迷宮生活 五日目
迷宮生活 五日目
やはり昨日の心配は杞憂だったようで、魔素の収集量が戻った。今日までの魔素の収集量から推測すると、一日の魔素収入は500P前後になりそうだ。
新しい権能は悩んだ結果、『迷宮内装ツリー』の【食糧施設】を解放した。【海の幸】や【怪魚の巣窟】なども考えたが、今回は初権能ということもあり、無難に【食糧施設】を取ることにした。
効率を考えれば、【獲得魔素量増加Ⅰ】を取るのが正解だったかもしれないが、一週間も待てなかった。いつかこの日誌を読み返したときに、軽率な判断をしたと後悔することがないと祈りたい。
まぁ、【食糧施設】はかなり有用な権能だったので、後悔することはないだろう。
【食糧施設】は魔素ポイントを支払うことで、魔物の餌となる動植物を自動で生み出す施設を造る事ができる権能だ。
早速【鼠の巣穴】と【増殖するワカメ】という施設を造ってみたところ、【鼠の巣穴】一つでゴブリンを三体、【増殖するワカメ】一つでサハギンを五体も賄うことができるとわかったのだ!
【増殖するワカメ】の方は、水中にしか設置することができなかったが、うちの迷宮は最初から【噴水施設】の権能で【小さな泉】を造れるので、初期費用は少し嵩むが、それほど問題ではなかった。
食糧事情が改善されたので、ワカメを五つ設置し、ワカメで養える最大までサハギンを追加で召喚した。
元々いたサハギン十体、セイレーン一体、スキュラ一体(セイレーンとスキュラもサハギンと同じだけワカメを食べる)に、十三体のサハギンを加えることができた。だが、まだ少し物足りない。目標はサハギン三十体、ゴブリン二十体だ。この世界の人類の戦闘力は未知数だが、五十体もいれば冒険者パーティーの一組や二組は追い返せるだろう。冒険者が存在するのかどうかは知らないが。
しかし、食糧問題を解決できたのはいいが、【鼠の巣穴】を「マスタールーム」に造ったのは失敗だった。鼠が生成されてもすぐに魔物が仕留めてくれるが、やはり自分の住処に鼠が湧くのはよろしくない。
魔素に余裕ができたら、この巣穴は撤去して別の場所に移そう。
「収入」
魔素…518P
信仰値…41P
「出費」
魔素…526P
(食費51、食糧施設85、魔物召喚390)
信仰値…200
「合計」
魔素…-8P
信仰値…-159P
「所持ポイント」
魔素…247P
信仰値…17P
「マスタールーム」…迷宮の最奥の間。機能的には“奥”というより“中心”と言うべき場所。初期設備は玉座と「祭壇」と「ダンジョンコア」だけ。
「ダンジョンコア」…神ならざる存在でも、神の権能を扱うことができるようになるアイテム。いわゆる“神器”。迷宮内の様々な操作はコアを通して行われる。
「『迷宮内装ツリー』」…迷宮の施設や環境の操作を行う権能の系統。迷宮の拡張や「区画」の増設なども可能。