを解除すれば実感できると思うけど、やってみる?』


 おうおう、やってやろうじゃないか。で、何をすればいい?

 んむ? ここと、ここを同時に押す? …うん、押したぞ。

 なんか引っ込んだが。


 そこに指を引っかけて、ひねれ? …お、動いた。

 ぱかっと開いたよ。なるほどなぁ、2か所同時押しまでは試してなかったな。

 そう言うわけか。で、中にあるハンドルを回せばいいのか?


『回したら、早く離れて! 爆発に巻き込まれるよ。

 宿主さんもコゲコゲのパーになっちゃうよ?』


 げ? まさかの自爆装置… だと?


「ぬおおおおおっ!」


 それを聞いた俺は、こいつを思いっきり蹴り飛ばしたんだよ。

 それこそ全力で、全身全霊の力を込めてな。

 で、蹴った瞬間に凄い勢いで飛んでいったと思ったら、遠くの方できらーん。

 ふっ、間に合ったか。


 これでフィールドを解除できるはず… って、ちょっと待てえぇえ?

 身体がすごい勢いで飛んでる。とんでもないスピードが出てるのは、進行方向に見える何とも言えない色をした球体──おっさんがシラフェイア宇宙って呼んでた──宇宙が、みるみる大きくなってる事でも想像できるってもんだ。


 そして、俺はシラフェイア宇宙に突入して。


 一瞬、視界が真っ黒になったかと思ったら、この部屋にいたってわけだ。


 段々感覚が戻って…… 俺が寝てるとこって、石か何かで出来てないか?

 ラノベとかゲームで出てくる異世界召喚… なら、祭壇とか神殿の床……

 どっちにしろ、こいつは木ってこたない。石で出来てるよ…


 ぼんやりと… そんなどうでもいい事を考えていた時だった。


 ふと人の気配を感じ取って辺りを見回すと、黒いローブを頭からかぶった数人の男女が、片膝を地につけた姿勢のまま俺を見つめていたんだ。


 その背後には甲冑に剣や槍で武装している奴がいるな。ところどころにキズやへこみがあるようだが、結構リアルな加工をしてるじゃないか。

 それも結構使い込んでいるようで体に馴染んでる。

 …ってことは、だ。こいつらは夢とかではなくてモノホンかよ!


 部屋の壁のあちこちでぱちぱちと音をたてて燃えるでっかいロウソクの煙が目にしみる。壁は… 石か。窓は無い。壁に車が通れそうな大扉があるだけか。

 木で出来ているようだが縁にはでかい鋲で金属板が取り付けられている。

 装飾というよりも補強だな。けっこう頑丈そうだ。


 ここまで見て気が付いた事がある。

 あのおっさんが言っていた異世界… って話は夢じゃないって事らしい。

 俺はついさっきまでキャンプ場にいた筈なんだ。

 そして、絶対ゼロ時間フィールドの中にいれば、時間の流れは事実上ゼロ。


 つまりフィールドの外での時間経過は無しという事になるんだな。

 だから、ほんの僅かな時間で… 下手すりゃ瞬きするより短い──刹那的な時間でここに来たという事になるんだな……

 あばばば… ワクワクどころじゃない。


 この部屋ってさ、よく見たら… なんかヤバくないか?

 だってさ、壁とかを見てるとさ、どう見ても神聖な場所には見えないんだよね。

 それに神官ぽい服装した奴なんかはさ…


 頭からすっぽりと動物の──それも頭の骨みたいのをかぶってるんだぜ。

 これって、なんか怖くね?

おいでませ、異世界へ。

って、神官の姿を想像したら…… わはは、なんか変!?

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