表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/165

弁当の味に涙する俺

番外編を18時に投稿します。

本編とは関係あるかも(?)な内容なので、ネタバレがあるかも。

みなさまよろしく。

 結局のところ、地下2階… 第2層か。そこは円形ホールを囲むように回廊があって、片方にはまっすぐに伸びる通路があっただけだ。

 第1層と同じような構造なら、通路の左右には隠し部屋がありそうだが。


『ソナーでは空洞を検出する事は出来ません。対探知システムが存在する可能性は否定できませんけれど』


 そうだよね。

 あの扉の立体映像にソナーは反応したんだ。最初はホロンも立体映像だって事に気が付かなかったくらいだから、よっぽどだよね。


『ねえねえ宿主さん?』「なんだよ」『傷口に塩を塗るのはヤメレ!』


 そこんとこだけ、文字表示なんだよ。それもファンシーな書体でさ。

 なんだか笑いがこみ上げてきたじゃ……


 ぐぅ……


 わははは、腹の虫も笑ってらぁ。

 丁度いいから、ここいらで弁当を食べるかね。時間もちょうどお昼だし。


 俺は弁当箱を取り出すと、ぱかっとふたを開いた。

 今日の弁当はだな、なんとイノブタ丼だ! イノブタってゼルカ星にも普通にいるんだよね。ついに醤油や味噌、うま味調味料を作るのに成功したんだよ。

 これだけ材料があれば、作るのはこれ一択だよね!


 タマネギ? そんなの要らん。俺が食べたいのは肉だ。肉!

 例によってこいつもうさぎ屋敷の台所で作ったんだが、久しぶりに味わった醤油の味は感涙ものだったよ。

 味はどうかって? そりゃあ、母さんが作ったものには遠く及ばないけどさ。


「それでも、夢にまで見たイノブタ丼の完成だぜい!」『いぇい♪』


 粗末なモノだと笑わんでくれ。ようやく作りあげたヤポネスの味なんだ。

 やっと、こいつを食べる事が出来るようになったんだ… ぜ。


 肉を一口ぱくり。そして麦飯をかき込む。

 麦飯のぷちぷちとした食感も良いけど、やっぱり米が恋しいなぁ……

 思わぬところで来年の目標が決まっちまった。


 米を、探すぞ! そして、見つけた米を炊いて寿司を作って……

 うーんふふふふふ。夢が広がるなぁ。


『サクマユウマ。今のうちに偵察ロボットを出しますね』

「うん、頼んだよ」


 壺の中から、偵察ロボットが何匹か這い出してきたよ。

 短い脚をぴょこぴょこ動かしている姿は、なんか微笑ましいものもあるよね。

 さわさわさわさわ… って感じで思い思いの方向に散っていった。

 あとは、あいつらからの連絡待ちだな……


『ねえねえ宿主さん。入り口を見つけたらさ、やっぱり先に進むのかな?』

「当然だろ。地下第2層(ここ)が通路だけってのは腑に落ちないけど、下に行けば答えが見つかるかもしれないじゃないか」


 地下第2層を調べ終えた俺たちは、先に進む事にした。

 ここには通路しか無かったし、ソナーでも壁の裏にある空洞を見つける事は出来なかったからな。

 けっこう念入りに調べたから、見落としは無い… と思うんだ。


 だったら、この階層は踏破済みという事になるよね。だったら次に進んでみようって気にならないか?

 ゆっくり食事を済ませた俺は、体力も魔力も満タンなんだぜ。

 だからこのまま帰るのも、何か勿体ないような気がするんだよね。


『サクマユウマ。偵察ロボットが地下第3層への入り口を見つけたようですよ』


 やったね! これで先に進めるぞ。

 じゃあ、行こう。すぐ行こう!


 俺は急いで壺に乗り込むと、リ・スィに案内されるがままに……


「って、ここかよ……」


 壺を操縦して円形ホールを囲む回廊を進んでいると、ティアラから澄んだ音が聞こえてきたから妙だとは思っていたんだ。

 仏壇に置いてあるおりんって、ちーんって鳴らす仏具があるだろ。

 あれをもっと澄んだ音にしたような、そんな感じだ。


 小さな音だったから、んっ!? と思っているうちに、聞こえなくなったけど。

 気になって少し戻ったら、また聞こえてくるじゃないか。


「聞こえたか?」『何が聞こえたのかな、宿主さん』


 ……聞こえていないのか。という事は、こいつは音じゃないんだな。

 この、ちーんって音は精神感応か何かで、俺の心の中に響かせてるのか。

 まさか、これがティアラの機能なのかなぁ。

 ティアラを取ったら音が聞こえなくなったから間違いないな。


『サクマユウマ。通路はこの壁の先です。微かに壁を動かした痕跡があります』

「えっ? ここ… なのか?」


 辺りをよく見たら、通路の隅に偵察ロボットが張り付いてたよ。

 意外と見つからないもんだなぁ……


『この先に空洞があると思われますけれど… 僅かでも私の目を誤魔化すとは、優秀な対探知システムを使っているようですね』


 ふぅん、それじゃ試してみるとするかね。

 このティアラが音を出すだけだとは思えないよね。たぶん、扉を開けるための『鍵』だったりしないかな…… よっし、ビンゴぉ!


「……開いたな」『開きましたねぇ』『ふむ……』


 うひひ、案じるより何とやらだ。ティアラを頭に乗せて、壁に向かって念じてみたんだよ。ひらけゴマ! ってな。隠された扉を開くなら、やっぱコレだろ?

 そしたら、音もなく扉が開いたんだ。


 扉の先にあったのは四角い筒のような立坑だ。壁に階段が作られているから、ここで間違いないだろ。深さは…… ここも3メートルくらいかな。

 惜しい事をしたなと思ったのは、この立坑は上にも続いているって事だ。


 つまり、地下第1層でティアラを付けていれば、この音が聞こえたかもしれないって事なんだよね。後で確かめてみるから良いけどさ……

 なににせよ、これが正規の通路って事になるんだろ。


『サクマユウマ。先に進みますか?』


 もちろん行くに決まってるさ。

地下第3層の最奥部にある部屋。

いったい、ここは何なんでしょうねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