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獣達の騎士道  作者: 春野隠者
第五次十字軍

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121/132

勲功第一等

 約600による奇襲部隊の策略によって、城塞都市ゲイルノアを攻略したロズヴェータ率いる三頭獣ドライアルドベスティエ

 城塞都市ゲイルノア陥落は、すぐさま戦場で戦う両軍に知らされることになった。

 獅子の紋と王冠(リオングラウス)王国及び三日月帝国(エルフィナス)双方の指揮官は、狼煙と魔法による伝書という形は違えど報告を受けた際、即座に方針を決定した。

「攻撃だ! 押し込めば、勝てる!」

「撤退だ! 第一線を盾に、第3線は、包囲の蓋を継続。第二線は速やかに後退!」

 この情報を流したいリオングラウス王国側は、全軍にこれを通達。一方で知られなくないエルフィナス側は、情報封鎖の無駄を悟って、攻撃を受けたが持ちこたえたとの情報を流す。

 沸き立つリオングラウス王国全軍に、動揺を隠せないエルフィナス側。

「本当に、ゲイルノアは無事なのか!? もし、本当に落ちているなら、俺たちの帰る場所は!?」

 悲鳴にも似たエルフィナスの疑問を、リオングラウス王国側は喊声で塗り潰す。

 リオングラウス王国軍は全線に渡って及び腰のエルフィナス第一線を押しに押す。

 動揺の見られたエルフィナスは、既に粘り強い抵抗ができる状態ではなくなっていた。特に第一線に配置されたのは、聡明なるアブドゥルの餌に釣られて配置された近隣領主達である。

 彼らの動揺は激しく、もはや勝利ではなく生き残ることに意識を集中させていた。

 つまり、総指揮官ディルアンの言葉を借りれば──

「押せば、引く。突けば、崩れる!」

 城塞都市ゲイルノアの西の監視塔からその戦場の様子を見ていたエリシュは、あれは芸術だったと最大限に評価する。

 第一線からぼろぼろと離脱者が出始めると、あとは一気に崩れた。

 それを追ってリオングラウスの鶴翼が前に出る。

 しかし、それに待ったを掛けたのがエルフィナスの第二線と第三線。

 ここにきて、聡明なるアブドゥルは自身の見積もりの誤りに気が付いた。

「敵は、わが軍の側背など狙っていなかった。敵の狙いは、最初から後背の城塞都市ゲイルノアだったということか!」

 会戦の勝利ではなく、地域の占領をこそ敵は狙っていた。

 静かに、見抜けなかった怒りを込めて吐き出したアブドゥルは、深く息を吐いて気持ちを切り替える。

「森林に配置していた部隊及び塩湖の監視部隊を集結。敵の側面を突きながら、撤退だ! 第三線は、撤退を援護! 第二線は、断固として戦列を維持し、逐次後退行動、本陣は第二陣の後退を見届けるぞ」

 素早く大量の指示を出したアブドゥルは、眼前に迫る第一陣の敗残兵に目をやる。

「……あれが戦列に入り込まれれば崩れるか」

 指示を伺いに来た第一線からの伝令に、目を怒らせてアブドゥルは命令を下す。

「戦列を乱す者はいかなるものと言えども許さん! 排除だ!」

 苛烈な命令に、しかしイブラヒムの精鋭は従った。

 逃げてくる第一線の兵士を切り捨て、槍で突き、その悲鳴と罵声を受けながらも聊かも戦列を乱さない。針鼠のような密集隊形を維持する。

 悪戦苦闘の中に投入された第三線の騎馬隊は、優勢な敵の両翼とまともにぶつかった。

 森林側はまだしも、塩湖側は悲惨であった。

 突撃をするたびに数が減り、衝撃力が少なくなる。しかも、エルフィナスの騎馬隊に突撃されてもなおリオングラウス王国軍の士気は旺盛であった。ついには追いつかれてエルフィナスの騎馬隊が全滅する。

