迷宮生活 二十七日目
迷宮生活 二十七日目
今朝、いつものように【小さな泉】で朝水風呂に入っていると、おもむろにスキュラが近づいてきた。
何事かと思ったが、どうも俺の頭を洗ってくれるらしい。今までこういった魔物との触れ合いは殆どなかったので、嬉しくなり頼むことにした。
そしたら、おもクッソ髪の毛を引っ張られた。
あまりの事に悲鳴を上げてスキュラを叱りつけると、ションボリとしてしまった。
どうやら、イタズラや悪意が有った訳ではなく、頭を洗う意味や力加減が分からなかったようだ。やはり、少女のような見た目をしていても、本質は魔物ということか。
しかしそれでも、今まで必要以上に近づいて来なかったスキュラが、自分から俺の役に立とうと行動したことは、いい傾向と言えるだろう。
そういえば、このスキュラは俺が初めて召喚した魔物だった。そう思うとなんだか愛着が湧いてくる。基本的に魔物は使い捨ての駒として扱っているが、何体かは集中的に強化し生き残らせる―――所謂ボスモンスターやネームドモンスターと言える存在を育ててもいいかもしれない。
暫く前に実験として取っておいていた、鼠の死体が腐っていた。骨までもがボロボロに風化しており、明らかに時間経過に見合わない不自然な現象だ。
やはり【食糧施設】の生産物は長期保存できないようだ。期間は五〜七日程度か。一応【魔境茸の苗床】の茸も保存しているが、数日後には腐っている可能性が高そうだ。
保存食は必要としていないが、素材としての価値がないとなると、やはり道具の自作は難しそうだ。
ウィッププラントの蔦も大分水気が抜けてきたため、細長く割いて紐状に捩って見たのだが、思ったほどの強度はなかった。
乾燥過程に時間がかかり過ぎるという問題もあるし、素材としてはボツと言わざるを得ない。
今のところ唯一の成功例と言える石のメイスも、銛を買ってからはマスタールームの隅に放置されている。
道具作りに時間を割くよりは、魔物の訓練や、祭壇での祈りに注力したほうが良さそうだ。
最近は本格的に迷宮作りも始めたことだし、道具作り計画は中止としていいだろう。
そうなると、結局使わなかった【浜辺の宝箱(小)】の使い道も考えないとな。
「収入」
DP…637P
FP…132P
「出費」
DP…27P
(食費27)
FP…0P
「合計」
DP…+610P
FP…+132P
「所持ポイント」
DP…8438P
FP…660P
「【海の住人】」…【深海への入り口】の初期権能の一つ。サハギン、スキュラ、セイレーンの召喚が可能になる。
「スキュラ」…女性の上半身と八本の蛸のような触手の下半身を持つ怪魚種の魔物。召喚コスト40DP。スキルは【移動補正:水中】【末端再生】【束縛する触肢】。主人公は「スキュラってなんぞや?」と思い、一番最初に召喚した。
「『空と海を統べる青』その1」…【深海への入り口】を創り、主人公を異世界転生させた神。「第三次神話大戦」の終盤、瀕死の重傷を負った「青海の神」と「蒼天の神」が融合し産まれた。二柱の相性が良かったため上位神となったが、傷が深く150年程休眠していた。最近ようやく傷が癒え、再起を図るため迷宮を創った。




