表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/165

勉強してるのに苦労する俺

 古城のおっさんと別れた俺は、そのあとしばらく超次元通路… だったか。

 相変わらずそこを漂っているんだが……

 身体? うん、なんとか動くようになってきたよ。

 まだ違和感は残ってるけど、そのうち消え ……ええと、コレは何だ?


 足の動きが重いと思ったら……


 気が付いたら、足首に何か… 足環っぽいのが付いているのかな?。

 ……てかなんだよ、コレ。ごっつい鎖じゃねぇか。鎖の先に付いているのはは一升瓶くらいはある重そうな物体だ。

 そうじゃなくても身体が思うように… おっ? 動くようになってきたか。


 ならば簡単だな。柔軟体操の要領で身体を折り曲げて、と。

 ふん、こんな鎖なんか簡単に…… なんで千切れるの?

 いまチィーンって音、したよね? バキッ、でもボキッとかじゃなくて。

 それもかなり澄んだ… 高い音だよね。


 てことはだよ。


 こいつ鋼鉄か何かみたいな、固い金属って事だよね。

 そうじゃないと、こんなに高くて澄んだ音なんか出るはずないじゃん。

 逆に、同じ鋼鉄でも柔らかいとボゴ… って感じの濁った音になるんだよ。

 たしかJISで硬さとか決まって… って、なんでこんな事知ってんだ?


 中学時代の技術家庭科でも習ってなかったぞ?

 あの授業では、いちおう製図から簡単な金属加工までやったけどさ。

 たしか作ったのはブリキのちりとり… だったよな。


 図面引いて、ブリキ板は金鋏(かなばさみ)っていう鋏をより凶悪にしたようなものでチョキチョキ切ってさ。切り出した本体と取っ手の部品を叩いて曲げて穴開けてな。

 出来た部品をリベットをはめて、反対側から金づちで叩いて出来上がり。

 ブッキーな奴は、リベットの叩き方が悪くて全体がぐらぐらになったとか、左右対称のはずがギコバコしてたり… 色々あったなぁ。


 あとはねじ回しとかだが。あれもなぁ…… って、ちがぁあう!

 なんで、俺にこんな知識があるかって事だ。JIS規格は知ってるけど、その中身──規格表やら細かい数字──までは習ってなんかいないからな?

 んーむむむむむ……


 で、結局のところは、だ。

 あのおっさんも意地が悪いというか、何というか……

 ちゃんとポケットの中とかを確かめなかった俺も悪いんだけどさ!

 あったよ、ありましたよ。おっさん直筆の手紙がなぁ。


『佐久間君へ。

 この手紙を見つけたと言う事は、まだ超次元通路を漂流中なのだと思う。

 だが、今の君にもあまり時間は残されていないのだ。

 だから端的に言おう。


 口に出してでも、心の中ででもいいから『イスタートス』と唱えるのだ。

 そうすれば、事態は好転するはずだ。

 では、向こうの世界でまた会おう。


 追伸

 この手紙の素材は不安定極まりない。よって通常空間に出現してから60秒ほどで発火する。テルミットの倍くらいの熱量が出るから火傷しないように』


 …………ヲイ?


 おっさんよぉ……


 テルミットって、反応が始まったら下手すりゃ3000度は行くかも知れないんだぜ。こいつはその倍くらい、だと?

 それって太陽の表面温度なみの超高温じゃないかよ。

 地球上でもっとも融点が高いタングステンだって一瞬で沸騰…


 いや、そんなの通り越して蒸発すんぞ?


 それも時限爆弾ぽいと来たら、もしも向こうの世界に行った時に気絶でもしてたらどうすんだよ。

 ったくもう…… それにまた会おう、だと?

 ああ、ああ。俺の方こそ是非とも会いたいね。


 それと、イスタートス? 呪文ぽいけど、なんとなく厨二っぽいなぁ。

 まあいい。おっさんの手紙には時間がないって書いてあったもんな。

 さっそく試してみるか……


「イスタートス!」


 とりあえずは声に出してみたよ?

 もしもこいつが呪文だとして、心の中で念じる──要は詠唱破棄──というのもなぁ。見えない友達との会話なんかに慣れてる奴なら簡単かもしれないけど。

 ををををを?


 呪文をと唱えると、俺の目の前に横長の四角形が出現した。

 透き通って… いや、半透明ってヤツだな。

 んんん? 左上の隅で白っぽい四角がピカピカしてるだけ…か。

 なんだこれ。


 急に白い四角が右に流れ始めたかと思うと、緑色の文字が現れ始めた。

 やがて白い四角が消えると… ああそうか、こいつはコンピューターの画面みたいなもんか。

 で、こいつはポップアップ画面ぽい…… って、おおおい。



NOME :YUUKI SAKUMA

IDADE:15

Distincao por SEXO:♂

RACA:TERRANER


【STR】 Forca fisica/poder de ataque fisico valor atual/valor maximo

【INT】 Inteligencia/Poder de Ataque Magico Valor Atual/Valor Maximo

【DEF】 Defesa(Poder de defesa):Valor atual/Valor maximo

【KRM】 Carma(As consequencias de boas e mas acoes intencionais):NEUTRO

【SKL】 habilidade:olhos de joia Anular veneno

【AUX】 Funcoes Auxiliares(Ligue para o navegador de suporte)



 ええと、こいつはイビム語… 違うな、ラジルポ語か。

 まあ、読めるから良いけど、めんどくさいなぁ…


 こんな事なら、もうちょっと真面目に授業受けとけばよかったぜ……

JIS規格って、ほんとうに細かいです。

マンホール用のふただけでも、いくつも規格が関わっているとか。

材料の規格、サイズなどなど…… だそうですけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