迷宮生活 三十三日目
迷宮生活 三十三日目
やはり、野良サハギン達は人間を襲うことの味を占めたらしく、再び遠征に出かけた。
前回と同じく、半日程度で帰ってきた野良サハギン達は新たに銛を一本と、投げ銛と思われる短い銛を三本得ていた。
しかし、その傷は前回よりも深く、矢傷や火傷の様な傷も見える。恐らく、人間側が武器を揃えるなり護衛を雇うなりしたのだろう。だがそれでも、サハギン達は全員が生還してきた。やはり、水中のサハギンを倒すことは、かなり難しいようだ。
いずれは、家の迷宮も一部水没させるのもアリかも知れない。ゴブリンや軽甲虫を浅層に送るのが難しくなるが、【小型漁舟】で運ぶこともできるし。
閑話休題。重要なのは、人間と野良サハギンの抗争が激化しているということだ。海を泳いで逃げるサハギンを仕留めきることができないのなら、やはり巣を潰すべく討伐隊が組まれるだろう。
そろそろ、野良サハギンが居なくなったあとのことも考える必要がある。というわけで、サハギン・シャーマンを二体追加で召喚し、野良サハギンのFPが得られなくとも、一日に100FPを稼げるようにした。
更に、マスタールームにいる十五体のサハギンを全てウォーリアに進化させた。護衛隊や投網隊は最悪ノーマルサハギンのままでも務まるので、進化させずにいたが、DPに余裕があるので進化させた。
通路を巡回する魔物の増員も行う。サハギン十体、軽甲虫五匹、ゴブリン五組を追加した。野良サハギンが遠征に行っている間に済ませたので、今回は楽ちんだった。
【食糧施設】を増設したので、第一区画の魔素濃度は徐々に下がっていくだろうが、致命的なほどの低濃度になる前に【小規模迷宮】を解放できる見込みなので問題ない……はずだ。
魔素濃度という意味では、とうとう『4.00』を超えたマスタールームに【食糧施設】を増産するのが最も効率的なのだが、今後「中級魔物」を召喚することや【竜の卵】が孵った時に備え、高魔素濃度を保っておくことにした。
魔素濃度の高い場所に置いてある物は、「魔化」して「特殊効果」が付くことがあるらしいので、それを狙ってのこともある。
まぁ、「特殊効果」が付いても現状それを知るすべはないのだが。権能にも現状「鑑定」とか「識別」のようなものはないので、「魔化」関係に手を出すのは少し早急かもしれない。
まぁとにかく、今日は迷宮を全体的に強化することができた一日だった。
「収入」
DP…653P
FP…138P
「出費」
DP…1234P
(食費18、召喚616、付与510、食糧施設90)
FP…0P
「合計」
DP…-581P
FP…+138P
「所持ポイント」
DP…11002P
FP…435P
「下級魔物」…魔物は魔素への依存度により、下級、中級、上級、最上級、特級、の五等級に分類される。基本的に等級が高い魔物ほど強い。下級魔物は「魔素濃度が『1.00』以下の地域でも生息可能」であるものを指す。
「中級魔物」…生命維持の一部を魔素で代替しており、魔素濃度が『1.00』以下の場所では一ヶ月程度で衰弱死する。しかし、通常の生物ではありえない巨躯や生態を持っており、人間が生存域を奪えない程度には強い。
「魔化」…高魔素濃度に長期間曝された物体が魔素を吸収し、「特殊効果」を持ったり、別の物質に変質すること。アイテム版レベルアップ