 森林側は、まだましであったのは側面攻撃に備えた歩兵が森林内に存在したからだ。

 彼らと共同で南側のリオングラウス王国側を攪乱し、その進行速度を緩める。いかに士気が高い部隊であっても、森林内と平野部での騎馬隊の挟撃は耐えられない。

 森林内を掃討しつつ進むしかなく、その進軍速度は緩まった。

 悲惨であったのは、第一線に配置された近隣領主達とそれに雇われた傭兵達であった。

 迫りくるリオングラウス王国軍から逃げてみれば、味方だと思っていたエルフィナス側からは剣と槍で出迎えられた。下がりようもなく、第二線の手前で足踏みする。

「助けてくれ!」

「敵に向かって死ぬのか、卑怯者として死ぬのか、貴様らはいずれだ!?」

 悲鳴とともに命乞いをする彼らに向かって、第二線に配置された将兵から言葉がかけられる。

 名誉ある死か、名誉のない死か。

 いずれ、死ぬのは確実な彼らが選んだのは、前者が圧倒的に多かった。

 死を覚悟した彼らの奮戦は、幾許かの間、勝ち戦に士気の高いリオングラウス王国軍を足止めしたものの、結局は会戦の勝利を覆すまでには至らなかった。

 またエルフィナスの指揮官アブドゥルも、そこまでを期待していなかった。

 第二線の撤退準備を進めると、第一線の奮戦している時間に、第二線さっさと撤収してしまったのだ。

「……主力は逃がしたか」

 第二線の撤収を見たリオングラウス王国軍の総指揮官ディルアンは、悔しそうに呟いたが、彼とて万能の神ではない。戦場での手柄に浮かれ、前のめりになっている全軍を統括できるほどにその腕は長くないのだ。

 せめてその流れの方向を整えてやる程度しかできない。

 続いて第一線も、と逃がすほどリオングラウス王国軍は甘くなく、今までの奮戦が嘘のように第二線が引いていった後の第一線部隊は、脆くも崩れ、近隣領主達は殲滅された。

 略奪品欲しさに降伏を申し出たのを無視され、嬲り殺される。または、今まで戦っていた戦友の仇とばかりに降伏を認められないなどという不幸も数多くあった。

 一方、城塞都市ゲイルノアを攻略したロズヴェータは、後退中の部隊が再びゲイルノアを攻略しに戻ってくるのではないかと戦々恐々としていたが、結局そのような未来は訪れなかった。

 聡明なるアブドゥルはそんなことをしていれば、せっかく開いたリオングラウス王国軍の主力との距離が詰められ、今度こそ本当にエルフィナスの敗北が決定してしまうと考えていた。

「……命拾いしましたね」

 街道を見張る高い塔の上から、城塞都市ゲイルノアを素通りしていくエルフィナスの軍勢を見て、ロズヴェータはほっと息をつく。

 美貌の副官ユーグの言葉に、深くうなずいて、安どのため息を漏らしたのだった。

「ここまでだ。これ以上は無理だろう」

 ロズヴェータの言葉に、美貌の副官ユーグは疑問を呈する。

「追撃があると思いますが」

 ユーグの疑問にロズヴェータは首を振った。

「二日間走りっぱなしだ。正直言って、少し疲れた」

「さすが、騎士の美徳を心得ていますね」

 ユーグの冗談に、ロズヴェータは軽く肩をすくめた。謙虚な奴が、指揮官に大口を叩いて功績を建てようなどと思うものかと。

 それに、敗残兵狩りは得意な奴らがいる。ロズヴェータが脳裏に浮かべるのは、城塞都市の攻略には一切顔を出さなかった騎士隊。

 ──四つ腕の毒蜘蛛(セルコエシュー)

 毒蜘蛛と呼ばれる女騎士リリーの視線を思いだして、ロズヴェータは眉間にしわを刻む。追撃はエルフィナスにとって悲惨なものになるだろう。かつて交流した太守アリマやユーシャルが居ないことを願ってロズヴェータは戦場跡を見下ろしていた。


◇◆◇


 ──城塞都市ゲイルノア陥落。

 その一報は、リオングラウス王国の王都まで届くとともに、近隣諸国にまで鳴り響いた。攻略に要した日数はわずかに1日。会戦での勝利を得ると同時に城塞都市ゲイルノアを短期間に攻略したのは、何よりも聖都奪還に弾みをつけるものだった。

 ──リオングラウス王国侮りがたし! 特に北方草原の国(ツァツァール)等は、相手が弱れば侵略に来るような国である。

 国の武威が健在である、と見せつけることは非常に重要であった。

 また、未だに交渉が続いているロスデリア帝国との賠償交渉も途上である。それを有利にするためにも、国の武威を見せつけることは重要であった。

 リオングラウス王国は、その一報を受けると、少年王の御前会議において文官派閥の筆頭宰相コルベール、王家派閥筆頭にしてルクレイン公爵一門の当主ガベルらが今後の方針を巡って協議を持った。

