迷宮生活 二十二日目
話が全然進まねぇ……。なんで日記形式で一話千文字前後なんて縛りを入れたんだろう?
迷宮生活 二十二日目
……最悪だ。まさかこのタイミングで値上げが来るとは思わなかった。いや、完全に値上げのことを忘れていた俺が悪いのだが、計ったように俺の心を折るタイミングだった。
今日、【漁師の仕事道具】の権能を解放したのだが、他の権能の解放に必要なFPが倍になったのだ。
FPがいずれ値上がりすることは【迷宮基礎知識】で分かっていたことだが、次こそは【居住区】を解放し、生活環境を改善できると勢い付いていたところにこの仕打ちは、俺の心を折るのに十分すぎた。
【居住区】はもともと500FPだったのが、1000FPとなり、今のペースだと解放に十日もかかる。
……もう酒でも飲まねばやってられない。今までは節制どころか極貧サバイバル生活を耐えてきたのだから、このぐらいの自分へのご褒美は許されるだろう。
ただ、飲む前に今日の活動記録だけは書いておこう。
今日は昨日設定した巡回ルートを少し変更した。思ったよりもマスタールームへ帰ってくるペースが早く、巡回ルートからマスタールームの場所がバレるかも知れないと思ったからだ。
そのため、巡回ルートを全体的に延長し、マスタールームへの帰還を減らした。
また、サハギンの何体かはマスタールームをルートから外し、迷宮内を永遠に巡回させることにした。負傷したときにシャーマンに傷を治療させることができなくなったが、まぁ侵入者と戦闘になった魔物が生き残れる確率はかなり低いだろうし、問題ないだろう。
ゴブリン達は、はぐれたり死傷者を補充することがあるかもしれないので、一応全組がマスタールームに立ち寄るようにした。
また、スライムを巡回させることを忘れていたので、十体追加で召喚し、迷宮内を巡回させた。
迷宮内が魔物の排泄物や死体だらけの方が侵入者対策になるかも知れないが、自分の見えないところとはいえ、自分のダンジョンが汚物まみれなのは気分が良くないので、掃除しておくことにした。
スライムは弱いので、簡単に殺されてしまうかも知れないが、安いし構わないだろう。多少は時間稼ぎになるかもだし。
【漁師の仕事道具】の検証は明日に回すことにする。今日はもう精神的に疲れたので酒呑んで寝る。
「収入」
DP…640P
FP…103P
「出費」
DP…71P
(食費41、召喚30)
FP…300P
(【漁師の仕事道具】)
「合計」
DP…+569P
FP…-197P
「所持ポイント」
DP…7818P
FP…29P
「【自家製麦酒】」…【質素な食事】で5DPで買える飲料。パンを醗酵させて作るビールの出来損ないのような酒。酒を買えない貧民や農民が作ったりするもので、酔えはするが美味くはない。
「必要信仰値の増加」…権能を五回解放するたびに必要なFPが二倍になる。本来、神の奇跡は何百何千の信者の信仰を集めて創られるモノなので、今までが安かっただけ。二回くらい値上げしてようやく適正価格になる。
「【自律式迷宮創造ノ儀】その1」…かつてとある神が考案し生み出した奇跡。迷宮に必須な基礎的な機能と、発動した神に応じた機能が自動で組み込まれる上、迷宮管理者を配置することで、必要に応じて自己判断で成長していくため、迷宮創りが苦手な神でも簡単にダンジョンを創ることができる。現在では多くの神がこの権能を使って迷宮を創造っている。




