迷宮生活 十日目
迷宮生活 十日目
今日も引き続き魔物の戦闘力の検証を行った。魔物を観察していてわかったのだが、進化した魔物は能力だけでなく、その習性や同族への影響力にも変化があるようだ。
魔物への理解を深めるためにも、これからはそういった魔物の特異な行動にも目を向け、迷宮の防衛に役立ちそうなことは記録しておこう。
まずは昨日の続きから。サハギン・シャーマンは、ゴブリン・メイジと違い身体能力はそれほど下がっておらず、肉弾戦もこなすことができる。さらに【ヒール】のスキルを習得しており、傷付いた味方を治療することができる。
【ヒール】の回復力はそれほど高くないが、重ねがけすれば大抵の傷は塞げそうだ。【魔力矢】によって腕に穴が開いたサハギン・ウォーリアの傷も塞いでくれた。
直接的な戦闘力ではサハギン・ウォーリアに劣るが、味方を治療できるサハギン・シャーマンは防衛戦力の要となり得る。魔素はあまり使いたくないが、サハギン・シャーマンならもう数体増やしてもいいだろう。
二体のサハギンを進化させたことで、ようやくサハギンたちの群れにも序列ができ始めた。今までは、魔物に怪我をさせないため、魔物同士が争っていたら止めるように命令していたこともあり、サハギン達はお互いに興味を持たない様子だった。
しかし今は、サハギン・シャーマンを中心に、最低限の社会性が生まれたように見える。と言っても、サハギン・シャーマンが多少気を使われている程度なので、サハギン・シャーマンに群れの指揮を取らせたりするのは無理そうだ。
対してゴブリンの群れは、召喚した初日から、俺の目を盗んでちょいちょいケンカをしており、早々に群れの序列を確立していた。
群れのボスがゴブリン・ファイターに進化したこともあり、その支配力は高まっている。後衛から群れ全体の指揮を取ることは難しそうだが、ゴブリン・ファイターを中心に簡単な連携を取ることくらいはできそうだ。
サハギン・シャーマンのお陰で、簡単な怪我なら治せることだし、これからはより実践的な模擬戦を行い魔物の戦力強化を図っていこう。
それと、サハギンとゴブリン以外の魔物の検証も行っていかなければ。魔素はできるだけ貯めておきたいので、【基本戦闘職】用に四体召喚する種族と、スッパリ諦める種族を選別しよう。
「収入」
魔素…510P
信仰値…40P
「出費」
魔素…31P
(食費31)
信仰値…消費なし
「合計」
魔素…+479P
信仰値…+40P
「所持ポイント」
魔素…1622P
信仰値…222P
「『魔物召喚ツリー』」…魔物の召喚に関する権能の系統。「召喚」と言っているが、何処かから呼び出しているわけではなく、無からの創造。この世界には「神による無からの生命の創造」を意味する単語があり、それを日本語にエキサイト翻訳した結果「召喚」という単語になったという設定があるが、本編には関係ない。
「【下級魔物召喚Ⅰ】」…『魔物召喚ツリー』の初期権能の一つ。【ゴブリン】【ジャイアントバット】【スケルトン】【軽甲虫】【ウィッププラント】【フライングマンタ】【スライム】【竜の卵】を召喚することができる。
「【竜の卵】」…周囲の魔素を吸収し、環境に応じた属性の竜種モンスターが誕生する卵。即戦力にならず、一個500Pもするため主人公は買っていない。




