迷宮生活 七日目
迷宮生活 七日目
魔物たちに「祭壇」に祈りを捧げるように命じたが、やはり失敗に終わった。
結果は初日に試したときと同じで、ゴブリン以外の魔物は、「祭壇に祈る」という命令を理解することさえできなかった。命令を理解したゴブリンにしても、一分程度しか集中力を保つことができなかった。
二十体もいるので、多少は信仰値を稼ぐことができたが、防衛の主力戦力を疲労させてまで行う価値があるかは微妙だ。
今日まで魔物を観察してわかったのだが、どうやらうちの魔物の中ではゴブリンが頭ひとつ抜けて賢いようだ。
漫画やラノベでは、ゴブリンは知能が低い魔物として登場することが多いが、この世界では違うらしい。
というか、サハギンやセイレーンなどの、他の人型種族の知能が低いと言うべきか。
だいたいゴブリンの知能が小学生低学年くらいで、サハギンの知能は少し賢い犬くらいだろうか?
ゴブリンは大抵のことは二、三回教えれば覚えてくれるが、サハギンは簡単なことでも、数日かけて躾けなければならないし、複雑なことは命令しても理解してくれない。
これはおそらく、「種族」的な問題なのだろう。ゴブリンは下級とはいえ「妖魔種」であり、悪魔の一種だ。
対してサハギンやセイレーン、スキュラは「怪魚種」。人の形をしていても、所詮は魚だ。それを考えれば、トイレの場所を覚えてくれただけ賢いと言えるだろう。
より上位の魔物ならば、祭壇に信仰を捧げることができるかもしれないが、今の魔物では難しそうだ。やはり信仰値は自分一人で地道に稼いでいくしかないだろう。
信仰値は相変わらず足りていないが、食糧問題が解決したことにより、魔素量には余裕が出てきた。大量のポイントを注ぎ込めたことで、初日からコツコツと進めてきた通路整備をほとんど終わらせることができた。
まだ魔物はマスタールームにしかいないが、侵入者が来てもマスタールームで迎撃体制を整えるまでの時間を稼ぐことができるだろう。
明日は通路整備の仕上げを行い、残りの魔素で「魔物強化」を試してみようと思う。
今までは数を揃えることと、通路整備を優先していたが、これからは魔物の質も高めていこう。
「収入」
魔素…495P
信仰値…44P
「出費」
魔素…395P
(食費31、通路整備364)
信仰値…消費なし
「合計」
魔素…+100P
信仰値…+44P
「所持ポイント」
魔素…378P
信仰値…101P
「祭壇」…神を祀る台座。祭壇に祈ったり、生贄を捧げることで、信仰値を稼ぐことができる。祈りを捧げるにはかなりの集中力と忍耐力を要する。
「種族」…魔物は「妖魔種」「魔獣種」「死霊種」「魔蟲種」「妖樹種」「怪魚種」「傀儡種」「竜種」の八種族に分けられている。種族ごとに長所や短所、属性の有利不利があるが、かなりガバガバ分類なのであまり当てにならない(怪魚種にイルカや亀の魔物がいたりする)。
「『魔物強化ツリー』」…魔物を強化する権能の系統。迷宮の魔物全てに作用する「加護」と、一体一体個別に強化する「特性付与」の二つがある。特定の「特性付与」を得た魔物は「進化」することもある。