「まずは、めでたい。国力を投じた甲斐があった」

「これで、聖都ジュルル・サルムへの道が開けたわけですが、ここからが肝要」

 大方針は決まっている。

 聖都ジュルル・サルムを異教徒の手から解放し、西方世界で起き始めている十字軍の勃発を防ぐこと。

 では、問題はどこまでやるかだ。

「この勝利でエルフィナスは、講和に傾くか?」

 宰相コルベールの問いかけに、獅子に翼盾(リオンセルジュ)を背負ったガベルは首を振る。

「明確な回答があったわけではない。が、まだあと一戦が必要といったところだ」

「あと、一戦……」

 腕を組んで目を瞑る宰相コルベール。

 国家の予算規模的にはかなり無理をしている。年の初めに起きたロスデリアとの戦争、その後の祝祭日を記念したお祭り(どんちゃんさわぎ)。あれが、予想以上に遠征に響いている。遠征軍に参加する国軍を最小限にして、騎士隊を主力に据えて遠征をしているのが、その証左である。

「敵の主力が、逃げているというのも大きい」

 ガベルの言葉にコルベールが唸る。

「これ以上の急激な進軍は、兵站が持たん」

 一気に聖都ジュルル・サルムへ進軍をするためには、再び兵糧、金穀、武器・防具の類に至るまで様々な物をかき集めねばならない。

「今年は無理だ。新たに組み入れる予定の地域の統治を優先させたい」

 今回の勝利で得たエルフィナスとリオングラウスとの国境線地域。元々は両属の地域であったが、完全にリオングラウス王国に組み込む。城塞都市ゲイルノアの近隣がその地域に当たるが、彼らの土地を没収し、それを徴収すれば来年は可能と、コルベールは試算する。

 新たな占領地は悲惨なことになるだろうが、そこは議題にすら上がらない。

 敗者に声などはないのだ。

「軍を維持したままでか?」

 疑問の声は、派閥の領袖という立場から。

 王家派閥筆頭のガベルの疑念は、武官派閥が急激に大きくなりすぎることを懸念するものだ。ただでさえ、遠征軍の発生で武官派閥の声が大きくなっている。

「治安の維持にも人は必要だ」

「なるほど、確かに」

 派閥からの依頼として、現地にいる騎士隊をそのまま雇えば良い、というコルベールの言外の指摘に、ガベルは頷く。

 ガベルも派閥の領袖として素早く計算する。西方世界からの感触が思ったよりもよろしくない。このまま王家派閥の騎士を張り付けていても、功績として繋がらないかもしれない。

 それよりは、国家の一大事業である遠征軍に、自身の派閥を多く参加させた方が、功績を主張しやすい。ましてや、勝ち戦への道は、武官派閥が整えているのだから、それに乗らないのは、機会の損失だ。

「では、引き続きエルフィナスとの戦を進め、講和の席に引きずり出す」

「新たな領地をリオングラウス領ととして組み込み、そこから上がる税収を次の聖都ジュルル・サルム攻略につぎ込む」

「軍には、エルフィナスとの国境をなるべく押し込ませる。そう例えば、ケディ渓谷ワーディでどうか?」

 宰相コルベールの問いに、ガベルは頷く。

 城塞都市ゲイルノアから南東に約100km。徒歩では約4日の距離にある渓谷を指し示す。

 つまり、その地域までをリオングラウス王国領として組み込む、ということだ。

 巨大な都市バラティムを含む地域を指さして、宰相の目は冷徹に計算する。

 だがそれ以上は、城塞都市ゲイルノアを兵站基地としても、不可能な規模。軍の行動範囲ギリギリを設定してくるあたり、コルベールの見識は確かであった。

 ケディ渓谷の向こう側には、海湾都市ガディフォール。かつて小国の首都であった地域であったが、一切考慮に入れない。力なきものは淘汰される。冷徹なる力の原理だ。

「よろしい。王よ、御裁可を」

 ガベルから裁可を求められた少年王は、いくつか質問をした後に裁可を下す。

「続いて、今回の戦の論功ですが、時期尚早ではあるものの、試案としてディルアン殿から届いております」

 公爵ガベルは顔色を変えることなく、読み上げる。

 かつて暗殺しようとした男の名前があることぐらいで、彼の表情を変えることはできなかった。

「功績の第一に、辺境伯ノブネルが三男、騎士ロズヴェータ。騎士校を出てからまだ3年目の青年を推挙しております。なんでも城塞攻略の立役者とか。第二に、前衛将軍として参戦したガードルード子爵クライン、第3に騎士ジキスムント、竜殺しの騎士団(ヘルギウス)を率いて、第一線を構築、第4位は同着として二人、マルツァ男爵ゴルム、サリサ男爵サーディラードいずれも、中央と後衛軍の将軍ですな……」

