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勉強してないのにデキる俺

 ええとぉ……


 ここはどこ、わたしはだあれ?


 なんてカビの生えたボケをかましている場合じゃない!

 マジでどーなっちまっんだ、俺。

 超次元通路の中にいるってのは、まあわかる。

 さっきまで古城のおっさんと一緒だったんだからな。


 あのドールハウスって言うかモデルハウスって言うか… なんか変な所だったんだよね。いや、何って言ったらいいかな。内装はどこのな古民家だってくらいに完璧だったよ。それも畳敷きだわ、囲炉裏はあわ… ってな感じでね。

 それに重力…… そういや重力があったよね?


 超次元通路の中ってさ、重力無いのよ。動いてるって感覚も無かったね。あまりにも広過ぎて、動いてるのに気が付かないだけかも知れないけどさ。

 でも、なんか流れみたいなものもあるのだけは分かるんだ。


 おっさんの話だと、超次元通路ってのは2つの大宇宙を繋ぐ、細い糸みたいなものなんだそうだ。そして大宇宙って言っても、俺やおっさんがいたガイア宇宙と、繋がった先にあるシラフェイア宇宙の大きさは全然違うんだ。


 だいたいガイア宇宙の8割くらい… 今はまだ縮んでる最中だけど、最終的には7割くらいの所で収まるって言ってたかな。反対にガイア宇宙は少しづつ膨らんでいる。こっちは分かるぜ。宇宙が出来た時にビッグバンてのが起きてさ、その結果として宇宙は膨張を続けてるんだ。


 これがいつまで続くのかは誰にも分からない。このまま膨らみ続けるのか、めいっぱい膨らんだところで止まるのか。はたまた膨らみ切った宇宙が今度は縮み始めるのか。天文学者も結論が出せないでいるらしい。

 まあ、知らなくても問題はないだろ。


 それよか先に、俺の方が老衰で死んでらぁ! ってな。


 そんな遠い未来の事なんか、真面目に心配すんなって。ハゲるぞ。

 で、だな。シラフェイア宇宙が縮んでるってのは、ちょっと違うかな。本来なら膨張してる筈だが、宇宙を構成する──リソースってのが無くなっちまったせいで、こうなったらしいんだ。


 風船だって、中身が抜ければしぼむもんね。


 このあたり大宇宙を管理してる神様がいるそうだけど、気にしててもなぁ。

 どのみち、俺はあっちに行くしかないし、地球に還る事だって出来そうもないんだぜ。むこう──シラフェイア宇宙に着くまで、どのくらい時間がかかるのか知らんけど、行ったらそこに骨を埋めるしかないんだ。


 だからそんな先の事を考えたってなぁ…… 知っても俺には何もできないもん。

 自分の努力でどうにもならないけどさ、俺に出来る事はあるかも。

 そいつは、ひとつの呪文を唱える事だけだよね。


 ──もう、どうにでもなぁれ! …ってね。


 それに遠い未来の事よかさ、もっと心配な事があるんだよね。

 これはとーっても深刻な問題なんだ。

 そして、こうなった原因もうすうす気が付いているんだよね。

 古城のおっさんったらさ、いったい俺の身体に何しちゃってくれたのさ!


 たしか、おっさんはこんな事を言ってたよね。


『君の脳にあの世界の常識や知識とユーティリティをインストールしておいた。

あとはちょっとした強化なんかもな。それらが身体になじむまでちょいと時間がかかるんだが、そのあたりは上手くやってくれ』


 ……ってさ。


 でもさ、あれからどのくらい時間が経ったか知らないけど、まだ身体が痺れたまんまでさぁ。何もやる事が無いんだよね。

 だから、ぼんやりしながらこの空間を流されていくしか無いわけだ。

 なんかなぁ……


 腹が減らないってのは、有難いんだけどなぁ……


 気がついてからずーっと、眠いような、眠たくないような… 変な気分だ……


 でもおっさん、神様じゃないって言ってたけどさ、鬼でもなかったよな……

 だってさ、チートなんかやらん! とかなんとか言いながら、結局は色々なものを貰ったからなぁ……

 たしかギフト… って言ってたよなぁ。


 俺の脳に色々なものを流し込んで、身体とかも強化してくれたらしい。

 向こうの世界の常識とかは、マジでありがたいと思うんだ。

 やっぱ、大切だよね。ジョーシキってやつは、さ。

 あとは言葉が通じるってのは大事。


 俺的には異世界人とのファースト・コンタクトだから、カッコよく決めたいね。

 そのためにも、さ。言葉が通じるってのは大事な事だと思うんだ。


 でもねぇ…… この歳で第2外国語もマスターしましたってのはどうよ?

 中学に上がってから習ってるラジルポ語は、まだいいけどさ。大学に進学したらイビム語かガリア語ってのがデフォなんだよな。第2外国語てのはさ。


 でも、俺の場合はさぁ…… なんで異世界語なんだよぉ……


 …………ふぅ。


 やっぱ暇!


 身体のしびれは収まってきたけど、まだ指1本すら動かせないよなぁ……

 何にもない空間に浮かんでるだけだもんなぁ……


 動くのは脳みそだけ、だからなぁ……

 脳みそだけでも働かせてって……


 やっぱ、脳みそはなぁ……



 脳みそ… 頭脳?


 頭脳労働……


 …ぷっ。

本当にする事が無くなったら、瞑想するしかないかも。

さあ佐久間君。頑張って悟りを開くんだ!

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