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皇女サマの事を考える俺

 俺はウサギ達が帰ってくるのを待ちながら、ティアラを片手に皇女サマの事を考えていた。なんか思考が堂々巡りしてるなぁ。こいつがよくない傾向だって事は分かっているんだ。

 充分に分かっているんだけどなぁ……


『ねえねえ宿主さん。BBAの何が気になるのさ!』


 うん。彼女はこれ以上ないくらいに、いいところのお嬢様… だよね?

 だから政略結婚は必然だ。相手が気にくわないヤローでも関係ない。

 皇女サマが何を言おうと、皇帝の決定には従わなくちゃならないからな。

 それに政略結婚ってヤツは、ロイヤルファミリーの義務ってやつだ。


 そして政略結婚なら、ヤローの方にも選択出来る事はひとつしか無い。


『ハイ喜んで! 以外の返事は考えられないよね♪』


 そういうこった。

 ラノベなんかでも、鉄板のテーマのひとつだよね。去年の暮れにテレビで地上波初登場とか言って放送していた映画にもあったような気がするんだ。

 たしか源氏物語の現代語バージョンって話題になってたはずだ。


『もしかしたら、結婚相手がいないくて売れ残ったとか?』


 その可能性も、無くもないか。

 皇女サマは帝国でもトップクラスの魔法使いだ。

 普通は魔法使いって、得体の知れない不気味なヤツに見えちゃう事ってあるからなぁ。ひょっとすると相手がビビって…… いや、そっちも無いな。


 よく考えても見ろよ。高位の魔法使いってのは、数が少ないんだぜ。

 仮に攻撃魔法の使い手を戦場に投入したら?

 ひとりの魔法使いが戦局を左右する事だって、不可能じゃない。


「じゃあ、そっち… かな? 皇帝が娘を放したがらないルート」


 帝国の人口は600万人もいるんだが、驚くべきことに国民の10パーセントが魔法を使えるらしい。だけど、ほとんどが小さな火種を作ったり、コップ1杯の水を生み出す程度でしかないんだな。

 これじゃ初級魔法でも基礎の基礎でしかない。

 その程度の魔法でも、それが彼らの全力なんだよね。


 だから戦争のような荒事に向いた魔法使いの数は、決して多くはないだろう。

 リ・スィが今までの捕虜から──脳内情報を分析した結果だけを見ると、そうとしか思えないんだよね。


『地球人の6割は魔法を使えるし、その程度なら普通にいるけどねぇ♪』


 そりゃそうだ。程度の差はあるけどエルフ族とドワーフ族は、全員が魔法を使える。ヒト族の中にも魔法を使える人はいるって話だ。

 ステータス的にはどうなんだろうな… まあいいか。


「こいつは古城のおっさんの受け売りだが、ゼルカ星人の魔力値の上限は50だ。

 訓練をする事で魔力値のキャパを上げる事は出来るらしいけどな」

『でも宿主さん。砦を焼いたのは高位の魔法使いでしょ?』


 そうだ。あれは間違いなく上級魔法だよ。


 でもな、そういった魔法使いは極端に数が少ないだろうよ。

 帝国国民の10パーセントが魔法を使えるとして、60万人だね。

 統計学的に考えれば、中級魔法を使えるのはもっと少ないはずだよ。地球人の場合は1000人にひとりくらい… だったよね。


 だったら上級魔法を使えるのは?

 両手両足で数えきれるかも知れないとね。


『たしかにサクマユウマ。その視点で判断するなら、あなたの魔力量はどのくらいあるのですか?』


 ふふふふふ。見るかい?

 俺のステータスを。その目でとくと見るがよいわ。


 ……イスタートス!


『はいはーい。今の宿主さんの状態で~す♪』



 名前: 佐久間 結馬

 年齢: 15

 性別: ♂(?)

 種族: TERRANER

【STR】 3700/3700

【INT】 4500/4500

【DEF】 1200/1200

【KRM】 現在値:中立

【SKL】 スキル:宝玉の瞳 毒物無効 格闘 身体強化 視力拡張

【DEG】 蟲皇の後継者 ヲサギの皇

【AUX】 サポートナビゲーターを呼び出す


 ふっふっふ。どーだ、凄いだろう?


『…………』


 久々にステータスを表示させたけど… リ・スィが反応してないぞ。

 ホロンのようにビックリし過ぎて、フリーズしたかな?


『そんな事はありませんよ、サクマユウマ。これだけ大量の魔力を持った個体はナパーア星にもいない… その事実を確認していただけです』


 そうか、それは良かったな。

 前にも言ったが、この世界のステータス値は50が上限だ。ここまで来れば、もはや達人クラスだが、俺のステータスの前ではそんなものはゴミだ、ゴミ。

 俺と互角にやりあえるのはインゼクトとウサギ。そして5人の影法師だけだ。


 いいかい? 皇女サマが異世界召喚したのは、こういうヤツなんだよ。


『たしかに宿主さんの言う通りかも知れないねぇ。あの召喚魔方陣にはいくつかの魔法が組み込まれていたもの。隷属化の魔法や脳内リミッタ―の破壊……』

『見た事のない術式ですが、それなりに整合性は取れていますね……』


 俺を召喚した目的を皇女サマから事情を聴く事が出来たら話は別だけど、もう出来ないからなぁ。あれから時間が経ち過ぎているから、蘇生も無理だろ。

 それはそうとして、だ。


 もしも俺が古城のおっさんと会わなかったら、召喚された途端に精神支配──奴隷化──と同時に、脳内安全装置(リミッター)がぶっ壊されてたんだ。


 人間の脳にはあらかじめ安全装置(リミッター)がかけられていて、意識的に発揮できるパワーに制限がかかっているんだ。こいつのお陰で、筋肉に大きなダメージを負ったり、腱や靱帯が切れたりするのを防いでいるわけ。

 それが解除される時もあるよ。いわゆる火事場の馬鹿力ってやつだけど、あくまでも一時的なもので、長続きするものでもない。


 でもね……

やっぱり古城のおっさんが佐久間君を強化した時に、何かミスったのかしら。

彼のステータスは、ちょっと変かもしれない……

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