 功績第一の騎士の名前を聞いた瞬間、少年王の眉がピクリと動いたのを見て、公爵ガベルは問い返す。

「陛下、いかがなさいましたか?」

「……ああ、いいや、凄いものだと思ってね。騎士校卒業から3年目というと年齢は?」

 内心では、懇意にしている女子爵エラから聞いた親切な騎士の名前と同じであったから動揺が顔にでてしまったのだ。

「今年19歳、陛下よりも少しだけ年上となります」

「なるほど、英雄の卵、というものだろうか?」

「単なる偶然、ということもございます。英雄とはなろうとしてなれるものでもございません」

 公爵ガベルの説明に、頷く少年王。

 宰相コルベールは無言のまま眉間に皺を寄せていたが、常の事なので誰も気にすることはなかった。

 聖都ジュルル・サルムへの遠征は、道を拓き次の段階を迎える。


◇◆◇


 侯爵ガベルが、私邸に戻ると来客があった。

「兄上!」

 実弟ノイン。

 社交界では、麗しき子爵令嬢ヒルデガルド・オース・マルレーとの恋愛結婚をなし、娘を授かったばかりの新進気鋭の俊英だった。

 特に商売であり、写本の制作・販売・貸出、更には両替商、染料の薬種商でいくつかの商会を運営している。

 その才能を、最近は内政に振り向け、領内における識字率の上昇を成し遂げていた。既に内政官を育成し、宰相コルベールの牙城ともいうべき青の塔に、少数ながら王家派閥を築きつつある。

 後10年、15年すれば、王家派閥として内政分野で主導権をとっていけるだろう。

「おお、ノイン! どうした? また得意の商売か?」

「やだなぁ、違いますよ。今日は知人を紹介しようと思って」

「知人? ふむ……入ってもらえ。待たせているのだろう?」

「はい、おい!」

「初めて知遇を得ます。閣下。エリザと申します」

 衛兵により開かれた扉から現れたのは、妖艶なる美女であった。

 貴公子然としたノインは、その雰囲気から常に社交界の花であった。それは彼が社交界にデビューしてから騎士校に在籍している間も変わらず、ずっとである。

 王家派閥の筆頭ルクレイン公爵家の次男であり、跡を継ぐ必要がないことが一つ。線の細さは、中世的な美貌を好むリオングラウスでは、絶世の美貌というほどではなくとも、好青年を絵にかいたような好ましい若者、程度の評価はもらえる。

 若く、引き締まった体つき、商才と内政の才覚に優れ、服装のセンスは社交界の花を酔わせるのに十分な魅力を放っている。

 これほどの好条件が揃っていて、放っておく女がいるだろうか。

 否、年下から年上まで、彼に惹かれる女性は多い。

 それは結婚をして、子供をもうけた今になっても変わらない。

 エリザと名乗る妖艶な美女を前にして、ガベルの抱いた感想は、最愛の弟に変な虫がつかないかという心配だった。夫婦仲が悪化して痴情のもつれで死なせるには、弟としても才能豊かな若者としても惜しいと感じるほどに、優秀な若者なのだ。

