迷宮生活 三日目
迷宮生活 三日目
神を名乗る存在にこの洞窟に連れてこられて三日が経った。あまりの退屈さに「ダンジョンコア」を弄り回していたところ、この「日誌機能」の存在を見つけた。
今日から暇潰しと思考の整理を兼ねて、この日誌を書いていこうと思う。
「魔素」と「信仰値」の収支状況もメモしておこう。一日に書ける文量は限られているようなので、あまり詳細には書けないが、その日の出来事と共に記録しておけば、後々見返したときに少しは役に立つはずだ。
初日と二日目はダンジョンの防衛と、召喚できるモンスターの確認のために、召喚できるモンスターを一通り召喚していたが、そろそろ食費にかかる魔素が膨大になってきた。正直、ダンジョンモンスターが三十匹もいない現状に不安を感じるが、現状ではこれ以上の魔物の増加は難しいだろう。食糧事情が解決するまで、魔物の召喚はやめることにした。
その代わり今日は、魔物の召喚をやめて浮いた分の魔素で、本格的に迷宮の通路を整備することにした。
今までは八十一個の部屋が、碁盤目状に規則正しく並び、前後左右の部屋と直線の通路で繋がっているだけ、という状態だったが、いくつかの通路を『迷宮内装ツリー』の【通路作成】で塞いでおいた。迷宮、と呼ぶにはまだまだ作りが単純だが、入り口から真っ直ぐ歩くだけで「マスタールーム」にたどり着けた状況からはマシになったと言えるだろう。
もう少し通路の整備をしても良かったが、食料事情の解決のために、今日から魔素を100Pずつ残して貯めることにした。
一番安い「権能」は信仰値200Pで買うことができる。明後日には新しい権能を解放できるだろう。
今日までの傾向からだいたい一時間の「祈り」で10Pの信仰値を稼げることがわかっている。今の信仰値が134Pなので、明日七時間「祭壇」に祈りを捧げれば一日で目標ポイントまで貯まるが、精神集中が辛すぎる。今の俺では一日四時間、頑張っても五時間が限界だ。
ダンジョンの入り口から見た限り、ここはかなりの僻地のようだ。しばらくは侵入者がやって来ることもないだろう。焦らずに落ち着いてダンジョンを発展させていこう。
「収入」
魔素…526P
信仰値…41P
「出費」
魔素…426P
(食費321、通路整備105)
信仰値…消費なし
「合計」
魔素…+100P
信仰値…+41P
「所持ポイント」
魔素…165P
信仰値…135P
「魔素」…この世界の全ての異能の元となる力。生物や物質に宿ることで特殊な効果を発揮させる。「魔力」とはまた別モノ。
「信仰値」…神に捧げた信仰を数値化したもの。ダンジョンマスターは信仰の見返りに様々な権能を神から授かることができる。
「迷宮」…神の「権能」によって造られた異空間の一種。信者や侵入者から信仰を集めたり、信者の育成の場として用いられる。




