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迷宮運営日誌  作者: 飛翔
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迷宮生活 四十日目

迷宮生活 四十日目


 再び漁師達が迷宮にやってきた。今回は十人での来訪で、半数程は前回と同じ顔ぶれに見えた。


 当たり前のように漁師達が迷宮探索を行っているが、兵士達は迷宮の封鎖なんかは行っていないのだろうか?完全に放置されているのか、管理しつつも探索を許可しているのか、はたまた漁師達が兵士の目を盗んでやって来ているのか。


 『迷宮外交ツリー』の【現地言語翻訳】を取っていればその辺りの事情も分かりそうだが、現状では知りようがない。


 漁師達は半数ずつで別れて探索を開始した。前回のことで懲りたのか、スライムには手を出さなかった。スライムで稼げる時間は高が知れているので、こちらとしても有り難い。


 七人から五人に減っても、投げ銛の威力は健在で、漁師達は傷一つ負わずに進んできた。今回は迷宮の奥深くまで来てくれそうだと、追加の【投網】を用意しながら待っていたのだが、残念ながらそれは無駄になってしまった。


 漁師達は迷宮深層までは入って来ず、浅層〜中層付近の軽甲虫を狩り尽くして帰っていったのだ。


 漁師達には、軽甲虫に対して有効な攻撃手段はないと思っていたのだが、彼らは丸まって防御態勢を取る軽甲虫に、甲殻の隙間からナイフを差し入れ、生きたまま解体することで仕留めていた。


 なるほどそういう対処法も有るのか、と感心しながら見ていたのだが、漁師達は軽甲虫にとどめを刺してからも解体の手を止めず、全ての甲殻を剥ぎ取っていったのだ。


 兵士達は魔物の死骸を完全に放置していたが、漁師達は素材採取を目的としていたらしい。


 漁師が軽甲虫と相対するのは今日が初めてのはずだが、漁師達と兵士達との間で情報交換がなされていたらしい。漁師達は明らかに軽甲虫に狙いを定めており、浅層・中層に配置していた十体の軽甲虫全てを狩り、その甲殻を持ち帰っていった。


 漁師達を生け捕りにできなかったのは残念だが、軽甲虫の有用性を知ることができた。


 素材採取目的の「安全な侵入者」を招くことができ、解体で時間を稼ぎ、更に甲殻という嵩張る戦利品を持たせる事により、侵入者の動きを阻害し帰還を促すことができるわけだ。


 甲殻を防具として用いられると、侵入者の戦力強化に繋がるという点はマイナスだが、あの甲殻に鉄程の強度はないことは分かっている。


 現状一番の危険因子である兵士達は、既に鉄(多分)の装備を揃えているので、兵士達の強化には繋がらない。


 つまり、軽甲虫は大したデメリット無しに迷宮の魅力を上げ、FP収入を増やすことができるということだ。


 甲殻の値崩れには気を付ける必要があるが、侵入者の需要次第では軽甲虫を増員しても良いかもしれない。



「収入」

DP…650P

FP…241P


「出費」

DP…688P

(食費18、召喚500、投網20、銛150)

FP…0P


「合計」

DP…-38P

FP…+241P


「所持ポイント」

DP…13448P

FP…1281P



「【深海への入り口】・浅層(四十日時点)」…特に区切りがあるわけではないが、主人公は第一区画をざっくり三等分し、浅層・中層・深層、と呼び分けている。浅層と中層は殆ど同じ造りだが、比較的徘徊する魔物が少ない。


「【深海への入り口】・中層(四十日時点)」…それなりに入り組んだ迷路となっており、侵入者の探索と撤退を妨げる造りになっている。徘徊する魔物も多く、魔物の群れに追われながら中層を撤退するのは非常に困難。


「【深海への入り口】・深層(四十日時点)」…サハギン・ウォーリア×5の部屋や、竜の卵を置く噴水の部屋などの防衛戦用エリアと、マスタールームに住む魔物用の食糧生産エリアに別れている。



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