迷宮生活 五十二日目 仮称“聖職者”
迷宮生活 五十二日目 仮称“聖職者”
今朝、兵士達と共に“貴族”と白い法衣の人間が現れた。法衣を着た人間――仮称“聖職者”は、迷宮の入口付近で数分間祈るような仕草をした後、一言も口を開くことなく早々に迷宮から立ち去った。
祈りを捧げていたように見えたが、FP収入はそれ程入ってこなかったので、うちの上司に祈っていた訳ではないようだ。
共に居た兵士や“貴族”も、迷宮内では会話をせずに帰っていったので目的は不明だ。ただ一つ言えることは、兵士達の隊長格と思われるあの“貴族”が戻ってきた以上、いつ兵士達の再攻略が行われてもおかしくないという事だ。
“貴族”は魔法を使用できる要注意人物であるうえ、いかにも回復や支援の魔法を使ってきそうな“聖職者”まで連れて帰って来るとは……。これは思ったよりも厳しい戦いになりそうだ。
第二区画のコンセプトは「物量に依る連戦で敵を消耗させる」というものなので、回復役とは相性が悪いのだ。
今日は朝以降に“貴族”や“聖職者”が戻ってくることはなかったが、明日は第二区画まで降りてくる可能性が高いだろう。
“聖職者”対策に瞬間火力の高いゴブリン・メイジを増産すべきだろうか?「戦力としても使える」という考えで召喚したスケルトンどもが思った以上に使えなかったからな……。
骸骨戦士の【シールドバッシュ】と【カウンターストライク】は槍では使用不可能であったため、ノーマルスケルトンとあまり変わらない。骸骨魔術師の【暗雲】はゴブリン・メイジの【影霧】の上位スキルだが、範囲が広すぎてサハギンやゴブリンの視界も遮ってしまう。攻撃魔法の【火矢】も、水属性主体のうちとは相性が悪い。
現状スケルトン系の魔物の強みは、【刺突耐性】と死霊種故の疲労無効しかない。骸骨戦士の方は、兵士達の武具を鹵獲できれば戦力となるが、骸骨魔術師は活用できる気がしない。
「使えない」は流石に言いすぎかもしれないが、どうしようもなく既存の魔物や施設と合わないのだ。
魔素濃度の調整のためとはいえ、少し投資し過ぎたかもしれない。一日二日ならともかく、連日に渡って攻められ続けると、またDPが枯渇する可能性もある。
【中級魔物召喚Ⅰ】を解放できたがDP不足で召喚できない、と言うことにならないといいのだが……。
「収入」
DP…3361P
FP…302P
「出費」
DP…2418P
(食費18、第一区画2400)
FP…0P
「合計」
DP…+943P
FP…+302P
「所持ポイント」
DP…5125P
FP…947P
「スケルトン・ウォーリア」…スケルトンが【ファイター】の特性付与により進化した魔物。死霊種である為、疲労することがなく毒なども効かないが弱点も多い。習得スキルは【生命感知】【刺突耐性】【シールドバッシュ】【カウンターストライク】。
「【生命感知】」…死霊種の魔物がよく習得している感知系のスキル。【気配感知】の上位互換のスキルであり、敵の身体を精密に把握することで、五感が死んでいるスケルトン系の魔物でも、白兵戦を行うことができる。大気中の細菌などを感知することで障害物や地形の輪郭も把握できる。でも全力疾走するとちょいちょい転ぶ。
「【カウンターストライク】」…武器や盾で攻撃をいなし、痛烈な反撃を行うスキル。槍などの長柄武器でも発動できるが、熟練の技量が必要であり、スケルトンには難しい。




