迷宮生活 二十六日目
迷宮生活 二十六日目
昨日に引き続き迷宮の防衛手段を充実させていく。今日は第一区画に軽甲虫を導入した。
軽甲虫は1メートル程のダンゴムシのような魔物だ。攻撃は小さな口で敵の足に齧り付くだけであり、戦闘力はフライングマンタと並び最弱だ。
しかし、その甲殻による防御力は優れたもので、ゴブリンが石で殴りつけてもびくともしない。甲殻の無い腹を狙おうにも引っくり返すと丸くなり防御形態を取る。
防御形態になると攻撃が滑るわ転がるわで、サハギン・ウォーリアでも手を焼くほどだ。
単体なら蹴っ飛ばされて放置されるだけだろう。だが、他の魔物との戦闘中では、足元をうろつく軽甲虫を無視することはできないだろう。
それでもやはり、戦力という意味では、コストに見合う存在ではない。しかし、軽甲虫が加わることで、迷宮に多様性が生まれるのだ。
軽甲虫を倒すのに最適なのは打撃による攻撃だ。対して、サハギンは全身の鱗と【皮膚硬化:青】の効果により、それなりの防御力を持つが、金属の刃を弾けるほどではない。そのため、打撃よりも殺傷力の高い斬撃や刺突の方が脅威となる。ゴブリンも同様だ。
つまり、サハギン対策として剣や槍を持ってくれば軽甲虫を倒すのが難しくなり、軽甲虫対策に鈍器を持ってくれば、サハギンやゴブリンを倒しにくくなる、ということだ。
打撃武器と斬撃武器の両方を用意されたり、サハギンも軽甲虫も叩き潰せるような重量級武器を持ってこられても、それはそれで侵入者の装備重量が増え、探索速度が下がる結果になるだろう。
つまり、軽甲虫には直接的な戦闘能力ではなく、侵入者に対策装備を用意させたり、武器を刃毀れさせたりなど、間接的に迷宮攻略を妨害してもらうわけだ。
正式採用に当たり、元からいた一体に加え、新たに九体の軽甲虫を召喚した。主戦力というわけではないので、十体もいれば十分だろう。
そのうち四体に【基本戦闘職】による特性付与を行ったが、やはり【基本戦闘職】は人型ではない魔物と相性が悪いらしく、進化する者はいなかった。
軽甲虫は何気に鼠もワカメも食べないので、新たに【魔境茸の苗床】を迷宮中央辺りの部屋に設置し、その部屋を中心に巡回ルートを設定した。
これで迷宮内に三種類の魔物が巡回するようになった。なかなか様になってきたのではないだろうか?
「収入」
DP…651P
FP…132P
「出費」
DP…102P
(食費27、召喚45、特性付与20、食糧施設10)
FP…0P
「合計」
DP…+549P
FP…+132P
「所持ポイント」
DP…7828P
FP…528P
「【青海の加護】」…【深海への入り口】の初期権能の一つ。『魔物強化ツリー』の加護系に属する権能で、全ての迷宮魔物に【水属性強化:微】と【皮膚硬化:青】を付与する。
「【皮膚硬化:青】」…体色の青い部分の防御力を上げる。「皮膚」と言っているが、鱗や甲殻にも有効。ただし、体内は対象外。サハギンはほぼ全身が青いので相性がいい。
「【野菜屑】」…【質素な食事】で2DPで購入可能。「屑野菜」ではなく「野菜屑」。野菜のヘタとか皮が出てくる。初日に主人公をブチギレさせたことは言うまでもない。軽甲虫の餌として毎日二つ購入されていた。