 たとえそれが、兄のひいき目だとしても。

 その弟が、エリザを紹介する。

「こちら、作家にして写本師をしているエリザ。元ディーヌ男爵家の……」

「ディーヌ男爵家、だと?」

 作家にして写本師という肩書には、反応しなかったガベルがディーヌ男爵家の名前に反応した。

 ディーヌ男爵家は、今逼塞の最中にある。

 ロスデリア帝国との対外戦争で西方貴族との繋がりがあった中央貴族が軒並み逼塞しているが、その一つであった。実の兄の疑問に、ノインは答える。

「ディーヌ男爵家に嫁いだけれど、離縁されて行く場所もないということで引き取って、うちで働いてもらっている」

「つまり……」

「はい。私の実家は、西方貴族のオルディ従士家。西方反乱の首魁ミディ家とともに滅んだ家です」

 ガベルはそこまで聞いて唸った。

 実弟ノインの言いたいことがわかってしまったのだ。

「時期尚早である」

「まだ何も言ってないよ」

「言われずともわかる。この才能は潰すには惜しい。西方反乱で潰れた家々に恩赦を出す意味でも、大々的に雇用すべき、というのだろう?」

 確かにロスデリアとの戦で西方貴族家が潰れたのは、痛手だった。彼らの残った力をルクレイン公爵家が取り込めれば、さらなる飛躍も期待できるが……。

「さすが、兄上!」

 にこりと微笑むノインにガベルは苦い顔で溜息を吐く。

「なぁ、弟よ。世のいずれの者も、お前のようにすぐに憎悪や敵愾心を忘れることはできぬのだ。少なくともロスデリアとの賠償交渉がまとまってから、一年は待て」

「致し方ないか。それまでは、匿名のエリザで仕事を続けてもらおう」

「では、用件は以上だな。エリザとやら、今少し、時期を待て」

 退出せよというガベルの仕草に従って、エリザが退出する。

 それを見届けてから、ガベルは苦言を口にした。

「……ノイン。子供が生まれたばかりなのだ。軽薄な行動は慎め」

「やだな、兄上。本当に彼女の才能を惜しんで、だよ」

「では、あのエリザと一夜を共にしていない、とリオンセルジュに誓えるか?」

「……才能を愛するのは、高貴なる者の義務だよ」

 溜息を吐いたガベルは、ふと思いついてつい先ほど御前会議で出た名前を告げる。

「ロズヴェータという名前を憶えているか。ロズヴェータ・スネク・カミューだ」

「……名前からしてカミュー辺境伯家の人だろうけど、それが?」

 再び溜息を吐いたガベルは、頭痛をこらえるように最愛の弟に忠告した。

「騎士校におけるお前の同期に当たる。今国を挙げて行っている遠征で、武功第一とディルアン将軍が送ってきた名前だ」

「へぇ~そりゃ凄い」

「そして、何より拙いのが、お前の妻ヒルデガルド殿の元婚約者だ」

「……あ~そういえば、いたかもね」

 失敗を咎められて拗ねる子供のように、そっぽを向くノインに、ガベルは根気よく説明する。

「ノイン……時期を待て」

「……わかりました。わかりましたよ! 兄上の仰る通り、エリザにはよくよく言って聞かせます。また身を慎みたいと思います」

「分かれば、よろしい。では、な」

 深い溜息を吐いてガベルはノインを解き放つ。

「結婚もまだなのに、年頃の子供を持つ苦労を味わうとはな……父上と今度話してみるか」

 窓の外に広がる庭園は、いまだ美しく咲き誇っている。


ロズヴェータ:新進気鋭の騎士隊長


称号:同期で二番目にやべー奴、三頭獣ドライアルドベスティエ隊長、銀の獅子、七つ砦の陥陣営、遠征軍の旗頭


特技:毒耐性(弱)、火耐性(中)、薬草知識(低)、異種族友邦、悪名萌芽、山歩き、辺境伯の息子、兵站(初歩)、駆け出し領主、変装(初級)、遭遇戦、策略家(NEW)


同期で二番目にやべー奴:同期の友好上昇

三頭獣ドライアルドベスティエ隊長:騎士隊として社会的信用上昇

銀の獅子:国への貢献度から社会的信用度の上昇

遠征軍の旗頭:騎士としての信頼度上昇

毒耐性(弱):毒からの生還確率が上昇。

火耐性(中):火事の中でも動きが鈍らない。火攻めに知見在り。

薬草知識(低):いくつかの健康に良い薬草がわかる。簡単な毒物を調合することができる。

異種族友邦:異種族の友好度上昇

悪名萌芽:行動に裏があるのではないかと疑われる。

山林歩き:山地及び森林内において行動が鈍らない。

辺境伯の息子:辺境伯での依頼で影響度上昇

陥陣営:連続で落とし続けている限り、味方の能力に強化効果。(連続10回)

兵站(初歩):兵站の用語が理解できる。

駆け出し領主:周囲から様々な助言を得ることが出来る。

変装(初級):周囲からのフォローを受ければ早々ばれることはない。

遭遇戦:臨機応変な戦いの経験がある。(1回)

策略家:他の騎士隊から戦術・戦略的助言を求められる。他の騎士隊に対して影響力上昇。ただし、警戒感を同時に抱かせる。


信頼:武官(+70)、文官(+42)、王家(+13)、辺境伯家(+29)


信頼度判定:

王家派閥:銀の獅子に任じた王家の目は確かだったね! それはそうと最近武官派閥にべったりだな?

文官派閥:ふぁ!? 以前の借りをどう活かすか……? 最近武官派閥にべったりじゃないか?

武官派閥:以前は悪い噂も聞こえたが…大口をたたくだけのことはある。今後ともよろしく頼みたいものだな。

辺境伯家:え、エルフィナス相手に大金星? いやー、マジかぁ……エルフィナスはちょっと……。 ところで最近武官派閥にべったりじゃないか?


副題:ロズヴェータちゃん、総指揮官に功績第一として評価される。でも、すんなりもらえるのかは……。

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