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宇宙への道

番外編を18時に投稿します。

本編とは関係あるかも(?)な内容なので、ネタバレがあるかも。

みなさまよろしく。

 あれからみんなで色々な事を話した。

 食べ物の話とか。大破壊が起こる前の流行語とかファッションとか。

 ……皇女サマの秘密のクローゼットの在処とか。


『さて、君たちは誘い受け計画のシミュレートを始めてくれたまえ。私はユーマ君に見せたいものがあるんだ。……ユーマ君、いいかな?』

「構いませんけど…… いったい何を?」

『ふふふふふ、見たら驚くぞ?』


 そして、モードラは地下第4層と第5層を案内してくれたんだ。

 たしかに驚いたね。どっちの階層も、とにかく広い。広すぎるくらい広い。

 野球場がいくつも入りそうな地下第4層には、とにかく色々なものがあった。

 病院や工場… 特に穀物や肉なんかを工場で作ってるなんてなぁ。


『地上に帰還した人類を支援するための施設でもあるからね。とはいえ、本物の地下都市とは違ってささやかなものだよ……』


 モードラはそう言うけど、この工場で20万人を養う事が出来るんだぜ。

 ドゥーラの住民全員にお腹いっぱい食べさせて、なおかつ余裕があるなんて、なんだか気が遠くなりそうだよ。(作者注:佐久間君がゼムル帝国に召喚された2021年9月時点で、ドゥーラの人口は約15万人だった)


 まあ、なんだ。野菜や穀物を育てる植物工場は分かるけど、肉や魚は養殖…


『何を言っているんだ君は。そんなのクローン培養に決まっているだろう』


 ……さいですか。

 やっぱり、進んでいるなぁ。地球だと養殖イワシ一択だもん。イワシは成長が早いし、餌代だってたかが知れている。そのうえ美味しいし栄養もたっぷり。

 こいつを乾燥して粉にすれば、捨てる所なんか何もないんだぜ。


 でも、ウシとかニワトリは無理っぽいんだよなぁ……

 ドワーフ族が羊はなんとか行けそうだって話だけど、羊肉はクセがなぁ。


 そして第5層は巨大なデーターベースの収納庫だった。

 これに比べりゃ江戸の国会図書館さえ、これは何なんだ? って感じがする。

 ここも第4層と同じくらい広いんだが、そこには列車に乗せるでっかいコンテナみたいなユニットがギッシリ詰まっているんだもん。


 冗談抜きで、ゼルカ星の全てがここにあるんじゃないか?


『たしかにここは、ゼムレン文明のバックアップ・ストレージと言ってもいい。

 しかし、今のこの場所は墓場のようなものだ……』

「墓場……?」


 モードラは、巨大なメモリーバンクの前でため息をついた… ように見えた。

 途端に、宝の山とはこの事かと、輝いて見えた貯蔵庫が薄暗い、得体の知れない不気味なもののように見えてきた。

 俺の背中を何か冷たいものが這い上がってくるような気がして、ぶるっと身体が震えた… ような気がする。


『知識というものは、人が使ってこそ価値がある。さらに言えば知識は力だ。

 活用する場があってこそ、真価を発揮するのだとは思わないかね?

 そうでなければ、ここにあるのは紙に書かれた文字列に過ぎないのだ』


 俺に何を期待しているのか知らないけど、これだけの知識を死蔵するのは惜しいと思う。だからと言って、これを活用するために、知識を頭に詰め込むのはどうかと思うんだ。モードラは多少頭の形が変わるだけだと言ってるけどさ。

 俺は今の頭の形が気に入ってるんだ。


 スカリット姫には、多少詰め込んだ事があるらしいが……

 結果として、ちょっと頭が長くなったらしい。ティアラと髪型のせいで、それほど目立たないけど、兜が合わなくなって、作り直したらしい。

 って事は、か・な・り、大きくなったって事だよね?


『記憶容量が大きく増えたので大脳の上半分が急激に成長したようだ。もちろん頭蓋もそれに合わせて大きくなるから問題は無いよ』

「いや問題あり過ぎだろ」


 ティアラは自動的にサイズを調整する魔道具だけど、兜はね。防具というのは専用品だから、普通ならサイズ調整機能なんていらない。逆に機能を乗っ取られたら──魔道具の制御は個人専用と言うけど、姫様のティアラはどうよ?

 俺がティアラを被ったら、サイズの自動調整… 機能したよね。


 俺が砦から逃げ出す時に、このティアラは超高温に晒されたり、ぶつけたりしたから… 魔法陣的な何かがおかしくなったのかも知れない。

 その結果、俺の魔力に反応したティアラは……


「逆に言えば、その魔方陣的な何か… 魔法回路? そいつにハッキングかます事だって出来るって事だよ。このあたりはサイバー戦争の基本だね」

『それはおもしろい考えだね。うん、実に興味深い』


 モードラは感心したように言うけどさ… そっか。ゼムレン文明では戦争は過去のものって言ってたからなぁ。そう言う意味では、俺達地球人は現役だ。

 だからと言って、褒められても嬉しくは無いけどな!


『では、ユーマ君。ここに来た目的を話そう』

「まさか、脳みそに知識を詰め込むため… じゃないよね?」


 もしもそうなら、暴れるぜ?


『いやいや、そうではない。昼間話していたバリア衛星の件なのだ』


 あ、そっちの話ね?

 国盗りと言うと聞こえは悪いけど、そうしないとプロジェクト・ブルーを再開できない。最悪の状況を考えれば、菫外線でゼルカ星は蒸発するよ。

 あの宇宙船… ナウパウムって奴の建造を急いだのもそのためだろ。

 でも、今のままじゃ建造なんか無理。そしてバリア衛星は……


『うむ。宇宙往還機があるから、それを使えばいい。問題は発着場なのだが』


 そう言いながらモードラは地図を表示してくれた。立体映像の投影装置はどの階層でもデフォらしい。モードラがいるんだから当たり前と言えば当たり前か。

 宇宙往還機の発射場というか、格納庫は地下第7層にあるそうだ。つまり加速ラインの大半は地下にあるって事になるな。


 どういう事かって? 前に話題になっただろ、わずか2秒で時速100キロまで加速しちゃうジェットコースターの事。あれと同じようなもんだ。

 そこにロケットブースターまで使っているから、たぶん死ぬほど早い。

 それも実際に人を乗せて使っていたというから驚きだね。


「なあ、この加速ラインだけど… 途中で埋まってない?」


 最後の加速ラインは当然の事だけど、直線になっている。問題は出口なんだけどさ…… どう見ても、魔の森のどこかって事になりそうなんだが。

 魔の森は、異世界からの漂着物だ。元からゼルカ星にあったものを、別の時空間に押し出して、開いた所に森がはまり込んだんだからな。


 この調子じゃ簡単には宇宙に行けそうにないな……

おおおーい、ファンタジーさぁん!

かえってこーい!

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