迷宮生活 五十六日目 水槽背負い
迷宮生活 五十六日目 水槽背負い
今日は昨日に引き続き、MRの掃除と召喚した中級魔物の検証を行った。
まず、基盤背負いの背中の土を取り除き、水を溜めて水槽にできないか試してみた。結果は成功で、全ての土を取り除いても基盤背負いは弱る様子は無く、問題なく水を運ぶ事ができた。
ただ、基盤背負いの土の底にはスライムの核と同様のゴーレム核が存在しており、水槽化するために土をくり抜くと弱点が露出してしまう事がわかった。一応、土を少し戻して埋め直しておいたが、水槽化した個体はゴーレム核を狙われると、簡単に倒されてしまうだろう。
通常の基盤背負いも、人間が核の位置を知っていれば、背中に取り付かれ、掘り返される可能性がある。岩の身体を砕く程の火力が無くとも、基盤背負いを倒す事は可能という事だ。
運用方法からして単独で行動させる事はほぼ無いだろうが、気を付けておいた方がいいだろう。
次にシャドウデーモンだが、【潜影】で隠れられるのは、ある程度のサイズと濃さを持つ影だけであることがわかった。つまり、壁や天井、床さえもが淡く発光している迷宮内では、【潜影】が使える場所は思ったよりも限られているのだ。
MRの玉座や祭壇の影には潜れたので、【噴水施設】で噴水を設置すれば影を用意できるが、流石に通路のど真ん中に突然噴水が現れれば、侵入者も警戒するだろう。【奇襲】の成功率は著しく下がると予想される。
迷宮の各所に噴水を用意すれば、警戒されようがされまいが、それ自体が時間稼ぎの罠になるが……流石にそれは邪魔過ぎる。基盤背負い等の大型の魔物は通れなくなるし、小型の魔物でも移動の邪魔になるので、大群を第一区画に展開したいとき等に、時間が掛かってしまう。
第二区画に部屋を用意しなかった事が、完全に裏目に出てしまった。現状、シャドウデーモンをMR以外に配置するのは難しいだろう。あわよくばレベリングしている兵士達を暗殺できないかと考えていたのだが、作戦を練り直す必要が有りそうだ。
第一区画の魔素濃度低下は中級魔物達のおかげで問題無く進んでいる。
昨日召喚した基盤背負いは水槽背負いに改造してしまったので、MRの魔物の餌となる死体運搬要員に基盤背負いをもう一体召喚した。これで第一区画の魔素濃度低下は更に加速するはずなので、取り敢えずこの問題は解決したと見ていいだろう。
「収入」
DP…3360P
FP…464P
「出費」
DP…2513P
(食費18、第一区画1005、第二区画1190、基盤背負い300)
FP…0P
「合計」
DP…+847P
FP…+464P
「所持ポイント」
DP…7082P
FP…865P
「【潜影】」…影に潜り姿を隠すことができるスキル。影が小さ過ぎると入ることができず、薄い影だと隠れている姿が浮かび上がりバレバレになる。一応生物の影にも入れるが、【潜影】中は移動できないため、影の主が移動すると影から追い出される。
「沼吐き鯰」…中級怪魚種の魔物。見た目はただの大鯰だが、ちょっとした小屋くらいなら押し流せる程の【泥濘の息吹】や“泥”系統の魔法スキルを持つ強力な魔物。水槽背負いと組み合わせる事で機動力の確保にも成功した。習得スキルは【泥濘の息吹】【水属性強化・中】【土属性強化・中】【泥槍】【重泥鎖】【沼夷弾】。
「泥属性」…第一次神話大戦以前に存在していた属性。当時存在していた数々の属性は大戦に勝利した神々によって火、水、風、土、氷、雷、光、闇、の八属性に整理され、その他の属性は八属性の派生・複合属性に「再定義」された。泥属性は水と土の複合属性と言う扱いになり、【泥属性強化】等のスキルも解体された。




