迷宮生活 二十三日目
迷宮生活 二十三日目
今日は気を取り直して、【漁師の仕事道具】の検証を行った。【漁師の仕事道具】では、釣竿や銛、網、籠、更には【小型漁舟】まで購入することができる優秀な権能だった。
いくつか買ってみたが、どれもしっかりとした作りで、俺の図画工作レベルのメイスや石器が恥ずかしくなるほどだ。
早速【三叉の長銛】をサハギン・ウォーリアに装備させたところ、予想以上に巧みな技量で操ってみせた。俺お手制の石のメイスを渡した時とはえらい違いだ。
【ストレートランス】のスキルは銛でも発動可能ならしく、スキルの仕様を命じると、より一層強力な突きを繰り出した。
また意外なことに、ウォーリアではない普通のサハギンもウォーリア程でないが銛を扱うことができたのだ。それどころか、投網すら練習もせずに一発で使いこなして見せた。
今までサハギンは知能が低く不器用であるため武器が使えないのだと思っていたが、どうやら魔物によっては装備できるアイテムに制限や相性があるようだ。
試しに他の人型モンスターにも使わせてみたところ、ゴブリンは銛も網も不格好ながら扱うことができ、スキュラは銛は扱えたが、網は自身の触手に絡まって動けなくなった。セイレーンは一応どちらも扱えたが、やはり【小さな泉】内では動きにくいようで、戦闘が行えるほどではなかった。
結果として、銛や投網はサハギンが一番使いこなせていた。どうやらサハギンと【漁師の仕事道具】は相性がいいようだ。この分なら操船も可能かもしれない。
……水中を自由に泳げるサハギンに舟が必要なのかは置いておくとして。
とりあえず、予備も含めて【三叉の長銛】を八十本購入し、巡回から戻ってきた魔物に順次持たせていった。マスタールームに戻ってこないサハギン達には渡せないが、まぁいいだろう。
魔物を巡回させた分マスタールームにスペースができたので、新たにゴブリンとサハギンを七体ずつ召喚した。“護衛隊”の他に新たに“投網隊”を新設し、連携訓練を行うためだ。
それと、今日はFPの入りが少し悪かった。どうも野良サハギン達の見張り役がダレてきているのが原因らしい。
暫く襲撃を行っていなかったので、警戒心が緩んでいるようだ。明日は久しぶりに襲撃を行うことにする。
「収入」
DP…662P
FP…99P
「出費」
DP…1561P
(食費31、漁具1250、召喚280)
FP…0P
「合計」
DP…-899P
FP…+99P
「所持ポイント」
DP…6919P
FP…128P
「【ストレートランス】」…槍を真っ直ぐ高速で放つスキル。投槍でも発動可能。狙った場所に正確に当てることができ、重装備の相手でも鎧の隙間を穿つことができる。ただしその特性上、軌道が読みやすく防御や回避が容易。
「【漁師の仕事道具】」…様々な漁具を作成可能になる権能。かなりの種類があるが、「特殊効果」の付いたアイテムはない。
「サハギン」…【海の住人】によって召喚可能な下級怪魚種の魔物。魚に「漁師」の「概念」が混ざって産まれた魔物なので、知能は低いながらも釣竿や銛を扱うことができる。




